今季の見どころは? トップリーグ2016-2017プレシーズン座談会 2
C.ジェーン加入の東芝は8月27日秩父宮で開幕 8月26日に開幕するジャパンラグビー トップリーグ 2016-2017。 ──開幕翌日の8月27日(土)、東京・秩父宮ラグビー場では、昨シーズン準優勝の東芝がクボタと対戦(19:00)。そして、その前にはSH茂野海人、SO田村優など、今年ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズや日本代表で大きく成長した選手が揃うNECがリコーと対戦します(16:30)。 大西 この開幕2日目の秩父宮は、監督、コーチが変わっていないリコー、東芝と、コーチ陣に変動のあったNEC、クボタの対戦という見方もできるのでは。個人的には、クボタは今年すごくよくなる気がしています。 ──クボタのフラン・ルディケ ヘッドコーチはスーパーラグビーのブルズ(南アフリカ)で、ずっと指揮を執ってきた人。 村上 すごくいいみたいです。「人のいいエディーさん」というような評判が聞こえてくる。「スタッフに対する要求はすごく高いのに、割といい人(笑)」。 ──7人制のトゥキリ(ロテ=CTB)、15人制のアイブス(ジャスティン=LO)の日本代表組も加わって、台風の目どころか、上位進出も狙えそうな可能性を感じさせます。 村上 新加入は少なくても、知念(雄=PR)、小瀧(尚弘=LO)、両・山本(紘史=FL/NO8、浩輝=FL/NO8)とか、グイグイ伸びていっている選手が多い。 大西 東芝はベイツィー(FLスティーブン・ベイツ)とかベテランが抜けて、どうなるのか。 王座奪還を目指す東芝。SO森田主将にとっても勝負のシーズンとなりそうだ
photo by Kenji Demura ──サンウルブズや日本代表で相変わらずエネルギッシュなプレーを続けている38歳のLO大野均を筆頭に、望月(雄太=FL)、湯原(祐希=HO)といったベテランも多いので、先ほど名前の出た若手へ切り替える過渡期にあるのかもしれないですね。 大西 東芝はSOの森田(佳寿=主将)がどれだけ怪我しないでできるかがポイントという気がします。冨岡(鉄平)ヘッドコーチ - 森田キャプテン体制が3シーズン目ということで、結果を残さないといけないというのもあるようです。 ──昨季はまさかの入替戦に回ったNECですが、先ほどから話が出ているとおり、サンウルブズ効果が望めるところは大きなプラス。 村上 ハーフ団(茂野、田村)が自信をつけているだけに、昨シーズンとは全然違うんじゃないですかね。 大西 元々、人材はいて、ひたむきにタックルにいくチーム。昨シーズンは波に乗れなかったけど、元々入替戦に行くような戦力のチームではない。 ──リコーもバーナード・フォーリー(豪州代表SO))がいなくなったとはいえ、タマティ・エリソン、コリン・ボークなど、クォリティの高いプレーができる選手がいます。 サンウルブズ、日本代表で急成長したSH茂野。トップリーグでもNEC躍進への貢献を目指す
photo by Kenji Demura 大西 フォーリーもそうでしたけど、いつもシーズン途中でSOが変わったり、なかなか安定感のないシーズンが多かったけど、今年は逆にメンバーの流動が少ない分、最初から落ち着いた試合運びを見せてくれそうな気もします。 ──同じ日(8月27日)、名古屋のパロマ瑞穂ラグビー場ではトヨタ(豊田)ダービーがあります(トヨタ自動車 - 豊田自動織機=19:00)。 大西 このダービー戦も注目ですね。トヨタ自動車に関しては昨シーズン、トップ4に来るのでははないかと思っていました。FW、BKともにコーチが変わって、選手からもやりやすいという声が聞こえてきていました。リスペクトしてくれるようなので。昨シーズンからのプラスアルファでトヨタ自動車が4強に食い込んでくるチームになるのではないかという気がします。 ──僕もパナソニック、東芝を追いかける存在としてトヨタ自動車には注目しています。ここ数シーズン、4強に届かないシーズンが続いていますが(昨季は5位)、選手のポテンシャルは高いし、大西さんの言う通り、昨年からの首脳陣のコーチングが今季はさらに浸透していきそうな気がするので。サンウルブズ、日本代表の経験で大きく成長したFL安藤泰洋のプレーぶりも楽しみです。 大西 トヨタ自動車はベテランLO陣(北川俊澄、谷口智昭)がどこまで持つかもポイントだと思う。 村上 高橋(洋丞=PR)と竹田(宜純=FB)がチータース(南アフリカ)に行って、いい経験を積んだようだし、成長が楽しみな選手も多い。 大西 ロビー・ロビンソン(FB)が特別枠で使えるのも大きい。 トヨタ自動車FL安藤。サンウルブズ、日本代表で見せた激しいプレーで注目を集めそうだ
photo by Kenji Demura ホーム開幕の神戸製鋼。3年連続での指揮官交代の影響は? ──大西さんは昨季までプレーしていた豊田自動織機に関してはどう評価していますか? 大西 シーズンの中でもトヨタ自動車戦は一番注目される試合。僕が豊田自動織機1年目に豊田スタジアムでダービーがあって、お客さんもたくさん入って、熱戦を繰り広げた(21 - 18でトヨタ自動車が勝利)。 ──トヨタ(豊田)ダービーの前にはHonda - 宗像サニックス戦が予定されていますが(同ラグビー場=16:30)、独自のアタッキングラグビーを作り上げてきた宗像サニックスが加わるだけで、トップリーグ自体の付加価値が上がる気さえします。 大西 ワールドカップでヘスケス(カーン=WTB)の人気が出たと思うし。 村上 ヘスケスはいまや世界中の人が知っていますからね。あの南アフリカ戦で逆転トライを奪った選手というだけで見に行く価値がある。 世界中のファンが知っているWTBヘスケスもサニックスの一員としてトップリーグに戻ってくる
photo by Kenji Demura 大西 Hondaもマパカイトロ パスカ(NO8)を採ったり、ディグビー・イオアネ(豪州代表)、レメキ ロマノ ラヴァ(7人制代表)のWTB陣など、インパクトプレーヤーでは負けない。 村上 今季は自動降格があるので、どのチームも序盤で白星を取っておきたい。 村上氏
大西 トップリーグで十数年プレーした自分の経験から言っても、初戦で負けると、そのシーズンは厳しくなる傾向はあります。 ──どのチームも当然、開幕に合わせて調整していくわけで、最初につまずくと立て直すのが難しいということでしょうね。その意味でも、開幕節は好カードが多いですし、どの試合も見逃せない。 大西 面白いのは、いきなりホームで2連戦となる神戸製鋼ですが、初戦のNTTコミュニケーションズ(8月27日17:00=兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場)に続いて第2戦の相手はパナソニック(9月2日19:30=同競技場)と、いきなり2連敗もあり得る厳しい試合が続くこと。 村上 万全なかたちで昨シーズンの優勝チームにチャレンジするためにも、神戸製鋼は初戦でNTTコムには絶対に勝っておかないと。 大西 NTTコムは手強いですよ。ヤンチース(エルトン=SO)、調子いいですからね。小倉(順平=SO)もワイカトに留学して成長したという話ですし。ナキ(NO8アマナキ・レレィ・マフィ)と正奎(金=FL)のコンビもすごいし、アイザック・ロスもブリッツ(ヴィリー=NO8)も残っている。 ──神戸製鋼もヘッドコーチが変わりました。しかも、こちらは3年連続での交代。 村上 さすがに、3年で3人はキツい面がある気がします。今度のヘッドコーチ(ジム・マッケイ=元豪州代表アシスタントコーチ、レッズコーチ)は攻撃型なので、神戸製鋼には合うとは思いますが、さすがにちょっと読めない。 ──村上さんは優勝候補という意味では、どういうふうに考えていますか? 村上 パナソニック、東芝、サントリーもそうなんですけど、それ以外で注目しているのは、去年のラグビーワールドカップと今年のサンウルブズで自信をつけた選手のいるところ。 ──九州は熊本での開幕となります(コカ・コーラ - キヤノン/8月27日19:00=うまかな・よかなスタジアム)。この試合は復興支援もテーマになる。 大西 昨シーズンはコカ・コーラ - ヤマハ発動機戦が行われて、ゴロー(五郎丸歩選手)人気もあって、すごくお客さんが入ったスタジアムですよね。 大西氏
──コカ・コーラは、派手な選手補強をするチームが多くなる中、我が道を行っている感じがあります。 大西 創部50周年ということなので、記念すべきシーズンに結果を残すためにも、初戦をターゲットにしてくる。熊本で支援活動を続けていたりするので、そういう意味でも絶対に勝ちたいでしょうし。 村上 春シーズンは神戸製鋼といい勝負しているし(22 - 29=6月18日)、期待できるんじゃないでしょうか。 ──過去3シーズン、8強入りはしているもののトップ4には届かなかったキヤノンにとっては真価の問われるシーズンになりそうです。 村上 キャプテンの庭井(祐輔=HO)はすごいタックラー。そういう、キャプテンのキャラクターが前面に出たチームになっていけば、面白い存在になりそうです。 (以下、連載第3回=7月25日掲載 に続く) チケット情報チケットのお求めはTicket RUGBYで。7月31日(日)午前10:00より一般販売開始です。 JRFUメンバーズクラブ先行先着販売は、7月23日(土)13:00~7月30日(土)23:59 |