マッチ&会見リポート「プレーオフトーナメント マイクロソフトカップ セミファイナル」(サントリー 22-32 三洋電機)

マイクロソフトカップ
サントリー 22-32 三洋電機 サントリー 22-32 三洋電機 サントリー 22-32 三洋電機 サントリー 22-32 三洋電機
ハイパントを競り合う三洋CTB榎本淳平主将(左から2人目)とサントリーCTBライアン・ニコラス。強い風の下、キックの多いゲームとなった 三洋電機SO入江順和にタックルにいくサントリーLO篠塚公史。入江は6PG2ゴールを決めて、勝利の立役者となった サントリーにとっては、クリエイティブな動きでアタックを引っ張ったSO曽我部佳憲(中央)が前半終了間際に途中退場したのも響いた 突破をはかる三洋電機WTB三宅敬にタックルにいくサントリーNO8トマシ・ソンゲタ
マッチリポート
サントリーサンゴリアス 22-32 三洋電機ワイルドナイツ
(マイクロソフトカップ セミファイナル/2009年2月1日 at大阪・近鉄花園ラグビー場)

昨季ファイナルでマイクロソフトカップを争った両チーム、今季、サントリーはリーグ戦3位、三洋電機は2位につけ、ともに09年のファイナリストを目指しての一戦。今シーズン、リーグ戦では両チーム第1節で対戦、トニーブラウンの4PGを上げる活躍で三洋が19-9と接戦をものにしている。サントリーはリーグ戦の雪辱を期す一方、三洋はそのトニーブラウンを怪我で欠いて試合に臨む。

前半滑り出しから先手を取ったのはサントリー、開始早々のDGを外した直後、3分に12CTBニコラスが30mのPGを決める。さらにサントリーは、11分に11WTB小野澤の独特のステップによる前進で切っかけをつかみ、ゴール前30m右中間のラックから左に展開し9-10-12-10とつなぎ最後は7FLティーポレが左中間に飛び込みトライ。24分にもゴール前30m中央ラックを攻撃の起点に9から12にパスアウト、12の相手ディフェンスの隙間を狙った絶妙なグラバーキックを5篠塚が右隅にトライし、13-3と、試合前の大方の予想に反してサントリー優位の内に前半中盤まで試合が進む。
しかし、ここから三洋は、リーグ戦で見せた力を発揮し反撃に転じる。まず、28分に10入江がPGを返し、13-6と差を詰める。次いで、35分22mライン付近中央ラックから左へ9-10とつなぎ10のキックしたボールを11三宅がインゴール左隅で押さえ、難しいGKも10が確実に決めて13-13とようやく追いつき、さらに前半終了間際には、10入江が30m中央のPGを難なく決め、13-16と初めて三洋がリード、そのままハーフタイムを迎える。

高いレベルのディフェンス、アタックが続く一進一退のゲーム、花園のファンも目を離すことができない。選手の入替もなく前半のこの緊張感を持続したまま、後半が始まった。後半1分、先ずサントリー12ニコラスが10mライン付近から40mのPGを決め、16-16と同点に追いつく。一方、三洋電機は、3分、7分と続いて10入江が同じく10mライン付近から長いPGを正確に決め、16-22と突き放しにかかるが、サントリーも11分、23分に12ニコラスが負けじと40mを超えるPGを決め、22-22の同点とする。この後、三洋優位の攻撃に対しブレイクダウンで勝るサントリーという構図でノーサイド近くまで膠着状態が続き、試合の結末が最後まで全く読めない展開にファンはまさに固唾を飲んで行方を見守る。
しかし、終盤、ついに勝利の女神が微笑んだのは、相手陣内で優位に攻撃を続けた三洋ワイルドナイツ。35分、10mと22mラインの間、中央でPKを得た三洋は、この日絶好調の10入江がPGに成功、22-25とリードすると、さらに38分、ゴール直前の右中間ラックから9田中の高いパスをうまく7ブラックがタッチパスして16堀江にわたし、右隅にトライ。タッチライン際からの難しいGKもこの日大当たりの10入江が決め、22-32と試合を決定付けた。そして、残された時間、サントリーも必死で攻撃を続けるも10点差は大きく、このままノーサイドのホーンが鳴り響き、三洋が接戦を制した。

サントリーは、前半38分に10SO曽我部が足を痛めて入替わったことが結果として響いた。一方、三洋電機は、キーマンのトニーブラウンを怪我で最初から欠くといったハンディを背負っての試合ではあったが、代わってSOに入った入江が2GK、6PGを成功させる大活躍で、勝利に大きく貢献した。
この結果、三洋は、2年連続でファイナルに王手をかけ、この日、秩父宮で勝利を挙げた東芝ブレイブルーパスと、マイクロソフトカップの頂点を競うこととなった。


会見リポート
サントリーサンゴリアス
清宮監督(右)、山下主将
清宮監督(右)、山下主将


◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督
「前半からゲームを支配することができ、サントリーのプランどおりに進んでいたが、前半の最後のラインアウトのミスから狂いが生じ、後半に入ってからは自分たちのミスで、今日のゲームを失ったという印象です。プレーヤは自分たちのゲームプランどおりに三洋の持ち味を出させずによく戦ってくれた。ほんの少しのところで・・・詰め切れなかった。今日はそんな試合でした。そこさえ通らなければ勝てたのにそこを踏んでしまったみたいな、非常に悔しい試合でした。しかし、次につながる試合でもあったと思っています。決して悲観するのではなく「まだチャンスはある」と、選手にはそういうねぎらいの言葉をかけます」

──曽我部選手の早い交替は計算外でしたか?
「エー、かなり計算外でしたね」

○山下大悟主将
「今、監督の言ったとおりですが、こんなにミスをしたら勝てるわけはないという感じです。自分も含めて、勝負どころでミスが出るようではチャンピオンになるチームではないと思うので、その原因が練習の中で見いだせるのか、これから考えて、日本一に向けて練習をしたいと思います」

サントリー 22-32 三洋電機 サントリー 22-32 三洋電機 サントリー 22-32 三洋電機 サントリー 22-32 三洋電機
後半38分、三洋電機は途中出場のHO堀江翔太がダメ押しのトライを奪い、勝負を決めた サントリーWTB小野澤宏時にタックルにいく、三洋電機WTB三宅敬とCTB野口裕也(左端) 前半、積極的なアタックでペースを掴んだサントリーだったが痛恨の逆転負け。日本選手権でリベンジを目指す 試合終了後、抱き合って喜ぶSH田中史朗(右)とSO入江順和の三洋電機ハーフ団

三洋電機ワイルドナイツ
飯島監督(右)、榎本主将
飯島監督(右)、榎本主将

◎三洋電機ワイルドナイツ
○飯島均監督
「今日の試合、サントリーは最初セットプレー、特にスクラムに自信を持っていたと思いますが、スクラムは開幕時の大人と子供の関係から対等以上に組めたと思います。その一方で、ブレイクダウンで倒れてから、前のスペースに入るスキルやその激しさに負け、なかなかよい球を出せませんでしたが、後半10分くらいからインパクトプレヤーとして入れたリザーブの選手が力を出してくれたことで勝つことができました。特に今日は、高校から入った野口選手(後半25分15と入替)が、初めて公式戦のジャージを着て、何ら臆することなく普段以上の力を出したことは、非常に三洋らしいところで良かったと思います。このことが勝ったことと同じくらいうれしいことでした」

○榎本淳平主将
「今日の試合はものすごいものでした。前半のサントリーの、この試合にかける意気込みとプレッシャーに対して受身に回ったところはありますが、後半しっかり修正をして、最後の最後まで自分たちのラグビーを崩されることなく自分たちのやろうとすることができたと思います」

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