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三洋電機ワイルドナイツ 0-6 東芝ブレイブルーパス
【プレーオフトーナメント ファイナル/2010年1月31日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】
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ノートライのゲームを東芝が制し2年連続トップリーグの覇者に
リーグ戦12勝1分で首位、先週のセミファイナルでトヨタ自動車ヴェルブリッツを破った三洋電機ワイルドナイツと、リーグ戦では大敗したサントリーサンゴリアスをセミファイナルで破り意気上がるリーグ戦3位(10勝3敗)の東芝ブレイブルーパスによるプレーオフトーナメントファイナル。昨年と同じチーム同士の対戦だ。
三洋電機はセミファイナルで出場停止処分を受けていた司令塔トニー・ブラウンが復帰したものの、主将の霜村誠一とトライゲッターの北川智規をインフルエンザで欠くというやや苦しい布陣。一方の東芝は右膝を痛めてセミファイナルを欠場した主将の廣瀬俊朗が戦列に復帰した。
晴天の秩父宮ラグビー場、18000人の観衆が見つめる中、三洋電機トニー・ブラウンの逆サイドへのキックオフでゲームが始まった。
開始早々から両チームとも積極的に攻撃を仕掛けるも、しっかりとしたディフェンスでなかなか得点に結びつく状況にはならない。何より双方ともミスが少なくプレーが継続するファイナルらしい見ごたえのある展開だ。10分、均衡を破ったのは東芝で、自陣に蹴りこまれたキックを背走する形になったトニー・ブラウンがボールの処理に手間取り、苦し紛れに自陣10m付近にけり返したキックを東芝SH吉田がゴール手前まで大きくゲイン。トライにはならなかったがこの攻防で三洋電機のオフサイドを誘い、SOヒルのペナルティゴールが成功し東芝が3-0とリードした。
前半はその後も東芝がボールを良く繋ぎ攻め込むシーンが多かったが、三洋電機のディフェンスを破るには至らず緊張したゲームが続いた。前半終了間際、三洋が再度ゴール前で反則を犯し、40分ヒルが二つ目のペナルティゴールを決めて6-0で前半を終えた。
後半も東芝の攻撃を三洋電機が粘り強いディフェンスで防いでいく場面が続いた。三洋電機は先手先手で選手の入替えをして流れを変えようと試みるが思うようにいかない。しかし試合終了前10分ごろから、ようやく東芝陣内に攻め込み相手をゴール前に釘付けにした。ペナルティキックを狙うチャンスが再三あったが三洋電機はトライにこだわり、ラインアウトモールからのトライを狙う戦略をとった。34分には反則の繰り返しで東芝の2番湯原祐希がシンビンとなったが、東芝がなんとか凌いで後半は双方無得点、6-0東芝リードのままノーサイドとなった。
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飯島監督(右)、龍コリニアシ ゲームキャプテン
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◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督 「選手たちは本当によくやりました。本当に誇りに思います。ベストのコンディションをつくってやれなかった責任を感じています。しかし、選手は持てる力を出してくれました。悔しいですが、前を向いて頑張りたいと思います」
──誤算は?
「前半、東芝さんが接点の部分で、私たちが考えていたより前で来ていましたので、ハーフタイムにもっとディフェンスでノミネートしようと、前でアドバンテージがもらえる人を見て当たろうと指示しました。ペナルティゴールに関しては、選手が決めたことですので、正解だし、良かったと思います。ただ、力が足りず、獲り切れなかっただけです。非常に時間と場所が難しい場面でしたが、選手の選択は正しかったと思います」
──ノートライゲームだったが?
「三洋も東芝さんも、非常に穴がないチームで、お互いに強い守りのチームです。分析していた通りです。三洋も、前半、何回かラインブレイクされましたが、あきらめず良く守り切りました。最後、トライかという場面もありましたが、数十センチの差でできませんでした。お互い、素晴らしいディフェンスだったと思います」
──霜村、北川選手が出られなかったが?
「代わりに出た山内、三木は良くやっていたと思う、それだけです」
──インフルエンザについて?
「出られなかった霜村、北川、それに今日発熱して、来られなかった高安、皆、かわいそうです。試合が終わってから、皆で一緒に帰るなど、もっと配慮しておくべきでした」
○ホラニ・龍コリニアシ ゲームキャプテン 「今日、来てくださった皆さん、応援ありがとうございました。今日は、東芝さんのブレイクダウンが強いのは分かっていたのですが、予想以上に、結構来ていました。皆、ギリギリの力を出してくれましたが、今日は、東芝さんが一枚上手でした」
──ペナルティゴールを狙わなかったが?
「ハーフタイムで、あと40分走りきろうと、攻めようと言っていたので、まあ3点取りにいっても良かったとは思いますが、その時はトライを獲りに行こうと決めていましたので。結果、獲れなかった、それだけです」
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瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
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◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督 「本当にトップリーグのプレーオフに大勢のお客様がいらっしゃって、その前で、三洋さんという素晴らしいチームと戦えて、凄く嬉しく思っています。選手が、本当に素晴らしい試合を、何よりも、ラグビーの素晴らしさを演出してくれたと思います」
──二年越しの胴上げのときは?
「感謝の言葉しかありません。日本一強いチームでなく、日本一素晴らしいチームを作りたいと思ってやってきました。今日、試合で勝つことができたのも、それができたからだと感じていました」
──去年の悪夢を断ち切れたのは?
「開幕の三洋戦で断ち切ろうとしましたが、今思えば、試合ごとに、断ち切ってきたように感じます。やはり、先週のサントリー戦で、(最終的に)断ち切ることができて、この一週間は喜ぼうというきっかけになった試合でした」
──3敗しての優勝だが?
「今シーズンの3敗が物語っていますが、リーグ戦での負けた悔しさを準決勝でぶつけることができました。全勝を狙うより、一戦一戦戦ってきたことがこの勝利を呼んだと思います」
──ノートライの決勝だが?
「6点しか取れませんでしたが、何トライ獲るより重みのある6点でした。三洋さんの下に入るタックルに、ボールキャリアが立って繋げられませんでした。三洋さんの良いところが出たと思います。もう一度戦うときは、しっかりやっていきたいと思います」
○廣瀬俊朗キャプテン 「本当に素晴らしい観客の皆様に感謝します。自分たちを信じて、戦いました。昨年はウィニングランも自粛し、胴上げもなく、瀬川さんもいませんでしたので、何とか喜びを分かち合いたいと、瀬川さんを晴れの舞台で胴上げしたいと思ってきました。選手たちがよくやってくれて、それができたと思います。また、サポーターの方が、苦しいときも僕らを信じてくださったことが大きかったと思います。ありがとうございました」
──後半、攻められ続けたときは?
「後半、東芝が攻めてスコアできないとき、三洋さんに流れが来ると思っていましたので、ついに来たな、と。ここで守り通せば、勝利が得られると思いました。あそこはシンビンで一人いなくても、FWが良くやり切ってくれました」
──去年の悪夢を断ち切れたのは? 「ターニングポイントは先週の試合です。リーグ戦のときも、いつ爆発するのか模索していました。たまたま、サントリーさんにリーグ戦で大敗して、中居バイスを中心にリベンジの気持ちを盛り上げてくれたと思います」
──最後はモールで来られたが?
「外国人中心にゴール前の重さも強さもありますので、脅威でしたが、その前に三洋さんがボールを回しても、あまりうまくいかないので、トニー(ブラウン選手)もモールに勝負をかけようとしたのだと思います」
──三洋はペナルティゴールを狙わなかったが?
「トライを狙われるのは嫌でした。3点得点されても、キックオフから敵陣でやれますし、ターンオーバーも狙えますから。そこで、ショットでなく、勝負に来てくれた、これか、来たなと感じていました」
──去年は辛い経験もしたが?
「去年もやっぱり、心から感謝、ありがとうという気持ちを味わえたのが大きかったと思います。本当に辛い時、感謝の気持ちが持てると感じました。もちろん、その思いがあって、東芝のプレーに出たのだと思います」
──ブラウン選手のキック対策は?
「うまくいったんじゃないかと思います。ハイパントの処理も良かったし、こぼれたボールもマイボールにできましたし」
──39分にペナルティからすぐ攻めたが?
「タッチを切って、ラインアウトからボールを1分くらいキープしようという考えでしたが、予定外のことが起こりまして(笑)」
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