2010.01.25 [MON] 協会リリース Twitter Facebook Google+ LINE プレーオフ セミファイナル マッチ&会見リポート(三洋電機 25-21 トヨタ自動車) C:2010, JRFU(Photo by A. HASEGAWA) 三洋電機ワイルドナイツ 25-21 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 【プレーオフトーナメント セミファイナル/2010年1月24日(日) at 大阪・近鉄花園ラグビー場】 リーグ戦12勝1分で首位の三洋電機ワイルドナイツと、リーグ戦10勝1分2敗で4位のトヨタ自動車ヴェルブリッツのプレーオフトーナメントセミファイナル。 前半は双方固いディフェンスでなかなかゴールへ迫れない展開が続き、ショットの応酬となる。6分、トヨタ自動車SO10番 アイイがハーフウェイ付近からDGを狙い(不成功)、続けて8分に同じくアイイがPGを決めて0-3と試合が動き始めると、三洋電機も10分にSO10番 入江がDGを敢行(不成功)、13分にリーグ得点王のFB15番 田邉がPGを決め、3-3と追いつく空中戦の様相。前半の終了間際まで6-9とトヨタ自動車リードでこのまま前半を終えるかと思われた39分、三洋電機はトヨタ自動車陣内に深く攻め込み、ゴール前5m右中間ラックから右展開し、SH9番 田中→FL6番 劉に繋がり中央にトライ(ゴール成功)、13-9の僅差で、三洋電機がリードして前半を折り返す。 後半、先に得点を挙げたのは三洋電機。5分、ゴール直前右中間ラックからSH9番 田中→LO4番 アイブスと右展開し、右隅にトライ、難しい位置からFB15番 田邉がゴールも決め20-9とリードを広げる。この後両チームともディフェンスが崩れることなく、がっぷり四つの状態が続く中、23分、トヨタ自動車が、三洋電機陣内に深く攻め込み、インゴールにボールを持ち込んで花園初のTMO(テレビ・マッチ・オフィシャル)判定にもつれ込むが惜しくもトライは認められず。逆に、三洋電機が、27分ゴール前35m右中間ラックから、SH9番 田中→WTB14番 北川と繋いで右隅にトライ、25-9と突き放す。 トヨタ自動車もこのままでは引き下がれず、30分、三洋電機陣内で得たPKをCTB12番 難波の速攻からWTB11番 久住に繋ぎ左中間にトライ(ゴール成功)、25-16と追い上げる。さらに36分、トヨタ自動車がゴール前20m右サイドのラックから左展開し、最後はSO10番 アイイが左隅にトライを決め25-21とすると、残り3分の大逆転があるかとスタンド内にどよめきが起きる。 ノーサイドホーンが鳴った後も、トライを奪おうと必死に攻めるトヨタ自動車と防御する三洋電機の間で死闘が繰り広げられたが、最後はトヨタ自動車痛恨のノックオンでノーサイド。互いに磨きぬかれたプレーと最後まで続いたスリリングな戦いに、スタンドを埋めた双方の大応援団から、惜しみない拍手が送られた。 トヨタ自動車が三洋電機の堅守をブレイクできず、再三再四ショートパントやグラバーキックで三洋電機BKラインの裏側に出ようとするも果たせず、一方、三洋電機はリーグ1位の実力の片鱗を見せ、22mまで攻め込んだチャンスを着実にトライに結びつけたところに、勝敗を分けたポイントがありそうだ。三洋電機は、決勝戦に駒を進め、トップリーグ初制覇をかけて東芝と相対することとなった。(大阪府協会 山林右二・蜷川善夫) 石井監督(左)、麻田キャプテン ◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ ○石井龍司監督「戦前の予想は三洋電機有利の声が圧倒的だったので、反骨心を持って食らいついたが、相手は一枚上手だった。負けたとはいえ、ボールを大きく動かすという強みは生かせたので、日本選手権では磨きをかけ再度挑戦したい」 ○麻田一平キャプテン「‘関西’という地元、またトヨタ本社の方々をはじめ、ファンの皆様に大勢応援いただき、いい雰囲気のもとゲームができた。リーグでの三洋電機戦が完敗だったので、反省点を修正し今日に臨んだので、是が非でも勝ちたかった。不要な反則やケアレスミスが多く、ビッグゲームになればなるほど、基本プレーが重要だということを痛感した。点差が開いたところから、踏ん張り追い上げたことは、今日の収穫である」 ──ゲーム開始直後のPGチャンスを狙わなかったことについて。 ○麻田キャプテン 「立ち上がり10分は積極的にボールを動かすことにしていた。選択に迷いはなかった」 ──後半のゲームについて。 ○石井監督 「前後半を通じて、ボールを積極的に動かし、ここ一番にランナーをぶつける意図に変更はない。後半、点差をつけられたところで、チームにいい意味の開き直りができ、攻勢に転じることができたのではないか」 ──前半終了間際、三洋電機にトライを奪われたことについて。 ○麻田キャプテン 「あのトライは、勝負のアヤから生まれたもので、仕方がないし、それにより気落ちしたというものでもない。ただ前半反則が多く、またキックを多用し、ペースが上げられなかったことは反省すべき点である」 飯島監督(右)、霜村キャプテン ◎三洋電機ワイルドナイツ ○飯島均監督「トヨタ自動車は、ブレイクダウンで激しく、スペースを存分に使ういいラグビーをみせてくれた。前半我々は規律面で乱れてしまい(ペナルティ8)ペースが狂ったものの、最後はよく踏ん張ったと思う」 ○霜村誠一キャプテン「前半、自分たちのミスでペースを崩してしまった。後半は持ち直したものの、簡単には勝たせて貰えない。プレーというより精神面で猛省するゲームだった」 ──ペースを崩した原因について。 ○霜村キャプテン 「ブレイクダウンでのトヨタの激しさで妙に焦り、敵陣に行こうと気がはやり過ぎ、反則を重ねた。ゲーム途中からシンプルなゲーム運びを心がけるよう修正し、結果、大崩れしなかった」 ──もう少し詳しく。 ○霜村キャプテン 「焦らずゲームを修正できた要因は‘自信’だろうと思う。これのおかげでパニックになった局面はあっても、お互いに声を掛け合って乗り切れた」 ──決勝にむけて。 ○飯島監督 「昨年の覇者であり、挑戦する気持ちが大切である。不要な反則をせず、日本ラグビーの最高峰であるという素晴らしいゲームを心がけたい」 ──対戦相手の東芝について。 ○霜村キャプテン 「今、相手が(東芝と)判ったばかりで、どう対処するかは、これからチーム内で調整していく」 ──トヨタ自動車について。 ○飯島監督 「ブレイクダウンでのフィジカルが強い印象を持った。アイイがSOに入り、ラン、キックと攻撃の幅が広がっている」 ○霜村キャプテン 「リーグ戦は、地元太田開催ゲームだったので、多分にアドバンテージがあった。こぼれたボールをトライに繋げた幸運もあり大勝できたが、本来は監督のコメントにもあるようにフィジカルの強いチームだ」 ──SOブラウン出場停止の影響について。 ○飯島監督 「ブラウンの欠場で、アタックのオプションが減っていたのは確かだ。次は今日のゲームメーカー入江と(ブラウンの)2枚になるので、エリアマネジメントでのオプションは多くなる。ブラウンの穴は榎本がDFを中心に充分埋めてくれた」