トップリーグ2010-2011特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
今シーズンより、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第5節(10/9 - 10/10)

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見どころ村上晃一の目

近鉄ライナーズの大逆転はじめ第4節も熱戦が相次いだ。その熱はこれから次第に上昇していくことになる。4連勝の三洋電機ワイルドナイツとトヨタ自動車ヴェルブリッツを追う東芝ブレイブルーパス以下、勝ち点差は10点以内に11チームがひしめく大混戦。日本代表の活動期間で休止となる前の5節〜7節で順位争いの大勢は見えてくる。各チームにとって重要な意味を持つ5節のみどころは?

  阪神ダービーに敗れ3敗となった神戸は早くもこれ以上負けられない状況に。近鉄は22年ぶり神戸戦勝利の勢いを三洋にぶつける

阪神ダービーに敗れ3敗となった神戸は早くもこれ以上負けられない状況に。近鉄は22年ぶり神戸戦勝利の勢いを三洋にぶつける
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)


現在下位のグループが、上位陣をどう攻略するか。

 8位以下のチームを下位グループを呼ぶとすれば、今節は、下位が上位にチャレンジする試合が多い。ここで下位グループが勝利すれば順位争いはさらに混沌とするが、負ければ勝ち点差がぐっと開くことになる。キーワードは「挑戦」。

 熊谷ラグビー場では、10位のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスが、2位のトヨタ自動車ヴェルブリッツに挑戦する。木曽一、アダム・ウォレスハリソンなどベテラン選手が多いFWに、WTB友井川拓、FBマーク・ジェラードら個人技で一気にトライを奪える選手がいるNTTコムは、工夫次第ではトヨタを十分慌てさせるだけの力を持っている。4節で三洋電機ワイルドナイツの圧力を経験したことも大きい。トヨタの大型FWを後ろに走らせるような、果敢な攻撃を期待したい。

 4節で福岡サニックスブルースと引き分けて、ようやく勝ち点を獲得した14位のクボタスピアーズは、新潟で5位のサントリーサンゴリアスと戦う。4節でサニックスのスピーディーなスタイルを封じてディフェンスには手応えをつかんでいる。サントリーのアタッキングラグビーを、どう封じるのか注目である。

 13位の豊田自動織機シャトルズは、4位のサニックスに挑む。三洋電機、東芝、サントリーと上位陣のパワフルな攻めに苦しんだ3連敗だったが、サニックスはパワーよりもスピードで勝負するタイプ。シャトルズの持ち前の展開力を出しやすい相手かもしれない。互いの特徴を出し合う好ゲームの予感が漂う。

早くも崖っぷちに立たされた初代王者・神戸製鋼コベルコスティーラーズ

 トップリーグ初代王者(2003年度)であり、その後も6位以下に下がったことのない神戸製鋼コベルコスティーラーズが苦しんでいる。4節を終えて、1勝3敗の12位。前節は、残り時間6分まで、22-13とリードしながら逆転負けを喫した。苑田右二ヘッドコーチは、「ボールはよく動くようになっているのに、細かいゲームコントロールができていない」と語った。ボールを持った選手、あるいはサポートする選手の判断が少しずつズレているということだろう。日曜日の試合から中5日しかない中で、そのあたりを修正できるのかどうか。
 相手は同じく1勝3敗で11位に甘んじているコカ・コーラウエストレッドスパークスだ。チャンスメーカーであり、正確なプレースキックを誇るショーン・ウェブを怪我で欠いて苦しい戦いが続いているが、向井昭吾監督は、ここ一番、戦い方を絞り込むことに長けたコーチだ。互いに負ければ上位進出を諦めざるをえない大切な局面でどんな手を打ってくるのか。

 その神戸製鋼を前節逆転で下した近鉄ライナーズは6位に浮上、首位・三洋電機ワイルドナイツへの「挑戦」となる。個々のディフェンス能力が高い三洋電機は、壁のように立ちはだかり、相手チームを自分達の後ろに行かせない。近鉄にはトンプソン ルーク、ルア・ロコツイ、リコ・ギアら、タックルをかいくぐって前に出られる選手が多い。三洋ディフェンスを破り、他チームが三洋を攻略する糸口になるような戦いができるのか興味深い。

東芝を追いつめ、クボタには快勝   前節サニックスと引き分け、ようやく今季初の勝ち点を挙げたクボタ。サントリーの攻撃力を全員DFで封じたい   NTTコムに競り勝った後は3連敗。豊田自動織機が2勝目を手にするためにはNO8斉藤、SH吉田主将(右)などキープレーヤーの活躍が不可欠だ

東芝を追いつめ、クボタには快勝。上位とも十分に戦える実力を証明してみせているNTTコム。WTB友井川(左)などの決定力でトヨタに挑む
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

前節サニックスと引き分け、ようやく今季初の勝ち点を挙げたクボタ。サントリーの攻撃力を全員DFで封じたい
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

NTTコムに競り勝った後は3連敗。豊田自動織機が2勝目を手にするためにはNO8斉藤、SH吉田主将(右)などキープレーヤーの活躍が不可欠だ
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

 

注目選手

注目選手 Photo

トンプソン ルーク
(近鉄ライナーズ)

◇日本に帰化した、ライナーズの大黒柱

   

トンプソン ルーク◎セントビーズ高校→リンカーン大学。カンタベリー州代表を経て来日。2004年、05年三洋電機でプレー。2006年より近鉄ライナーズ。日本代表キャップ25。1981年4月16日生まれ。196cm、109kg。LO。
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

 多国籍軍団といってもいい近鉄ライナーズをキャプテンとして率いて3シーズン目。今季は日本国籍も取得し、名前もルーク・トンプソンから、トンプソン ルークになった。来日7年目で日本語もめきめき上達し、簡単なインタビューには日本語で答える好漢である。

 愛称は「トモ」。ニュージーランドで生まれ、名選手を多数輩出するカンタベリー州で育った。父・デイブはカンタベリー州代表で70試合以上出場した名選手。しかし、トモは、サッカー、バスケットボール、クリケット、スイミングとさまざまなスポーツに親しみ、バランスのいい筋肉を身につけていった。ラグビーでは、同地区の14歳以下代表からすべてのエイジグレードで代表になり、三洋電機からの誘いで短期間のプレーを念頭に来日した。しかし、彼は帰らなかった。日本の文化と人がすっかり気に入り、腰を落ち着けてプレーすることを決意。近鉄に移籍後は骨惜しみしない献身的なプレーが認められて日本代表にも選出され、2007年のワールドカップにも出場した。

 細身に見えるが、バランスボールの上に乗ってラインアウトのキャッチ練習をする体幹の強さは最大の武器。少々のタックルでは倒れず前に出る。リーダーシップも高く評価されており、前節の神戸製鋼戦では疲労困憊の中で、「このまま続けろ、攻めるんだ」と声を枯らした。今週末は古巣・三洋電機との戦い。「どんな相手も必ず勝つチャンスはある」と闘志を燃やす。父からもらった大切な言葉が心の支えだ。
「いま、相手チームが何をしているかを考えろ。同じポジションの選手がどんな準備をしているか考えろ。そして試合当日、彼らよりいいプレーができるように準備するんだ」

 


注目選手 Photo

中山義孝
(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)

◇黙々と身体を張った男は、キャプテン就任で変わった

   

中山義孝(なかやま・よしたか)◎大分舞鶴高校→同志社大学→トヨタ自動車ヴェルブリッツ。日本代表キャップ11。今季よりトヨタのキャプテンを務める。1982年8月6日生まれ。184cm、111kg。LO/FL。
(C)2010,JRFU(photo by K.Demura RJP)

 第4節まで全勝で三洋電機ワイルドナイツを追いかけるトヨタ自動車ヴェルブリッツを引っ張る闘将である。ジャージがはち切れんばかりの分厚い筋肉の鎧をまとい、黙々と走り、タックルし、相手ボールに絡む姿勢は、それだけでチームメイトの信頼を勝ち得るが、勝負所ではトライも奪う得点センスもあり、優勝争いを繰り広げるトヨタ自動車のキーマンである。

 中山は9歳からラグビーを始めた。大分舞鶴高校、同志社大学とラグビーのエリートコースを歩いてきたが、意外にもキャプテンを経験するのは今季が初めて。朽木泰博新監督に指名を受けた。当初は大役に気が引けたが、いったん引き受けてからは積極的にチーム改革に動き、若い選手にも発言の機会を与えてチームの結束を強めている。
 主務の福田清志さんはこう話す。「それまでは自分の仕事をひたすらこなすタイプでしたが、自ら発信しコミュニケーションを取るように変わりましたね」。なぜ話さなかったかについては、専門誌ラグビーマガジンのインタビューに、高校一年時、女子生徒を言葉で傷つけて以来、「一言も喋らない日もありました」と、高校、大学時代を告白している。

 今は試合後、報道陣に囲まれてもあふれ出すように言葉が出てくる。ラグビーを想う言葉は、ずっと体の中で外に飛び出すチャンスを待っていたのだろう。身体を張るだけでなく、生き生きとラグビーを語るキャプテンが、好調・トヨタ自動車の原動力なのである。



チケット

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場 チケット
10/09(土) 12:00 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス トヨタ自動車ヴェルブリッツ 熊谷 チケット
10/09(土) 12:00 神戸製鋼コベルコスティーラーズ コカ・コーラウエストレッドスパークス 近鉄花園 チケット
10/09(土) 13:00 クボタスピアーズ

サントリーサンゴリアス

新発田 チケット
10/09(土) 14:00 NECグリーンロケッツ リコーブラックラムズ 熊谷 チケット
10/09(土) 14:00 近鉄ライナーズ 三洋電機ワイルドナイツ 近鉄花園 チケット
10/10(日) 13:00 豊田自動織機シャトルズ 福岡サニックスブルース 刈谷 チケット

10/10(日)

14:00 東芝ブレイブルーパス ヤマハ発動機ジュビロ 盛岡南 チケット
■チケット全国発売日
第1節~第7節  2010年 7月24日(土)
第8節~第13節 2010年10月23日(土)
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