注目のSBW、札幌で初お目見えか
金・土の秩父宮には昨季4強のうち3強が
昨季の王者サントリーサンゴリアス、準優勝のパナソニック ワイルドナイツと共に、初昇格キヤノンイーグルスがいきなり勝ち点5を獲得する最高のスタートを切った今季のトップリーグ。
第2節ではいよいよ注目の大物外国人選手が日本デビューを果たす一方、早くもサバイバルゲームの様相を見せる注目の一戦も組まれている。
いよいよ、世界が注目するSBWが札幌でトップリーグデビューへ |
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今季初戦でいきなり2トライを奪ったパナソニックWTB山田。SBWが入ることでさらにトライチャンスが広がる? |
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9月1日、開幕2日目の秩父宮ラグビー場。
今季初戦のリコーブラックラムズ戦に44-13で快勝したパナソニック ワイルドナイツ周辺は、試合に出ていない選手の動向で騒然となっていた。
ソニー・ビル・ウィリアムズ。
いま世界で最も注目を集めるラグビー選手かもしれない。
オールブラックスのCTBとしてラグビー・チャンピオンシップ(南半球4カ国対抗)の1、2戦に出場した後、トップリーグ開幕直前の8月26日に来日。
さすがに、チーム合流1週間未満でのデビューは見送られたが、リコー戦前のウォームアップ時にチームメイトと一緒に姿を現すと、秩父宮ラグビー場は一種のSBWフィーバーに。
少しでも近くで、その存在を確認しようと、スタンドのあちこちから「ソニー・ビル!」の声がかかり、気軽にサインに応じるシーンも見られた。
定例となっているトップリーグ試合後の両チームの記者会見でも、当然、試合に出ていないスーパースターへの質問も飛んだ。
「いま、練習しながら、私たちのストラクチャーに慣れているところ。次は出られるでしょう」(パナソニック中島則文監督)
前述の8月18、25日に行われたラグビーチャンピオンシップでのプレーぶりを見ても、本人の状態がいいのは間違いなく、9月9日の札幌・月寒屋外競技場がSBWのトップリーグデビューの場となりそうだ。
「ラグビーは世界中で行われている、とてもシンプルなゲーム。すぐにでも活躍したい」と、本人もチーム合流後わずかな時間での実戦にも不安はないことを強調。
北の大地のファンにとっては、世界が注目する楕円球界きってのスーパースターの日本デビュー戦を目撃するまたとない機会となる。
一方、札幌でパナソニックと対戦するNTTコミュニケーションズシャイニングアークスにも、元NZ代表LOアイザック・ロス、米国代表FL/NO8トッド・クレバー、そしてサモア代表CTB/WTBアレサナ・ツイランギといった大物外国人選手が揃う。
特に、ポジションが重なるツイランギは初戦の東芝ブレイブルーパス戦でも、途中出場して力強い走りでスタンドを沸かせていただけに、SBWと直接対峙となれば世界最強級のパワフルランナー対決となる。
衝撃デビューのキヤノンが東芝に挑戦
NEC対トヨタはサバイバルマッチに
昨季準優勝のパナソニックが札幌へのロードゲームとなる一方で、王者サントリーサンゴリアスをはじめ、東芝、NECグリーンロケッツという、他の昨季の4強チームはいずれも前節に続いて、今節も東京・秩父宮ラグビー場での試合となる。
7日、金曜ナイターに登場するのは東芝。初昇格のキヤノンイーグルスの挑戦を受ける。
前節では、NTTコムの粘り強いプレーに苦しみ、後半25分過ぎまで19-16という苦戦の末、何とか競り勝つ厳しいシーズンスタートとなった。「FWにミスが多く、アタックを継続できなかった」(和田賢一監督)点を修正できるかが、ポイントになる。
NTTドコモレッドハリケーンズから4トライを奪い、ボーナスポイントも含めた勝ち点5を獲得する最高のトップリーグデビューとなったキヤノンとしても、前の8人が東芝の強力FW陣とどれだけ対等に戦えるかが焦点だろう。
PR城彰を中心とするスクラム、LOケーン・トンプソンがキーマンとなるラインアウト、ボールハンターFL竹山浩史が暴れまくるブレイクダウンなどで健闘して、前節同様、永友洋司監督がこだわる「トライを取るラグビー」につなげていきたいところだ。
翌8日、土曜日の秩父宮では、NECグリーンロケッツ-トヨタ自動車ヴェルブリッツ、サントリーサンゴリアス-九州電力キューデンヴォルテクスのダブルヘッダーが行われる。
NECとトヨタ自動車は、共に4強候補と評価する声が多い一方、開幕戦では力を出し切れなかった感もあっただけに、ここで立ち直れるかがシーズン前半を戦っていく上でのポイントになる。
昨季はトヨタ自動車が、09-10年のシーズンはNECが10位に沈んだ歴史を振り返っても、早くもサバイバルマッチの雰囲気さえ漂う。
フィジカルな戦いを身上とする両チームだけに、まずは激しいブレイクダウンに注目だ。
いずれも8日夕刻に予定されている残り3ゲームは、奇しくも開幕節でいい内容で勝利を収めたチームと、反対に持ち味を出せずに敗れたチームとが対戦する(リコーブラックラムズ-神戸製鋼コベルコスティーラーズ=石川県西部緑地公園陸上競技場、近鉄ライナーズ-福岡サニックスブルース=大阪長居第2陸上競技場、NTTドコモレッドハリケーンズ-ヤマハ発動機ジュビロ=三重県営鈴鹿スポーツガーデン)。
神戸製鋼、福岡サニックス、ヤマハ発動機にとっては、開幕連勝で一気に勢いに乗りたいし、一方、リコー、近鉄、NTTドコモは早くシーズン1勝目を挙げて、チームの落ち着きを取り戻したいところだろう。
(text by Kenji Demura)
開幕戦ではサントリーに後半圧倒されたNEC。トヨタとのサバイバルゲーム勝利のためナドロの爆走に期待がかかる |
NTTコム戦ではミスの多かった東芝。渡邊-森田のCTBコンビなど若手の活躍が起爆剤になるか |
九州電力の挑戦を受ける王者サントリー。WTB小野澤など経験値の高い選手が揃うだけに安定感は抜群 |
勝ち点5を挙げて最高のスタートを切ったキヤノンは東芝にチャレンジ。FBに入る橋野のキック、ランに期待がかかる |