三洋電機ワイルドナイツ 46-19 トヨタ自動車ヴェルブリッツ
【week7/2009年10月24日(土) at群馬・太田運動公園陸上競技場】
やや肌寒く、無風曇りの天候は、選手にとっては良好な条件となった。太田市スポレク祭のメイン行事として行われるため、開場前から競技場周辺はにぎわいを見せていた。三洋電機には地元となるこの競技場では10連勝とホーム不敗神話があり、選手達も験を担いでいる。前節サントリーに大敗したトヨタ自動車がどのように立て直しを図って三洋電機に立ち向かうかに興味がもたれた。
試合に先立ち、太田市に在住の小学校6年生から高校3年生によって構成される「太田市青少年郷土芸能集団 風来坊」によるダンスパフォーマンス「TAKIO’s ソーラン」が披露された。また、試合開始前とハーフタイムには昨年に引き続き、チアリーダーグループ「VISAGE」によるパフォーマンスが選手たちを鼓舞し、会場の雰囲気を盛り上げてくれた。
前半、三洋のKOで試合開始、開始早々トヨタは三洋陣内に攻め込み。8分三洋ゴール前のモールを押し込みNo.8菊谷のトライ(ゴール不成功、5-0)で先制した。そのわずか2分後、三洋KOのボールをトヨタがキャッチミス、これを素早く右に展開、WTB北川(智)がトライしてあっさりと逆転に成功した(田邊ゴール成功、5-7)。その3分後の13分、トヨタ陣10m付近のラインアウトからトヨタ左に展開、これを三洋がターンオーバー。CTB入江のオープンサイドへのキックをトヨタが処理を誤り、素早くフォローしたHO山本が左中間にトライ(田邊ゴール成功、5-14)。いずれのトライもトヨタのミスが得点に繋がったもので、三洋の反応の速さは素晴らしい。
さらに17分には、トヨタのレイトチャージによるPGをFB田邊が決めて5-17。得点ランキングのトップを走る田邊のキックは健在である。22分にトヨタ陣内10m付近のスクラムから右に展開CTB入江がカットインして、トヨタのディフェンスをブレイクし、そのままトライ、田邊ゴール成功で5-24とリードを拡げた。その後、両チームともよくボールを展開するが、ディフェンスも素晴らしく一進一退の膠着状態が続く。トヨタもよく攻め込むが、三洋ディフェンスに阻止され、得点できずに前半が終了した。
後半に入り、両チームともややハンドリングミスが目立つ。7分トヨタ陣内15m付近から三洋SOトニーがDGを狙い、このボールがゴールポストにあたり、跳ね返ったボールをFW田邊が拾ってトライ、ラッキーなトライで三洋がボーナスポイントを獲得した(田邊ゴール成功、5-31)。18分にはトヨタ陣内10m付近のスクラムからラックを連取し、LOアイブスがトライ、田邊のゴール成功で5-38と点差を拡げた。24分、三洋ゴール前ノット10mの反則にトヨタはスクラムを選択、サイド攻撃から菊谷に替わって出場したNo8中山がトライ。FBアイイのゴールが決まって12-38となり、トヨタの反撃が期待されたが、3分後の27分には三洋のキックパスのボール処理を誤りFL劉に押さえられ(ゴール不成功)12-43と再び点差を拡げられる。33分、三洋ゴール前のラインアウトからモールを押し込みFL谷口が押さえて一矢報いた(ゴール成功、19-43)ものの、終了間際の38分にはFW田邊にPGを決められ、19-46で試合終了となった。
トヨタは反撃の流れができかけたところでのミスにより自滅し、それを三洋がそつなく得点に結びつけると言った試合展開であった。
試合終了後は、ラグビー特有のノーサイドの精神で、両チームキャプテンによるエール交換を行う「アフターマッチファンクション」がグラウンドで行われ、試合以外でも観客の皆さんを楽しませてくれた。
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石井監督(右)、麻田キャプテン
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◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ
○石井龍司監督 「前節のサントリー戦の悪い部分を引きずってしまった。良い所もあったので自信をもつことが必要だと思う」
○麻田一平キャプテン 「スタートは良かったが、小さなミスが多かった。前半は攻撃していた時間が長かったが三洋のディフェンスがよく、特にラックからの球出しのタイミングをコントロールされ、トヨタのリズムがつくれなかった」
──「自信のもてる部分」とは、どのような点か。
「後半は、良い球出しができ、攻撃のテンポが良かった」
──前半はよく攻撃していたが、三洋のディフェンスを崩すことができなかった。どのように三洋のディフェンスをブレイクしようとしたのか。
「ディフェンスのテンポを変えられ、リズムある攻撃ができなかった」
──前半早々に菊谷選手が退場したが。
「コンタクトで肩に力が入らないということで交代させた」
──三洋と戦っての印象は。
「アタックのリズムをつくるためのボールキャリアーへのサポートの早さとディフェンスを整備することが必要と感じた。ターンオーバーが取り切れない。簡単にボールを出させないディフェンスの強さを感じた」
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飯島監督(右)、霜村キャプテン
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◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督 「今日のゲームはディフェンスが良かった。狭いチャンネルを攻撃してくるトヨタを想定した練習をしてきた。ペナルティとモールについては反省しなければならない」
○霜村誠一キャプテン 「今季、地元で初めての試合で良いゲームできた。80分間走ることができた。FWのペナルティが多かったのは反省しなければならない」
──バックスのディフェンスについてはどのような準備をしたのか。
「トヨタには強い選手が多いので、それを想定した練習をしてきた」
──日本代表スコッドが発表になったが?
「代表に選ばれなかった選手でも優秀な選手はいる。選ばれたか選ばれなかったかは、チームにとっては関係ない」
──勝ち続けていく上で大切なことは。
「プレッシャーはあると思うが、我々は対戦相手ではなく、もう一つ上の自分になろう、チームとしてもう一歩上を目指そうという目標を置いている。それから、その瞬間瞬間に集中することを心がけている」
──前半節を終えての手応えは。
○飯島監督
「前半は怪我をしている選手がいたが、いまは良い状態である。昨年は前半節最終戦でトニーの怪我でいろいろ考えさせられた。これに比べれば、今年は後半節を迎えるには良い状態である」
○霜村キャプテン
「全勝できていることは全員の自信になっている。さらに、そのことが信頼につながっている。今後もこの良いサイクルを続けていきたい」 |
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