東芝ブレイブルーパス 22-59 サントリーサンゴリアス
【week12/2009年12月26日(土) at 東京・味の素スタジアム】
ジャパンラグビートップリーリーグ 第12節 東芝対サントリーの府中ダービーマッチが、晴天の下、味の素スタジアムで行われた。現在、サントリーが2位に、東芝が3位に位置しており、優勝争いを繰り広げている両チームとしては負けられない一戦である。
立ち上がりから約10分間、東芝がサントリー陣内で激しく攻めていた。しかし、細かいミスがあり、なかなか得点をすることができない。逆にサントリーは、東芝ボールのラインアウトでのこぼれたボールを、9番 グレーガンが拾い、直ちにオープン攻撃。一気にハーフラインまで切り替えし、15番 有賀からのパスを受けた11番 小野澤がキックし、最後は12番 ニコラスが押さえ、先制トライ。このトライでサントリーは一気に流れに乗り、その後も主導権を握り、前半に5トライを奪う猛攻であった。
一方、東芝は、23分にFW・BKが一体となった攻撃によりサントリー陣内に激しく攻め込み、最後はFWが押し込む(5番 大野のトライ)。FWとBKが一体となりボールを継続していくという東芝らしいトライであった。しかし、他の局面では、細かいミスや、接点で激しく前に出てくるサントリーのプレイにより、前半は主導権を握ることができなかった。39対10とサントリーのリードにより前半は終了。
後半に入ってからもサントリーの勢いは止まらず、25分と32分にトライ、さらに2つのPGと得点を重ねた。東芝も19分と29分にトライを返したが、前半での失点が大きくサントリーの勢いを跳ね返すことができなかった。
サントリーは前・後半を通じて、地域を獲得するキックやハイパントを有効に使い、また、接点で激しく前に出て東芝にプレッシャーをかけ続け、東芝の攻撃を阻んでいた。東芝もキックを多用せずにボールを大きく動かしていたが、サントリーの前に出るディフェンスのため、プレッシャーを跳ね返すことができなかった。この様な状況にあって、東芝の大野選手の攻守にわたるひたむきなプレイ、運動量は特に光っていた。東芝の3本のトライ中の2本を大野選手がしており、このことからも大野選手の健闘ぶりがうかがえる。
接点での攻防がゲームの行方を大きく左右しており、サントリーの健闘が、さらにはゲームメイキングの巧さも光ったゲームであった。
敗れはしたが、東芝は、サントリーとの間で点差ほどの力の差があるとは思えず、今後、チームを立て直し、プレーオフトーナメント、あるいは日本選手権で再度両チームが激突し、好試合をされることを期待する。
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瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
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◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督 「府中ダービーを味の素スタジアムで、我々にもファンの皆様にも大きな意味がある試合と認識していました。結果として、素直に悔しいです。応援してくださったファンの皆様に申し訳なく思います」
──精度が良くなかった要因は?
「サントリーさんは出てくるディフェンスで、ブレイクダウンに人数を掛けてくるので、落ち着いて自分たちのペースでやればよいものを、サントリーさんにボールを与えすぎたと感じています。そこで、何でもないのにあわててしまいました。当然、サントリーさんのブレイクダウンは強かったですが、こちらが自信を持ってやれれば問題はなかったと思います」
──吉田良平選手の出来は?
「キックに関しては落ち着いて良いところへ蹴っていました。仕掛けも悪くなかったが、しいて言えば勝たせて自信を持たせてやりたかったです。経験を積めば良くなるので、この悔しさを生かしてほしいです」 (会見終了後)「間違いなく借りを返しに参りますので!」と強い口調で宣言。
○廣瀬俊朗キャプテン 「まず、素晴らしい環境で試合ができたことに感謝します。グラウンドも良く、お客様も多く、その中でサントリーさんとやれて良い時間を過ごしたと感じます。試合はブレイクダウン、接点でうまくやられたと思います。コンテストで負けたとは思いませんが、良いものをサントリーさんから貰いましたので、プレーオフで借りを返します」
──何でもないところを少しずつやられたが?
「どちらかというと、サントリーさんより僕らが焦っていたと思います。どうしようもないプレッシャーはなかったのですが、今日はSOも代わってコミュニケーションが違った分、朋生(SH吉田)もかかっている感じでぽんぽん行っちゃったと思います」
──パントで獲られたが?
「多少ですが、キック処理の甘さがあったと思います」
──PGを狙わなかったが?
「もちろん、今日も攻め勝つつもりで、迷いなく、ずっとプレッシャーを掛け続けるつもりでした。ちょっとミスが出ましたが、東芝のアタックを見せてイメージさせる時間ととらえていました」
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清宮監督(右)、佐々木キャプテン
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◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督 「サントリーとして最高の試合で、気持ちよく戦えました。去年、思わぬ大敗を喫して、そこから東芝さんがトップリーグチャンピオンに一気に勝ち抜かれたので、同じイメージで今度はサントリーがそうなる予感がしました。序盤から本当に素晴らしいトライが獲れて、結果、今年はサントリーの番ですねとグラウンドでのインタビューでもコメントしました。もう一つ、100%満足いくゲームは今日はしたくなかったのですが、しっかり自分たちの課題やステップが見えるという収穫が凄くあったなと思います」
──外から見た課題は?
「やはり、ディフェンスになってくると思うんですね。とはいえ、今、トップリーグで失トライは一番少ないのかな?まだまだ、獲られなくて良い場面でトライ、失点があるので、やはり三洋さんと戦う上では修正していかねばならないと思います」
──ホーンが鳴っても攻めているが?
「まあ、敵陣でトライの匂いがするのにタッチに蹴るのはさびしいですね。ホーンが鳴っても自然に攻めるようになってきているのだと思います。自然に小野澤、トライしてくれという(笑)」
(会見終了後に)「良いお年を!サントリー関係者は良い正月が迎えられます」
○佐々木隆道キャプテン 「まず、今日もしっかりサントリーのラグビーをして、東芝さんという強いチームに勝つことができ、プレーした仲間にも東芝の選手にも敬意を表します。一つずつ勝っていこうと仲間には言っていますが、課題は近場のディフェンスで、収穫は最後のディフェンスでした。ここ2試合、試合の入りから良いラグビーができています。100%満足ではないが、少しずつ強くなっている実感があります。次もがんばります」
──去年と比べて?
「去年は怪我して、何の力にもなれなかった現実がありました。去年のベースに上乗せして、しんどい練習を積んできたという自覚があるので、去年のようにはならないという自信はありました。想定どおりというか、東芝さんはこのくらいの強さでくるだろうなと思っていた通りの強さでした。入りのプレーで負けないと言い続けてきているので、プレッシャーも感じたが、仲間を信頼する気持ちが切れることはなかったのがこの結果になったと思います」
──今年はホーンが鳴っても攻めるシーンが多いが?
「終らせたくないというか、もっとトライを獲りたいという気持ちです。80分アタックし続けるのが、ホーンが鳴っても続けるのがサントリーのラグビーだと思いますが、これからはちょっと考えます(笑)」
──キャプテンも良いトライがあったが?
「1週間、監督から怒られ続けて、やらないといけないという危機感がありました(笑)。良いプレーだったと思います。自分も、前よりも良くなってきたと思います」
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