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近鉄ライナーズ 7-20 トヨタ自動車ヴェルブリッツ
(week10/2008年12月20日 at徳島・鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム)
徳島でトップリーグが開催されはじめて3年目を迎える。年の瀬を間近にひかえた師走の冬の一日。朝から風もなく晴天に恵まれたラグビー日和のなかで、トヨタ自動車ヴェルブリッツと近鉄ライナーズのトップリーグ第10節の試合が行われた。
前半のキックオフ開始から、エリアマネージメントを意識したキックの応酬とブレイクダウンでの激しく体を張ったプレイでゲームに緊張した空気が流れていた。近鉄は、タックルの出足も鋭く、トンプソンのチャージなどでプレッシャーをかけ、ボールを早く動かすが、ゴールラインを越えることができない。トヨタも、FWの接点での勝負に積極的に挑み、ラインアウトでは、モールにこだわりトライを狙うが、相手ディフェンスに粘られゴールラインを拒まれる。体を張った見応えのある接点での攻防がしばらく続いた。
先制したのは、徳島県内で合宿を2回こなしこの日のゲームに臨んだ近鉄。前半12分、FWで押し込み、日本代表FLトンプソンが左中間に飛び込んでトライを決めた。その後、トヨタの猛攻が続くが、近鉄の激しいねばり強いタックルでトライをさせない。前半31分トヨタの敵陣スクラムから左に展開し、SO黒宮が仕掛け、左WTB岩本がトライする。その後、前半終了前に、それぞれのチームが、ゴール前中央22m付近からPGを狙うがトヨタは成功し、近鉄は不成功となり、前半を10-7のトヨタリードで折り返す。
後半に入っても、激しさは増し、体を張ったプレイが随所に見られ、スタンドの観衆は選手の一挙一動に魅了され、感動の渦に包まれていった。そんな空気の中、後半21分、こぼれ球をゲットしたFB正面が、切れ味の鋭いステップで相手ディフェンスのギャップをつき50mを独走し中央にトライし、ゴールも成功し17-7と点差を広げた。32分には、トヨタFB黒宮が、ゴール前30m中央付近のPGを慎重に決め20-7とリードした。その後も、近鉄は諦めることなく、攻撃的なアタックとタックルで攻め続けたが、トヨタの厚い壁は崩せずノーサイドの笛が鳴った。 徳島の地で、日本のトップレベルのラグビーチームの選手たちが、体を張って真剣勝負している姿を見られることは本当に有り難い。老若男女、ラグビーを初めて見た人も経験者も誰もが満足して帰路についているのを見て、いつの日か近いうちに、徳島からトップリーグ選手が出てくる予感を感じた。(中田寛志)
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スローン ヘッドコーチ(左)、トンプソン キャプテン
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◎近鉄ライナーズ
○ピーター・スローン ヘッドコーチ 「とても残念に思っている。ペナルティーが多く、前に出たいときに出ることができなかった」
○ルーク・トンプソン キャプテン 「敗戦を残念に思う。自分が、レフリーとのコミュニケーションがとれていない。キャプテンとしてどのようにレフリーと関わればよいかが難しい。反則が多く、自分たちのチームの流れを作れなかったのもキャプテンの責任」
──合宿で関わりの深い近鉄ライナーズとして、徳島のファンにメッセージを。
○スローン ヘッドコーチ
「徳島は大好き。今回の試合前もミニ合宿をして臨んだ。選手一同、徳島をよく思っている」
──トヨタに対する対策は、どうでしたか。
○スローン ヘッドコーチ
「相手チームのことより、自分のチームを分析し選手を生かすことを中心に考えている」
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石井監督(右)、麻田キャプテン
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◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ
○石井龍司監督 「厳しいゲームで勝てたことは、非常にうれしい。選手たちがひたむきにプレイした結果だと思う」
○麻田一平キャプテン
「トヨタの思い描くゲームはできなかったが、しっかり体を張って勝ちきったことに練習の成果が出たと思う。もっと早くボールを動かし続けたいと思う。次のIBM戦では、今日できなかったことを修正して臨みたい」
──ハーフタイムではどんな指示をしましたか。
○石井監督
「アタックのキープレイヤーであるトンプソンをしっかりマークすること。イージーミスをなくすことは、選手自身が考えて実行していった」
──近鉄のスタミナ不足は感じませんでしたか。
○麻田キャプテン
「それはない」
──ペナルティーから何度かスクラムを選択したのはどうしてか。
○麻田キャプテン
「ラック・パイルアップからのスクラムが何度かあったが、ペナルティーから選択は1回だけと思う。スクラムからは新ルールを生かしてサイドからのアタックを意識しているが、BKにも展開し仕掛けることもした」
──今のチームの状況はどうですか。
○麻田キャプテン
「NECには負けたが、トヨタのラグビーができた。その後は、チームが勝つことで前向きに明るい雰囲気で、チームになってきている」
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