三洋電機ワイルドナイツ 33-11 コカ・コーラウエストレッドスパークス
【week4/2009年9月27日(日) at埼玉・熊谷ラグビー場】
この日、熊谷ラグビー場は大学リーグ戦1部、2部の試合やトップクラブリーグなども行なわれ、まさにラグビータウン熊谷の名にふさわしいにぎわい。15:00キックオフの三洋VSコカ・コーラW戦には3500人近くのファンを集めた。
立ち上がりは両チームともキック主体の組み立て。10分、三洋オフサイドで得たペナルティゴールを15番ショーン・ウェブが確実に決め、まず、コカ・コーラWが3点のリード。
12分、三洋がすばやい展開で相手ゴールに迫り、13番・霜村から14番・北川へラストパス。これがわずかに前に流れトライを逃す。その後も自陣ゴールラインに釘付けとなったコカ・コーラWだが、粘りのディフェンスでこれをしのぐ。15分。今度は10番・ブラウンの見事なランプレーで三洋が再びチャンスをつかむも、コカ・コーラWがまたも粘りきる。
19分、逆にコカ・コーラWは、15番・ウェブの絶妙なキックでチャンスを得、ラインアウトから勢いのある攻めを見せるも、ここは自らの反則で得点ならず。ここからまた三洋が反撃に転じ、相手反則から得た相手陣深くのラインアウトからFWで攻め、23分、仕上げは2番・堀江が持ち前の強さを見せてトライ。ゴールも成功し、7-3と逆転。
27分には三洋・攻守の柱、ブラウンが右ひざを痛め戦列を離れるも、堅実な試合運びは崩れず、相手陣へ攻め入ったところでFWが前へ前へとつないだ後、ラックからSH・田中が判断良くゴールへ飛び込みトライ。ここも15番・田邊が確実にゴールを決め、14-3とする。
コカ・コーラWも反撃を試み、相手陣深くに達する場面もあったがノットリリースの反則でチャンスをつぶすなどしたのが悔やまれる。
34分。コカ・コーラW、ウェブがハーフウェイライン付近からのPGを決めて14-6。しかし、三洋もPGを返して再び11点差。前半終了間際にはコカ・コーラWが相手陣22m付近で連続攻撃を仕掛けるも、三洋の厚いディフェンスを破るまでには至らなかった。17-6と三洋リードでハーフタイムを迎える。
後半、コカ・コーラWは、6番・オーモンドに替え豊田、14番・築城に替えステイプルトンと早くもインパクトプレーヤーを投入し、巻き返しを図るが、接点では三洋が優位。コカ・コーラWはチャンスをなかなか作ることができない。逆に個々の力で勝る三洋が相手陣深く攻め入ったところでPGのチャンス。これを決め20-6と突き放す。
18分には三洋・入江が45mのDGを見事に決め23-6。勝利をぐっと引寄せた。
コカ・コーラWは途中出場のタキタキが力強い突破。8番・山口へボールが渡りトライかという場面があったが、パスが前へ流れたとの判定。三洋・北川のタックルがトライを阻止した。
24分。三洋・龍コリニアシがラックで倒れたまま手を伸ばして故意のノックオン。これがシンビンとなって10分間の退場。この時間帯にコカ・コーラWが反撃に転じ、相手陣深くでマイボールスクラム。ここはターンオーバーを許すも、次のスクラムで相手が持ち出したボールをターンオーバー、このボールを素早く展開し、11番・小柳が左隅へ飛び込み、トライ。23-11とする。
しかし、その後は三洋がPG、さらに37分にラックからSH・田中が持ち出したボールを12番・入江、途中からSOに入ったスニーへとつなぎ、最後は再び入江に渡りトライ。再び田邊が確実にゴールを決め、最終スコアを33-11とした。
前半を11点差と追撃チャンスが十分にあったコカ・コーラWだが、後半立ち上がりに得点を上げられなかったのが痛い。逆に三洋は慌てることなく堂々と寄り切った印象。準ホーム、熊谷のファンにその強さをアピールした。マン・オブ・ザ・マッチには長距離DGと仕上げのトライを決めた、三洋・入江選手が獲得した。(栗原 稔)
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向井監督(左)、三根キャプテン
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◎コカ・コーラウエストレッドスパークス
○向井昭吾監督
「前半は思ったより戦えました。後半はもう少しボールが出せれば、クロスゲームとなって面白くなったと思いますが、そこは優勝するチームの老練さを感じましたね。30点以内に抑えて4トライ取ることを目標としてまして、前半はそこに近づきつつありましたが、後半はアタックできず選手たちにも消化不良なゲームとなってしまいました」
──三洋という強い相手だったが。
「前半は思った通りの点差だったんですが、後半、PGででも得点を取って、ステイプルトンを投入してボールを集めてというかたちを望んだのですが、ボールが渡らず話になりませんでした。また、そこにいたるブレイクダウンでターンオーバーを許してしまっていました。そこが修正されていればクロスゲームに持ち込めたと思います」
──ステイプルトンの使い方については。
「前にスペースがあってボールを渡すいうイメージ。抜き去る力を持っているので、そういうもらい方をしてくれればと思ったのですが」
○三根秀敏キャプテン
「ポイントは後半、攻め入ったところの球出しがうまくいかなかったところ、自陣でのペナルティが多くPGで点差を離されたところです。セットプレーは修正できてきて、そんなに悪い流れではないので、ブレイクダウンのところを修正して次に臨みたいと思います」
──強い相手と実際に対戦してみてどう感じたか。
「一人目のディフェンスが強くボールに絡むのを阻めませんでした。あとは想定内というかイメージ通りでしたね。個々の強さに対しては組織的にディフェンスと攻めをしたかったのですが、ペナルティが重なってリズムに乗れませんでした」
──北川選手が50トライ目を狙っていたというが。
「コメントを見たので、取らせないぞと思っていました。組織で止められて良かったです」
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飯島監督(左)、霜村キャプテン
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◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督
「ペースは終始コカ・コーラさんの試合運びだったと思います。もう少しギャンブルというか挑戦しても良かったのかもしれませんが、それが相手の狙いでもあり、勝つということが大切なので、そういう意味では良かったと思います」
──ブラウン選手が早い時間で交代となったが。
「ひざを打撲したということです。ドクターの診たところでは、大事には至っていないようです」
○霜村誠一キャプテン
「終始コカ・コーラさんのペースで自分たちは何もできないという感じではあったんですが、そんな中でもディフェンスからでもプレッシャーをかけられて勝てたことは収穫です。これで一週あきますが、とくに修正するところはなく、このまま継続して次の試合に出せるようにしっかりやっていきたいと思います」
──コカ・コーラはある程度強いという想定だったか。
「もちろんチャレンジされるとは思っていて、その中でキックを多用してくるということも分かっていたんですが、それで自分たちのペースがつかめなかったです。あとラインアウト、スクラムでけっこうプレッシャーをかけられましたが、そんな中でも得点を取れて勝てたので良かった」
──4トライとることを目標としたと思うのだが。
「もちろん取りたかったのですが、まずはペースをつかむために得点を重ねていくことを優先しました。ペースさえつかめばと思っていたのですが、時間がなくなってしまいました。セットではプレッシャーを受けてましたし、自分自身はきょうはキックチェイスばかりでした」
──北川選手の50トライ目については。
「むしろ取らせたくないと思ってました‥‥、というのは冗談ですが、自分自身はパスを出すにも意識してしまったところもあります。普通にやっていれば取れると思うので、気にしないでやっていきたいし、やってほしいです」 |
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