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東芝ブレイブルーパス 8-12 トヨタ自動車ヴェルブリッツ
【week4/2009年9月26日(土) at東京・秩父宮ラグビー場】
トヨタ 我慢のディフェンスで勝利をつかむ
東芝は第1節に三洋に負けた後、第2節、第3節と順調に勝利し、リーグ後半の優勝争いへ向けたチーム作りができてきている。トヨタも第1節のヤマハ戦は引き分けに終わったが、その後の2試合はパワーを出しての勝利を続けチームの勢いが出てきた。第4節の秩父宮ラグビー場には強豪同士の対決を楽しみにした6,000人を上回る観客が集った。
FWの平均体重が東芝105.3kg、トヨタ106.2kgの重量FWがブレイクダウンで音を立てての激突を繰り返すぶつかり合いは迫力がある。そんな試合展開の中から、トヨタがCTB有田の好突進からゴール前でのチャンスをつかみ、その後、前半10分に、モールからSO黒宮-CTB有田-黒宮-WTB遠藤とループパスからつないでトライ(ゴール成功)をとり、7-0と先行した。
東芝も、自陣ゴール前のトヨタの再三のチャンスを好ディフェンスでしのいだ後、25分にPGで3点返し、27分には、SOヒルがチャージして獲得し、キックしたボールを、自らよくチェイスし、ゴール前でつかみ、トライとして、東芝8-7トヨタと逆転した。その後、両チームともFWのブレイクダウンからボールをバックスに展開しようと攻撃を試みるが、お互いのディフェンスもよく、なかなか得点チャンスにはつながらないまま、前半を終了した。
後半開始早々には、東芝がトヨタ陣ゴール前に攻め込み、FWのスクラム、モールを繰り返してゴールラインに迫るが、なかなか届かない。後半8分、自陣インゴールのラックでのこぼれ球をつかんだトヨタWTB遠藤がラックサイドを抜けてCTB難波-SO黒宮-FBアイイと100mをつなぎ、あっという間に逆転トライとなった(ゴール成功、トヨタ12-8東芝)。
その後も、東芝、トヨタと攻守入れ替わりゴールラインを目指すが、お互いのディフェンスの集中力は切れず、我慢比べといった試合展開となった。結局、その後30分以上にわたり、両チームとも得点を得られないまま、ノーサイドとなった。
激しいコンタクトが続くなか、両チームはブレイクダウンではほぼ互角であり、後半、我慢してディフェンスを続け、4点差のリードを守りきったトヨタが勝利をもぎとったという試合だった。
昨年はトップリーグ8位に甘んじたトヨタだが、今年は上位チームの実力差がつまってきた中での台風の目になるかもしれない。(正野雄一郎)
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瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
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◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督 「まず、大変大勢のファンの皆様が集まってくださって嬉しく思います。緒戦以来、久しぶりの秩父宮でしたが、トヨタさんが80分間、激しいディフェンスとブレイクダウンで非常に素晴らしいラグビーをされて、私たちのアタックが機能しなかったのかと思います。この負けはただの負けではなく、確実に成長するための負けだと感じています。修正して次の戦いに臨みたいと思います」
──ビハインドの時の気持ちは?
「後半のトライで追いかける立場になったが、選手は常にスコアを追い続けたので、最後の最後まで考えずに戦っていたと思います」
──FWでトライを獲りきれない原因は?
「うまくトヨタさんが回させてくれなかったですね。もっと『ユーズイット』がかからないドライビングモールを考えていきたいです。今日はトヨタさんが良いプレッシャーをかけていたと思います。トヨタさんの私たちに対する研究があったと感じます。当然、FWは押し切ることを狙っています。ブレイクダウンが動かなかったので、そこを修正していきたい」
○廣瀬俊朗キャプテン 「ホームで連敗し、ファンの皆様に申し訳ない気持ちで一杯です。ミスも多かったですが、総じて力負けだと思います。今日の敗戦を糧に、ブレイクダウンを作り直して、今度はブレイクダウンでやり返したいと思います」
──それは、どういう点か?
「人数をブレイクダウンでかけてしまい、分厚いアタックができず焦ったのかなと。もう少し、落ち着いてプレーすればよかったが、なかなかトヨタさんのヒットも強かったし、3人目もわりとラックの上から来てましたし。そんなに、すごく負けてるイメージはないのですが、対処を80分の中でできなかったことが悔やまれます」
──前半、トヨタの勢いを感じたが?
「最初から、凄く来ると分かっていましたが、東芝も浮き足立って、落ち着けば何とかなると感じていました。ターンオーバーからの1トライに抑えたし、ディフェンスはそんなに穴はなかったと思います。もっと何というか、アタックで東芝がコントロールしたかったのですが、リズムを出せなかったと思います」
──セオリーどおりでないラグビーでやりにくかったのか?
「そんなことはありません。向こうは向こうです。相手どうこうではなく、予想通り接点で圧力をかけてくる重いFWでしたし。トヨタと試合しているなあと、いつもよりこっちの足が重い感じでした」
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石井監督(右)、麻田キャプテン
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◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ
○石井龍司監督 「本日はチャンピオンチーム東芝さんにチャレンジする気持ちで臨みました。フィジカルな部分で互角に戦えたのが一つの成果です。ゴール前、粘り強く守ることも成果でした。点差が開くゲームではなく、力は紙一重だと思います。ディフェンスのところでどれだけ我慢できるかという戦いになっています。勝負としては、どちらに転んでもおかしくない試合で、たまたまウチが勝ったというゲームでした。今回の勝ちに驕ることなく原点に立ち返ってやっていきたいと思います」
──ブレイクダウンで勝ったか?
「トヨタ対東芝はそこのところの戦いです。前回の近鉄戦の反省から、そこだけ練習でやってきました」
──最後は非常に若いメンバーだったが?
「はい。最後に外国人選手が一人しかいないというのはトップリーグで珍しいチームだと思います。しっかりとチーム全体の力がついていると思います。日本人選手は誰が出てもおかしくないし、そこが、対戦相手が一番、脅威に感じているところではないかと思います。そもそも、出場選手を選ぶのに困っているほどの高いレベルです」
──けが人もなく?
「今年はスタートからコンスタントに30名くらいで練習できています。昨年は18名ということもありました。新人を採用してくれた会社に感謝したいです」
○麻田一平キャプテン 「秩父宮でナイターはトヨタとして初めてのことで、緊張しましたが、お客様がたくさん入ってくださって、わくわくした気持ちで戦うことができました。試合前は、厳しい戦いになるので、強い気持ちで臨もうと言ったのですが、凄い気持ちのこもった試合ができました。どちらが勝ってもおかしくない試合で、もうちょっとのところで粘れて、凄い自信になりました。ディフェンスは凄く守れる感じでした。ホーンがなってからは凄くドキドキしました(笑)。監督と同じくらい声を出していたと思います(笑)」
──ペナルティゴールを狙わなかったのは?
「まったく、迷いなく4トライを狙っていました。(オーという報道陣のどよめき)最初は狙いましたが、3点取ったところで勝てる相手ではないので」
──試合の入りはハイピッチだったが?
「めっちゃ、飛ばしました。前半でかなり疲れたのですが、試合前から22人で戦うと言ってあったし、バテるのは承知で前半から行きました。こっちも足に来ましたが、東芝さんも足が止まったんじゃないかなと感じました」
──去年の東芝と比べて?
「去年と同じくらい強いです。特にベイツ選手はじめ、コンタクトもブレイクダウンも強い選手が揃っています。去年はそこで歯が立たなかったと思います」
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