トップリーグ2010-2011特集 TOPプレビュー&TOPマッチレポート「今シーズンのトップリーグはここを見よ!
今シーズンより、トップリーグホームページでは、スポーツライターとして活躍中の永田洋光氏と村上晃一氏による毎節の見どころと、両氏およびその他第一線で活躍する豪華執筆陣によるマッチレポートをお届けいたします!

リーグ戦 第9節(12/4 - 12/5)

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試合結果

開催日 Kick Off Host   Visitor 会場
12/04(土) 12:00 豊田自動織機シャトルズ 17-29 NECグリーンロケッツ 瑞穂
12/04(土) 14:00 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 34-28 東芝ブレイブルーパス 瑞穂
12/05(日) 12:00 クボタスピアーズ 20-22 ヤマハ発動機ジュビロ 西京極
12/05(日) 13:00 福岡サニックスブルース 41-38 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス グローバル
12/05(日) 13:00 コカ・コーラウエストレッドスパークス 0-62 三洋電機ワイルドナイツ KKウイング
12/05(日) 13:00 リコーブラックラムズ 24-31 神戸製鋼コベルコスティーラーズ 高知陸
12/05(日) 14:00 サントリーサンゴリアス 57-13 近鉄ライナーズ 西京極

マッチレポート

サントリーサンゴリアスの「アグレッシブ・アタッキングラグビー」加速

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アタッキングラグビーが炸裂したサントリーは8トライを奪う猛攻で近鉄に快勝した(写真はMOMに選ばれたSOピシ)
(C)2010,JRFU(photo by Aki Nagao RJP)

12月5日は、第9節の5試合が行われ僅差勝負が多かったが、三洋電機ワイルドナイツは、コカ・コーラウエストレッドスパークスを62-0という大差で退けて首位の座をがっちりキープ。3位のサントリーサンゴリアスも近鉄ライナーズに攻め勝ち、5位の神戸製鋼コベルコスティーラーズも、リコーブラックラムズに逆転勝ちしてそれぞれの順位を守った。一方で、不振のクボタスピアーズは、ヤマハ発動機ジュビロに終了間際の逆転負け。しかも、引き離すチャンスの簡単なPGを外してから防戦一方になったもので、負の連鎖がなかなか止まらない。ヤマハは、SH矢富勇毅、FB五郎丸歩の個人技による突破などで防御を崩し、順位争いの上で価値ある勝ち点「4」を獲得した。

サントリーサンゴリアス ○57-13● 近鉄ライナーズ(前半24-13)──12月5日

5連勝で3位のサントリーと、3連勝で6位の近鉄ライナーズ。トップ4争いの鍵を握る両者の戦いは、互いに激しく攻め合う目まぐるしい展開となった。

近鉄戦勝利に向けてサントリーには、「いくつかのターゲット」(竹本隼太郎キャプテン)があった。個々の力強い選手が揃う近鉄に対して、「一対一のタックルで確実に止める」、「攻撃のブレイクダウン(ボール争奪戦)でテンポ良くボールを出す」などなど、攻守に接点で当たり負けせず、ゲームを支配していく狙いである。

先制したのはサントリーだった。前半3分、CTBライアン・ニコラスがPGを決めて3-0。「いいスクラムが組めていた」(PR畠山健介)という言葉通り、サントリーはゴール前で得たPKからもスクラムを選択するなど強気に攻め、14分、SOトゥシ・ピシが中央トライ。21分には、近鉄側がボールを持ち込んだラックで、一気に押し返してボールを奪い、FL佐々木隆道が50m以上を走りきってトライ。24-3までリードを広げた。

近鉄も前半30分あたりから逆襲し、この日FLに入ったトンプソン・ルーク、タウファ統悦、CTBジェフリー・イエロメらを縦に走らせてサントリーを防戦一方に追い込む。オフサイドなどの反則が続いたサントリーは、WTB長友泰憲がインターセプトを狙ってオフサイドを犯し、チーム全体での繰り返しがあったとして、イエローカードを受けた。ただし、サントリーが苦しんだのは、この時間帯だけ。攻守の入れ替わるシーンは何度もあったが、素速いリアクションで大きな傷口には至らなかった。

サントリーは、後半に入ると縦横無尽にボールを動かし始め、近鉄の防御を翻弄する。9分、この日大活躍のSOピシが、SH日和佐篤のパスを大きく方向転換しながら受けてトライ。直後にCTB平浩二が激しいタックルを決めるなど、接点の攻防で上回るサントリーのトライラッシュが始まり、瞬く間に点差が広がった。「一対一のタックルができないと、サントリーの勢いは止められない」という近鉄のトンプソン・ルークの言葉がすべてだろう。

「我慢比べに勝つことができて良かったです」とはサントリーの竹本キャプテン。WTB小野澤宏時は、この日も2トライをあげ、通算12個でトライ王争いを独走している。「単純にアタックの機会が多いので、ボールを触る回数も多い、楽しいですよ」。左WTBの小野澤いわく、「きょうは右にボールが集まる日」だったらしく、「あまりにもボールが来ないから、自分から右へ行っちゃいましたよ」と、36分にLO篠塚公史からパスを受けて右隅に飛び込んだトライを説明した。

近鉄は元オールブラックスのCTBリコ・ギアが膝を痛めて欠場したこともあって攻撃がやや単調だった。それでも、サントリーが、どのチームも飲み込まれてしまう近鉄の怒濤のアタックを止めきり、攻め勝ったことは大きな自信になるはず。試合後の記者会見、エディ・ジョーンズ監督は「もう三洋電機のことしか考えていません」と次節を見据えていた。

体脂肪をそぎ落とし、走れる肉体を作ってのシーズンイン。痩せすぎてトヨタ自動車ヴェルブリッツに当たり負けるなど、序盤で喫した2敗も、進化の過程での織り込み済みの敗戦だったのかもしれない。筋肉の量を増やして体重増を図りながらの終盤戦。サントリーの「アグレッシブ・アタッキングラグビー」の真価が問われるのは、次節の三洋電機戦となる。

(text by 村上晃一)

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この日も2トライを奪い、今季通算トライ数を12に伸ばしたサントリーWTB小野澤。トライ王街道をばく進中だ
(C)2010,JRFU(photo by Aki Nagao RJP)
ラインアウトで競り合う近鉄FLトンプソン主将とサントリーFLクレバー。近鉄はサントリーの攻撃的ラグビーに防戦一方となった
(C)2010,JRFU(photo by Aki Nagao RJP)
クボタを2点差で退け、ヤマハはトップリーグ残留に向けて貴重な勝ち点4を獲得した(写真は突破をはかるSH矢富)
(C)2010,JRFU(photo by Aki Nagao RJP)

 

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5分間の逆襲をしのぎ、予想外の"乱打戦"を制したトヨタ

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後半20分、東芝DFのギャップを突いて決勝トライを奪うトヨタCTBイェーツ。文句なしのMOMに選ばれた
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

12月に入り、第9節を迎えたトップリーグ。4日には名古屋・瑞穂公園ラグビー場で豊田自動織機シャトルズ-NECグリーンロケッツ、トヨタ自動車ヴェルブリッツ-東芝ブレイブルーパスの2試合が行われ、NECとトヨタ自動車がそれぞれボーナスポイント加える形で勝利を収めた。

トヨタ自動車ヴェルブリッツ ○34-28● 東芝ブレイブルーパス(前半27-14)──12月4日

アナログな瑞穂公園ラグビー場の時間表示が、思わぬスリリングなフィナーレを演出することになった。

後半39分。34-28と6点をリードするトヨタ自動車が東芝陣10m付近でペナルティキックのチャンスを得た。

分針のみの時計表示でも残り時間が1分以下であることはわかったが、秒数までは確認できない状況下。トヨタのゲームキャプテンNO8菊谷崇が「タッチに出した方がいい」(LO北川俊澄)というチームメイトの意見を押し切って、下した決断は「ショット(PG)」。

SOオレニ・アイイがキックティーにボールをセットしている間にタイムアップを伝えるホーンが鳴り響く。

試合後、「時計がデジタル表示だったらタッチに出していたと思います」と苦笑いしながら語ったのはトヨタ朽木泰博監督。

正確な残り時間がわからなかったことも影響して、そのまま試合を終わらせることよりも「スコアを7点差以上にして、相手のボーナスポイントを減らす」(菊谷ゲームキャプテン)ことを優先してのPG選択の結果、待っていたのは瀕死だった東芝による怒濤のカウンターアタックだった。

残りワンプレーであることがはっきりした状態でのPGをアイイがポスト右側に外す。

当然、東芝は自陣インゴールから一縷の望みをかけて、最後のカウンターアタックに打って出る。

時間にして5分超。それまでの80分間とは明らかに異なる集中力でワンフェイズを大事にしながら攻めに攻め続けた東芝は、とうとうトヨタ陣22m内へ。

トヨタにとってはひとつのポジショニングミス、あるいはひとつのタックルミスが、そのまま逆転負けにつながるトライとなる絶体絶命の大ピンチ。

それでも、確かに約5分間続いた東芝のアタックにもミスはなかったが、「最後のPGが外れた時の対応はできていた」(FL中山義孝主将)というトヨタのDFラインにも最後まで穴が開かなかった。

最後には途中出場の新人FL安藤泰洋のビッグタックルも飛び出して、自陣ゴール前で猛攻をしのぎ切ったトヨタが、大きな大きな勝ち点5を手にした。

淡白な守りが致命傷になった東芝

開幕戦で三洋電機に惜敗した以降は勝ち星を重ね、2位の座をしっかりキープする東芝と、初戦でトップリーグ史上初となるサントリーサンゴリアス戦勝利をものにしたものの、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス、近鉄ライナーズに対する取りこぼしもあって、プレーオフ進出圏内ギリギリの4位に何とか踏みとどまるトヨタ自動車。

ともに、接点で相手を圧倒して自分たちのリズムをつくっていくスタイルのチームだけに、タイトな攻防が続くことが予想された一戦だったが、試合は意外な展開となった。

前半だけで、トヨタ3本、東芝2本の計5トライが飛び交う"乱打戦"模様。

「風が強かったので、前半チャレンジャーらしく風上をとって、スコアファーストしていく試合展開に持ち込みたかった」(朽木監督)というトヨタは、難しい位置からでもアイイがPGを狙って、キックでも加点。

その結果、ハーフタイムには27-14という、全くもって予想外と言っていい"大きな数字"が並んだ(ちなみに、昨季の同カードの最終スコア12-8)。

後半は風上となった東芝が12分、14分とトライを重ねて、いったんは28-27と逆転。

それでも、この日、前半だけで3トライを失った、「1人目がしっかり倒すことができず、淡白になってしまった」(瀬川智広監督)という東芝のDFは、後半20分にもう1度破綻する。

東芝陣10m付近のラインアウトから左展開し、CTBスティーブン・イェーツが東芝のミッドフィールドにぽっかり空いたスペースを一気に切り裂いて再逆転トライ。

最後の5分間の"おまけ"とも言えた厳しい時間帯も経て、トヨタがプレーオフスポットを我が手にするために貴重な勝ち点5をものにした。

両チームともウインドウブレイク中に「アタックばかりやった」 (東芝WTB廣瀬俊朗主将)と、攻撃中心の強化を進めたことも影響したのか、予想とは違うやや大味な試合となったトヨタ-東芝戦に先立って行われた一戦では、前半3トライを挙げたNECが豊田自動織機の追撃を振り切って、29-17で勝利。ベスト4入りに望みをつなぐ勝ち点5を獲得した。

(text by 出村謙知)

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東芝WTB廣瀬主将を止めるトヨタDF(右からSOアイイ、FL安藤、SH和田)。猛攻をしのぎ貴重な勝ち点5を得た
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
予想外とも言えるトライの応酬となった一戦だが、シーズン終盤で再戦があれば違う種類の展開に?(写真は東芝FLベイツとトヨタWTB遠藤)
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)
豊田自動織機は後半追い上げを見せたものの、前半の失3トライが響いてNECに29-17で敗れて勝ち点獲得はならなかった
(C)2010,JRFU(photo by Kenji Demura RJP)

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