NECグリーンロケッツ 29-17 ヤマハ発動機ジュビロ
【week13/2010年1月9日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】
雲ひとつない快晴の秩父宮ラグビー場、約10000人の観衆が見守るなか、ヤマハのキックオフで熱戦の火ぶたが切られた。
開始1分、NECが早々と先手を取った。敵陣22m付近のラインアウトからモールを形成、右PR土井が右隅にトライ(ゴールは不成功、5-0)。
その後は、ヤマハが優位に立った。BK陣が早い展開から左右にボールを動かし、NEC陣内で試合を進める。いまのメンバーで戦う姿を、ヤマハのファンは瞼に焼き付けているようだ。
一方のNECも、ワイルドカードトーナメント出場のためにはこの試合で勝つことが絶対条件。ゴールラインを背に、必死のディフェンスを見せる。
30分、ヤマハの右FL串田がスタンピングでイエロー、さらにSO大田尾が負傷で場外に退場(その後中園に交替)した直後、NEC左CTBロビンスが自陣から敵陣22mまで切れ込み、左ラックから右に展開し、最後は右FL権丈が中央にトライ、SO松尾のゴールも決まり12-0とした。
さらにNECが1トライ1ゴールを加え、19-0とリードして前半を終えた。
後半開始5分、NECのSO松尾が敵陣22m付近(左中間)からPGを決め、ヤマハを突き放す(22-0)。
相変わらずヤマハが攻めるがフィニッシュまでたどり着けない。NECキャプテンのNo.8ラトゥが気迫のこもったプレーで、逆襲の核となっている。
13分、ヤマハがNECをゴール前まで追い詰めた。NECが必死のディフェンスで応じる。前半から何度も見たシーンだったが、ゴール前スクラムから左に展開、SOに入った辻井がインゴールに飛び込みヤマハに待望の初トライが生まれた(ゴール不成功、22-5)。
さらに18分、ヤマハが左ゴール前モールから右に展開、右WTB中園が右隅にトライ、22-10と追い上げた(ゴール不成功)。
ヤマハが試合のペースを掴んだと思われた26分、NECの右WTB窪田が自陣ゴール前から快走、右FL権丈が中園のディフェンスをかわし右隅にトライ(ゴール成功、29-10)。
両チームともBKにスピードがあり、活発なラグビーを展開する。明るい日差しのなか30人のトップリーガーが躍動し、観客を酔わせた。
後半終了間際、ヤマハが1トライを返した(ゴールも成功)が、29-17でNECが熱戦を制した。なお、MOMには2トライをあげた右FL権丈が選ばれた。(康乗克之)
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シューラー監督(右)、山村キャプテン
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◎ヤマハ発動機ジュビロ
○ケビン・シューラー監督
「まずは、結果として負けたので残念ですし、悔しいです。前半の途中まである程度リズムを作ったが、シンビンで崩れ、後半の最後も流れが崩れて痛かった。思いきってがんばったけれど、こういう試合になってしまいました。来週の試合へのポイントはつかめたので、絶対に来週の試合(ワイルドカードトーナメント)はがんばります」
──修正する点は?
「簡単なところでボールをミスしてしまっていますので、チャンスで『獲る』という気持ちです。今日の前半もチャンスを作りながら、その『仕留め』ができなかったところと、一発で獲られてしまう脆さが課題です」
──相手の2.5倍くらいボールを保持しながら獲れないが?
「ハーフタイムにも選手に話したのですが、ボールキャリアのところで出せていないのが思い通りの試合ができない原因です。安定が必要です」
○山村亮キャプテン
「勝ちに行った試合でしたので、悔しい気持ちで一杯です。最初のプレーのモールで乗せてしまったと感じています。リズムになかなか乗れず、この結果となりました。来週の試合から負けたら終わりの試合ですので、このチームで一日でも長くラグビーをやりたいと思います」
──攻めてはいたが?
「ファーストフェイズ、セカンドフェイズで良いボールがクイックで出ないのが課題です。しっかり来週の練習から形を作りたいと思います」
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岡村ヘッドコーチ(左)、ラトゥ ゲームキャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ 「11月から立て直して練習し、一戦一戦、選手ががんばってくれて、今日も一枚成長した試合でした」
──今日の試合の勝因は?
「前半、スコア的には良かったが、エリアマネジメントは凄く苦しみました。その中でも、あれだけ攻められ続けて0点に抑えたのは良かったです。一番、心が折れそうになる自陣の戦いでストラクチャーを冷静に遂行したのが勝因であるし、誇れる部分です」
──2つのトライは左右に振って理想的だったのでは?
「練習は、もちろん春からしてきましたが、プレッシャーの中でミスが起きていました。選手たちがそのまま終わらず、一戦一戦成長してきたけれど、このようにスコアと結びつくと若い選手が多いので自信につながると思います」
○ニリ・ラトゥ ゲームキャプテン 「本当に簡単なシーズンではないが、選手たちの素晴らしい努力が見られた試合だったと思います。お互いを信頼するハートが大事だと言って、練習してきたので、少ないチャンスを生かすことができました。今日の選手たちの努力に感動しました」
──後半は?
「ヤマハさんが積極的に攻めてくることは分かっていました。練習ではディフェンスストラクチャーを破らないようにしてきましたが、若干、崩されたところもありました」
──3トライしか獲っていない時点で焦りは?
「最後のトライに向けて我慢が必要でした。ヤマハさんがボールをキープするので難しかったが、最後はハードワークで権丈が獲ってくれました。最終的に乗り越えたことを誇りに思います」
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