神戸製鋼コベルコスティーラーズ 42-44 サントリーサンゴリアス
【week12/2010年12月25日(土) at 兵庫・ホームズスタジアム神戸】
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ここ数節、近鉄、サニックス相手に爆発的な攻撃力(57点、66点)をみせるサントリーサンゴリアスに対し、外国人枠3名のうち2名をBK(SOグラント、WTBアンダーソン)に充てスピード勝負を挑む神戸製鋼コベルコスティーラーズ。ひとつ間違えば大量失点の恐れがあるだけに、FWの出来が浮沈を握るゲームとなった。
神戸製鋼のキックオフ直後、タッチに出たボールをサントリーがクイックスローインするも、神戸製鋼に拾われ、パスを受けたSOグラントが中央へT(G成功7-0)。ブレイクダウンは互角だが、神戸製鋼はスピードに乗れず、サントリーは神戸製鋼のカバーDFに攻撃の芽を摘まれ、一進一退。
10分 神戸製鋼がPGを決め10点にリードを拡げ、ペースを掴み始める。一方個々のアタックは優勢なサントリーだが、フォロアーが不用意な反則を犯す。SOピシのランから創ったチャンスをWTB小野澤が繋ぎゴールラインに迫るも、神戸製鋼14大畑が辛くも止めピンチを脱する。ブレイクダウンの局面で、じわじわ神戸製鋼の懐に差し込んでいくサントリー。
16分ゴール前のラックからピシのパスを受けたFL6クレバーがショートで切れ込み左中間にT(G成功10-7)。一気に流れがサントリーに傾くかと思われたが、キックオフ直後の19分 サントリーが不用意に展開したボールを神戸製鋼SOグラントが狙い澄ましてインターセプトし、中央にT(G成功17-7)。
失点はハプニングとばかり、勢いに乗るサントリーは22分、左展開からWTB小野澤が3人を引きずって左隅にT(G不成功17-12)。25分 キックオフ直後自陣からオープンに展開する"イケイケ"サントリーだったが、ラックでオフサイドを犯し、墓穴を掘る(神戸製鋼PG成功20-12)。
その後両チーム細かなミスを繰り返し、得点に結びつかず。31分サントリーCTBニコラスのPG成功(20-15)、35分 神戸製鋼FL橋本のラインブレイクから得点に繋げたT(G成功27-15)とブレイクダウンの優劣とは裏腹にゲームは進んでいく。サントリーWTB小野澤のトライチャンスを神戸製鋼WTB大畑が踵を叩きノックオンを誘うなど、見せ場満載の前半終了間際、スクラムのコラプシングからクイックリスタートしたサントリーが連続ラック、最後はSH日和佐が潜り込んでT(G不成功27-20)。
後半、アタックを繰り返すサントリーだが、ラックでのオフ・ザ・ゲートや、フラットパスのタイミングがずれることに起因するオブストラクションでチャンスを潰す。一方、神戸製鋼は連続アタックをサントリーの"ゴールデンブランケット"に阻まれ加点できない。
54分 SOピシが起点となったループプレーから空いた穴にCTB平が走りこみT(G成功27-27)。57分 サントリーの不用意なレイトチャージから得たPGチャンスをモノにした神戸製鋼が30-27と再びリードするが、徐々にDFの足が止まり出し、サントリーにアタックスペースを許し始める。
67分 連続ラックから右展開、WTB14成田が右隅にT(G不成功30-32)。ブレイクダウンで完全に劣勢となった神戸製鋼は、69分、72分と連続トライを許し(30-44)、勝負あり。神戸製鋼も終了間際にWTB大畑が右肩の負傷と引き換えにトライを挙げるも、タイムアップ(42-44)。
トップ3(東芝、三洋電機、サントリー)に肉薄するも、3連敗に終わった神戸製鋼。シーズン当初よりDFの規律性がアップしたものの、ここ一番のフィットネスと集中力に歴然とした差がみえた3連戦だった。マン・オブ・ザ・マッチは御当地選手(報徳学園OB)のサントリーSH日和佐。(廣島 治)
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◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ 「本日はたくさんのファンにご来場いただき、感謝しています。この(上位チームとの)3連戦は勝つイメージしか持たずに練習してきたが、残念な結果となってしまいました」
○平島久照主将 「今日の試合は自分達の良いところもたくさん出たが、勝てなかったことが残念です」
──「良いところ」と「悪いところ」とは具体的にどの部分か?
○平島主将
「良いところはボールをつないでアタックができたこと、悪いところは、アタックで簡単に相手にボールを渡してしまうこと。そこが自分達の弱点だと思う」
──今日の勝敗を分けたポイントは?
○苑田ヘッドコーチ
「自分達のミスでボールを簡単に渡してしまうこと。サントリーがカウンターからアタックを仕掛けてくるのは分かっていたし、逆にセットプレーからのアタックはさほどではない、と分析していた。
──前節の敗戦でトップ4入りがなくなったが、どのようにモチベーションを保って練習、プレーしていたのか?
○苑田ヘッドコーチ
「トップ4に入れなかったからといって士気は落ちていない。自分達は一戦一戦、目の前の試合に勝つことしか考えずに準備してきた」
──前節からBKの選手を入れ替えたのは何故か?
○苑田ヘッドコーチ
「小笠原が開幕から良いコンディションを保っていたが、ここ数戦良いパフォーマンスを発揮できていなかったので、入れ替えた。またCTBはWTBフレイザーとのコンビネーションを考えて決めた」
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◎サントリーサンゴリアス
○エディ・ジョーンズGM兼監督 「きょうは面白い試合だった。反則数が17対9と多かったが勝てた。規律の問題がある。去年は似たような試合展開で引き分けだったゲームもあり、今日の勝利は本当にうれしい。次節の東芝戦に向けて良い準備をしたい」
○竹本隼太郎主将
「自分達のミスから苦しい試合となったが、(7トライで)5ポイント取れたことを素直に喜びたい」
──ミスをした後でも、自分達を見失わずにプレーできたか?
○竹本主将
「ミスを引きずることなくプレーできたと思う」
──反則はゲートですか?
○ジョーンズ監督
「自分達はいつもレフリーに従っている。良いチームはミスをしてもミスを引きずらない。レフリーの判断に対応してゲーム中に修正していかなければならない」
──試合開始後はじめに2トライとられたが、プレーオフに向けて何が課題だと思われるか?
○ジョーンズ監督
「グラントのインターセプトは素晴らしかった。この試合は負けを予測した試合でもあった。強豪の神戸製鋼とアウェーの試合であり、大畑選手の神戸での残り少ない試合のひとつだった。その中で選手たちがよくファイトしてくれた。次節の東芝戦では今日より良い立ち上がりを心がけたい」
──せっかくのフィットネスの優位性を、自分達のファールで崩していないか? 自分たちが正しいと思っているゲートをだめだと言われすぐに修正できるものですか?
○ジョーンズ監督
「今日は良く修正できていたと思う。レフリーにはレフリーの見解があり、自分達はそれに従う」
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