10節 マッチ&会見リポート(サントリー 38-22 リコー)

マッチリポート
サントリーサンゴリアス 38-22 リコーブラックラムズ
【week10/2009年12月12(土) at山梨・小瀬スポーツ公園陸上競技場】

昨日の雨がウソのように晴れ渡った小瀬陸上競技場、グレーガン(サントリーSH)対ラーカム(リコーSO)の元オーストラリア代表ハーフ団の戦いとなった。
リコーのキックオフで始まったゲームは、1分も経たないうちにサントリーゴール前ペナルティからSH湯淺のクイックリスタートからNO.8(8)R・ハビリのトライ、ゴール成功(0-7)。出鼻を挫かれたサントリーは、ゴール前に攻め込むも反則を繰り返しリズムをつかめずトライに結びつけられない。しかし11分、キックの蹴り合いからサントリー有賀のゲインからチャンスを広げ、ラックから左に展開し(11)小野澤が左中間トライ(5-7)。
リズムを取り戻したサントリーは、16分(12)ニコラスのペナルティゴールが決まり3点追加し逆転に成功(8-7)。23分には(15)有賀のトライで15-7とした。
リコーは敵陣22m付近まで攻め込むもサントリーの固いディフェンスに阻まれ逆に反則を犯しリズムに乗れない。ラーカムのキック中心の単調な攻撃となりサントリーのカウンターを攻撃で相手にリズムを与えてしまった。
サントリーは、28分リコーの反則から(12)ニコラスがゴールを決め3点を追加(18-7)。
リコーは30分にPGを狙うも失敗。しかし、33分22m中央のPGを決め、追いすがる(18-10)。
前半終了間際リコーが反撃。前半終了のフォーンが鳴った後の敵陣ゴール前FKから右に展開、R・ハビリがインゴールに飛び込みトライ。ゴールも決まり18-17で前半を終えた。

後半に入り、一進一退の攻防が続き、激しいぶつかり合いが続いた。サントリーは10分敵陣22m中央でPKを得たがゴールを狙わずタッチにけり出しトライを取りに行く。惜しくもトライには成らなかったがモールの強さを見せつけた。しかし、2度目のラインアウトからモールを押し込み(6)佐々木がボールを押さえトライ。ゴール成功(25-17)。
サントリーはPGを狙わず、安定しているラインアウトからFW・BK一体となった攻撃を仕掛ける。リコーも必死のディフェンスでしのぐ。27分サントリーはラインアウトの起点から連続攻撃を仕掛け最後は後半途中出場の(21)トゥシ・ピシがトライ(30-17)。
しかし、リコーも諦めない。敵陣ゴール前ラインアウトのPKからSH(9)湯淺のクイックスタートからそのまま飛び込んでトライ(30-22)。8点差まで詰め寄った。
サントリーも35分ラインアウトからBKに展開。ブラインドWTBの小野澤を入れたサインプレーで(12)ニコラスがトライ(35-22)。ゲーム終了直前にPGを決め38-22ででサントリーが勝利した。

サントリーは、ノーサイドのフォーンが鳴ってもゲームを終わらせず、勝利が決定していても執拗にトライを狙いにいった。結局トライは奪えなかったが、意地と意地のぶつかり合いは、最後まで観客に感動を与えてくれた好ゲームとなった。
リコーは、中盤の攻撃ではラーカムのハイパント攻撃で活路を見出そうとしたが、逆にサントリーの安定したキック処理の精度を見せつけられた。しかし、リコーにトライされた3トライは、ペナルティからのクイックリスタートが起点となっており、その隙を見逃さなかったSH湯淺選手の判断は、素晴らしかった。


会見リポート
リコーブラックラムズ
ローデンヘッドコーチ(右)、瀧澤ゲームキャプテン
ローデン ヘッドコーチ(右)、瀧澤ゲームキャプテン


◎リコーブラックラムズ
○トッド・ローデン ヘッドコーチ
「今日は、うちの若い選手にチャンスを与えました。彼らもしっかり、そのチャンスを生かしたと思います。将来に向けて、とてもいい結果だと思います。スクラムも良かったです。サントリーもスクラムが強いということで有名だと思いますが、しっかりと戦えたと思います。もう少し、自分たちのゲームプランを守って安定感をしっかりもって戦えれば、もっといい試合になったと思います」

──ラーカム選手のスタンドオフについて?
「良かったと思いますが、僕は15番で使いたいと思います。河野という良い選手がいるので。今回は河野が怪我をしていますので。それでも、いきなり10番をやってほしいと言ったなかでは、すごい良く10番をこなしてくれたと思います」

──当初立てたゲームプランについて?
「部分的にサントリーにプレッシャーを掛けられるところがあるなと感じていて、何人かプレシャーを掛けたい選手がいて、そこはしっかりできたと思います。なので、彼らのキッキングゲームは止めることができたと思います。そういったところでサントリーのエリアマネージメントというところでは苦戦していたのかもしれません。怒ってしまったのは、サントリーのトライは私達がペナルティーを2回、3回と繰り返した後、トライをされたことです」

──小吹選手は怪我ですか?
「小吹は怪我はしていません。今回は、うちの若い選手が日本のトップチームとどうやって戦っていくのか観られる機会だと思った。そちらのオプションを取りました。意識的に未来のリコーのために選手を育てたいという部分もありました。今日終わって、わかりましたけども、やっぱりリコーには良い未来が待っている」

──山藤選手はどこか怪我をしましたか?
「肩の怪我みたいです。山藤もポジションを確保しつつあったので、少し残念です。彼もその若い選手の1人です。状況をみて怪我がどのくらい悪いのか確認してみないとわかりません」

○瀧澤佳之ゲームキャプテン
「守りに入った時にペナルティーを犯して、勢いを消してしまう形になってしまった。そういうところではサントリーは戦い方がうまく、もう少し自分たちが大人にならなければ、もうひとつレベルを上に持っていかなければ。激しさだけでは通用しない部分があった。ペナルティを減らさなければ直っていかないと感じました」



サントリーサンゴリアス
清宮監督(左)、佐々木キャプテン
清宮監督(左)、佐々木キャプテン


◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督
「3年ぶりに山梨で試合ができて、有賀親父のもとで息子がトライして、幸先いいかなあと思いながら観てましたけど、なかなか波に乗れず、前半の立ち上がりのイメージがずっと付きまとってしまった試合でした。総体的にはリコーが今日はうまく戦った。サントリーはうまく戦えなかった。
ただ後半最後20分くらいはメンバーもうまく潤滑しだした」

──うまく戦えなかった理由は?
「キックを使った部分。前半が特にそうですけども、時間でいうと20分位は、どちらのボールでもないような。そういう時間があったんじゃないかなと。やはりそういう時間の割合をできるだけ減らしてボールをキープしたい。そこがうまくできなかったので。できない要因はたくさんあった」

──トゥシ・ピシ選手の先発はそろそろ?
「いろいろなオプションを考えてます。そのオプションにはまったら。コンディション的には全然問題ないです。例えは、日本人がフォワードで、外国人3人がバックスとか。組み合わせの問題なので」

──ラーカム選手とグレーガン選手の直接対決について?
「ジョージはよくプレッシャー掛けてましたね。いつも以上に10番に行くのが早かったです。いつも集中しているプレーヤーですけど、いつも以上に気が入ってたと思います」

──グレーガン選手と田中選手の交代は最初から決めていた時間ですか?
「最初から決めていた時間帯。いいタイミングで得点が入ったので、より替えやすくなった」

○佐々木隆道キャプテン
「最初、リコーの気持ちに押されたというか、自分たちが最初から圧倒したかったんですが、すごく思い切りの良いアタックを展開されて、自分たちが目指しているプレーをできなかった。そういう最初のトライまでのシーンがあって。そこから自分たちの形を取り戻すことができた。選手の中からずっと『サントリーのラグビーをすればいい』と声を掛けてやっていたし、結果、後半はサントリーのペースでずっと試合を運ぶことができた。今日の試合に関しては、リコーの戦う気持ちを学べた。サントリーはそういう相手に対してタイトなゲームを勝利できた。そういうことがとても収穫だった、次につながるいいゲームだった」

──ラインアウト、スクラムで苦戦していたようですが、悪かったところは?
「悪かったとおっしゃったんですが、自分たちは前の2試合がもっと悪かったんですよ。(『今日、良かったよね』清宮監督 談)ラインアウトもほぼマイボール確保してましたし、セットからに関しては、最初は相手のプッシュが良かったです」

──ラーカムのスタンドオフとフルバック、どっちにいるのがいや?
「どっちでもいいです。一(いち)選手なんで。すみません。(『10にいるべきでしょうね。10として、世界一の選手になったのですから。リコーのトッドHCの采配についてどうの言う話ではなく、一般的な考えとしては、10のほうがいいんじゃないですかね』清宮監督 談)」

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