NECグリーンロケッツ 33-14 福岡サニックスブルース
【week11/2009年12月19日(土) at東京・秩父宮ラグビー場】
強いグリーンロケッツが復活。ニュージーランドでのプレーのため10節までを欠場してきたLO浅野がFWを引っ張り、前節よりSOに上がった松尾とSH西田が随所にキックを織り交ぜ試合をコントロール。かつてとはメンバーが変わっても「ディフェンスのNEC」(岡村HC)は引き継がれ、福岡サニックスブルースの反撃を前後半1トライずつに抑えて快勝した。
気合十分なNECは立ち上り、キックで敵陣深く攻め入ると、押し込んだスクラムからLO安田が先制トライ。その後前半は取り切れず、逆にサニックスに1トライされ同点での折り返しになったが、FBに入ったロビンスの鋭いカウンターアタックから見事な繋ぎでサニックスゴールに迫るなど、この試合に賭ける気持ちが伝わってくる戦いぶり。
そしてNECは、後半の立ち上りも制した。右サイドでのラックから西田がボックスキック。NECのキックチェイスがサニックスWTBフィフィタの処理ミスを誘い、最後は蹴った西田がリターンを受け、後半開始僅か50秒ほどでのトライ。さらに6分、ゴール前ラックの上から手を伸ばしてタッチダウンしたFLサウカワならではのトライと畳み掛ける。26分には、チーム立て直しポイントの一つだったというラインアウトモールからFL権丈が飛び込み試合を決めた。その後も1トライを追加し、サニックスにこの日2トライ目を許すも、久々に会心の勝利となったNECの岡村HCは、「辛いシーズンだったが、11月(ウインドウマンス)中にも選手たちが心折れずに頑張ってくれた結果が出た」と喜んだ。
敗れたサニックスも、NECに負けない好ディフェンスを見せたが、アタックではノックオンやパスミスを連発。点差が付いてきてからは、相手FWの反則増にも付け込めず、「皆気持は入っていたのに、自分がチームをコントロールできなかった」とFL菅藤主将は自身を責めた。小野をCTBに回してSOに入った田代が前半早々に負傷退場、後半10分14点差(7-21)でWTB濱里が狙ったPGも外すなど、思うように試合を運べなかったサニックス。この日今季一番の底冷え込みとなった秩父宮ラグビー場を、早々と引き揚げて行った。(米田太郎)
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藤井監督(右)、菅藤キャプテン
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◎福岡サニックスブルース
○藤井雄一郎監督 「何とか後半、盛り返したかったのですが、NECさんのプレッシャーの前になかなかゲインできず、消極的な試合をしてしまいました。次はそこを直して臨みます」
──消極的とは?
「結構、力勝負になって、そこにこだわってしまって、やられてしまいました」
──トップリーグで独特のやり方で互角に戦っているが?
「やっぱり、選手がよく戦術を理解してくれて、もうちょっとのところに来ています。完成度も上がってきて、ラックやモール、スクラムで取られることもだんだんなくなってきたので、もう少しです。今日も何度か良いブレイクがありましたが、インゴールまで2回入って、トライできなかったのが悔やまれます」
○菅藤友キャプテン 「みんなが『行きたい』という気持ちがすごくあって、僕がうまくそれをコントロールしてあげられなかったのが悔やまれます。前半、PGを狙うのかもはっきりさせていればとも反省しています。後半の立ち上がりにFWがゲームを作ってあげられなかったことも、いけなかったと思います。選手の気持ちはすごく入っていたのに残念です」
──流れがつくれなかったのは?
「何回も同じようにペナルティをもらったのに、なかなか相手陣に入れなくて、地域を取れなくなって、点差がつき、陣地より攻めることしか考えなくなってしまったからだと思います」
──焦ってしまったのか?
「ミスが多くなって、点差が開いてあせりが見えました。プレッシャーに負けたと思います。NECさんがまともに来られたら危ない、と予想していましたが、想像通りパワーで上回られました」
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岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ ゲームキャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ 「非常につらいシーズンですが、選手は11月から心折れることなく強く練習に取り組み、この一週間のひたむきな結果が出たと思います。トヨタ戦もサントリー戦も結果は出なかったが、プレーの経過は良かったので、残り2戦も結果とプレーの両方が出せるようにがんばります。選手たちには感謝しています」
──選手に感謝とは?
「特に後半は、一人ひとりの役割、責任を理解して、ゲームを遂行してくれた結果だと思います。我々はこの試合に凄く掛けてきていて、トーナメントのつもりで臨みました。気持ちが空回りして、前半はもう少しの精度でしたが、後半は冷静に立て直してくれました」
──できてきたプレーの経過とは?
「例えばサントリー戦ではNECのディフェンスのストラクチャーを破るプレーをする選手がいましたが、トヨタ戦で立て直して、ストラクチャーも仲間も自分も信じて、破るプレーヤーがいなくなりました。それあってのアタックですから」
──苦しい時間帯もあったが?
「攻めてのミスやダイレクトタッチなどがありました。ミスが連鎖すると相手に流れが行きます。単純なミスはしかたがないと思います」
──つらいシーズンだが?
「どのチームも若返りを図っていることと思います。11月からは、まず、コンタクトエリアをやってきました。ボールの配給がないとストラクチャーも機能しません。もうひとつはラインアウトモールに絞ってやってきました。また、最後の20分のディフェンスは、体力的な辛さと点差のないプレッシャーからと分析し、練習の結果、ストラクチャーを破る選手がいなくなりました。みんなも試合をやりながら自信を得て、このサニックス戦で確信できたと思います。昔のNECとはメンバーはほぼ入れ替わっていますが、若いスピードとエネルギーのあるメンバーにもベテランがNECディフェンスのDNAを伝えてくれています。良い循環になっていて、1ランクアップしたと思います。苦しいとは思っていません。こういうゲームで若い選手が体で感じて成長してくれれば、日本選手権出場決定トーナメントにも出場できるし、今の我々ならベスト4に残れると信じています」
○ニリ・ラトゥ ゲームキャプテン 「シーズン通してハードだが、今、一段上のプレーができるようになり、向上していると思います。この2~3週間、いつでも戦える力を見せ始めてきています」
──これまで、4トライ獲ってから逆転されるパターンもあったが?
「最後に強く終わることが大事です。集中力が大事と選手たちに話しました。試合の終わらせ方を学んだと思います」
──どう選手を鼓舞したのか?
「まず、選手がネガティブにならないことです。カルチャーが違うので、日本ではミスしても励まそうとすることが大事です。責めるのでなく。ディフェンスにしてもそういうふうに伝えています」
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