セコムラガッツ 3-10 ワールド ファイティングブル
(2月10日)
トップチャレンジ第3節、ここ秩父宮ラグビー場は前夜より降り積もった雪の残るグラウンドにて、セコムラガッツ(トップイースト2位)とワールドファイティングブル(トップウエスト2位)の両チームがトップリーグに再チャレンジするためにトップリーグ入替戦でIBMに挑む1つの椅子をかけて対決した。
試合はセコムのキックオフで始まった。試合開始の前半2分セコムはワールドの反則によりペナルティゴールを狙うが外れて先制の得点チャンスを逃した。試合はグラウンドコンディションの悪さより両チームキックの応酬が続き、前半8分セコムのノータッチキックをキャッチしたワールドが連続攻撃を仕掛けSOショーン選手が先制トライ(ゴール成功)。セコムは前半15分に再びワールド陣22m付近の相手チーム反則よりペナルティゴールを狙い成功し反撃開始。その後ワールドも相手チームの反則よりペナルティゴールを狙うが失敗し前半を折り返した(3-7)。
後半セコムはワールド陣に再三ゴール前まで必死に攻め込むもののボールが繋がらず得点できずに時間は経過、ワールドは後半29分にセコム陣22m付近での反則よりペナルティゴールを狙い成功。セコムは最後まで必死に攻め込むもののノートライのまま試合は終了した(3-10)。
ワールドは3月9日、ここ秩父宮ラグビー場にてトップリーグの椅子をかけて日本IBMビッグブルーに挑み、セコムは再起をかけて来シーズントップイーストに挑む。(佐藤克則)
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セコムラガッツ
○ベイデン・スティービンソン ヘッドコーチ
「雪で非常に難しい状況のなか、ファイナルらしい接戦でした。ワールドさんはチャンスをものにして、こちらはできなかったという試合でした」
──イーストのプレーオフがなかったが。
「4節で横河さんに負けて、悔しくて目が覚めた部分もあります。横河さんは強かった。少し残念でしたが、我々は徐々に強くなったと思います」
──来年度の修正点は。
「プレッシャーの下でのパフォーマンスの質です。いつもは85%くらい取れるラインアウトが今日は50%くらいしか取れませんでした。セットプレイ、ディフェンスは良かったのでこれ以上にしていきたいと思います」
○鈴木貴士キャプテン
「このグラウンドコンディションのなか、選手は本当に一つになって今日のゲームに臨めました。ほんのちょっとのところでワールドさんに運が転がったと言うか‥‥。まあ、自分たちのチームは良くやったと思います」
──ラインアウトが取れなかった。
「あれだけワールドさんがペナルティをしていたので、ペナルティゴールも考えましたが、敵陣でラグビーができていましたので、常にトライを狙っていくという姿勢でした。最初の3点は先制点を獲ってリズムがほしかったので狙いました」
──修正点は?
「やはりプレッシャーの中でのミスを減らすことです。一つ一つのプレーの精度をもう一つ上げていくことです」
◎ワールド ファイティングブル
○南英雄監督
「昨夜からの雪でグラウンドが選手にとっては良くない状態でしたが、まず、勝ったことがうちのチームにとって喜ばしいと思います。トップリーグにチャレンジできること、嬉しく思っております」
──今日の出来は?
「正直、30%くらいでした」
──良かったのは?
「実際に粘って粘って、ゴール前のディフェンスで結果としてトライを与えなかったのは進歩したところだと思います」
──入れ替え戦に向けて。
「約1ヶ月、逆に長いとも思いますが、アタック面では、より精度を上げること、ディフェンス面では粘り強くスコアを抑えたいと思います」
──IBM戦は?
「IBM、セコムに勝たないとトップリーグ入りはできないとやってきました。IBMさんが強いことは分かっていますが、この1ヶ月で自分たちがどこまで行けるか、まだ、入れ替え戦で上がったチームがないので、ぜひやってみたいと思います」
○中矢健キャプテン
「今日はタイトなゲームになることが最初から分かっていましたので、ディフェンス勝負になると思っていましたが、この差がちょっと出たのかなと思います」
──ゲームの流れは?
「自陣でのペナルティは避けようと言ってきたのですが、どうしてもラインアウトのペナルティが多くなってしまいました。うちもそこからのディフェンスには自信があったので、FWにも、ずっとやってきたことをやるだけと言い続けました。トライを獲られる気はしなかったです」
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横河電機 12-23 近鉄ライナーズ(2月10日)
ともにマツダを下し、すでに来季のトップリーグ昇格を決めた者同士の対戦は、日本選手権出場に賭ける両者の強い意欲によって最後まで縺れたが、近鉄ライナーズが終盤突き放し、「トップチャレンジ1位」となって昇格に花を添えた。
秩父宮のピッチは、第1試合(トップチャレンジ2)より雪の残る部分が減ったものの、キックオフ時にはまだ南スタンド側(外苑前駅寄り)の22mからインゴールにかけて白く覆われた状態。最も足場の悪いそのエリアにボールを運び込み、しばらくFW戦で粘ったのは、昔から英ハリクインズクラブパターンのジャージをまとう横河電機。しかし取り切れずに自陣へ後退したところから使ったハイパントが、近鉄の見事なカウンターアタックによって、近鉄WTB田中のトライへと繋がってしまう。
そこからは近鉄の時間。FWの優位を足場に、FB坂本の思い切りのよいラン、NO8統悦の強いタックルや巧ハンドリング、SO重光の無駄のない安定したキックなどで試合を優位に進め、39分にはラインアウトモールでLOバツベイがトライして15-0と前半をリードした。
南側に残っていた雪が消えた後半も、途中までは近鉄ペース。追加点は1PGのみだったが、そのまま近鉄が逃げ切るのかと思われた20分過ぎから、今度は横河が反撃に転じる。24分、この日よく走り回ったPR坂尾がラインアウトから抜け出し、右WTB佐藤に繋がってチーム初トライ。さらに31分、キックチャージからSO野本もトライ(G成功)して6点差まで詰め寄った。しかしその直後近鉄は、先のワールドカップ仏大会でも活躍した日本代表LOトンプソンのパワフルランからWTB田中がトライ、勝利を決定づけた。赤×紺ジャージの古豪・近鉄は、黄×黒ジャージの日本ラグビールーツ校・慶應大と今月23日、日本選手権1回戦で対戦する。(米田太郎)
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◎横河電機
○安田真人監督
「今日は選手は非常に良くがんばったと思います。前半、FWで前へ出て獲りきるところで獲りきれなかったのが、後半、サモ選手を投入しても追いつかなかったところです。今日、初めて今シーズン負けたわけですが、リーグ戦、トップチャレンジと非常に緊張感ある中でやって来た選手をほめてやりたいと思います。近鉄さんはトップリーグの経験もあり、一人ひとりが強かったですし、ミスの差と取りきる力が横河の勝てなかったところです」
──仕事のある選手も多いが。
「ラグビーと仕事の両立を何とか堅持していきたいと思います。知恵の出しどころが難しいですが、挑戦していきたい。62年の歴史のある企業の姿勢としてもこういう特色を出していきたいと思います。特色あるこういうことを目指すラガーマンや大学生もいると思います。そういう選手のためにもやっていきたいと思います」
○佐藤幸士キャプテン
「横河のラグビーは仕事とラグビーを両立させるラグビーで、僕らも日本人、外国人の契約選手もいますが、プロ選手が多い近鉄さんに勝とうと臨みました。強みであるFWで圧倒できず、後半、サモを投入したが空回りして非常に残念です。来シーズン、初めてトップリーグに上がるのですが、心の準備、インフラ含めて様々なことが必要です。必ず日本一になるチームを目指していきたいと思います」
──何年くらいで日本一を目指すのか?
「具体的に何年かけて日本一とは考えていないが、トップリーグの方々に追いつき追い越せで、トップリーグ以上の練習に取り組む選手自身の決意が大事です。正直、まだチームの中で、やるからにはトップを目指す選手とラグビーと仕事の両立を目指す選手が半々くらいでしょうか。これからチーム内で話し合っていくことになります。僕はやはりトップを目指したい気持ちです」
◎近鉄ライナーズ
○中谷誠監督
「ありがとうございます。横河さんに苦しめられて、前半、ゴール前でようしのいだが、後々になってあれが大きかったです。後半もディフェンスが危なかったが、何とかしのいでくれました。33年ぶりの日本選手権出場も決めてくれた選手たちに感謝したいと思います。トップリーグの優勝を目標に頑張っていきます。
先週、試合がなくて戦わずして昇格が決まったのですが、今日、自分たちの手で勝ち取ったのは昇格だけでなかった、そこに行くまでの心の強さを試されたと思っています。うちには試練がついて回りますので、また、選手たちは一回り大きくなってくれたと思います」
──後半、ここで崩れそうなときもあったが。
「トラウマではないが、去年の経験でノーサイドの笛が鳴るまではと思って見ていました。劣勢になったときにあそこからすぐトライにつなげたのが我々の今年の成長です」
──日本選手権では?
「1回戦、慶應義塾大学さんとさせていただくことになりましたが、相手がどこであれ、ゲームで我々のやりたいことをきっちり出すのがすべてです。ボールキープ力、ディフェンスの強みをしっかり出すだけです」
──バツベイ選手の加入は?
「彼の加入は大きかったです。チームを引き上げてくれました。たしかにパフォーマンス、姿勢が高かったりしますが、相手に脅威を与えるプレイヤーです」
○大隈隆明キャプテン
「本日はありがとうございました。横河さんのFWはすごく強いのでFW勝負になると思っていましたが、やはり強く、後半はBKで勝負しようと切り替えて、ミスもあまりなくできたのが良かったと思います」
──入部したのは降格の年でした。
「入った当時は、正直、一人ひとりの意識が低くて、これでは勝てないという感じでした。浜村ヘッドコーチが昨年から来られて、苦しい時間や試合になったときに人に頼りすぎていたことに気づきました。今年は一人ひとりが強くなろうとメンタル面もやってきて、絶対切れるなと今日も言いました。みんなも後半、チャージで獲られて、ここで負けたら去年と一緒だと思って頑張ったと思います」
──日本選手権は?
「僕らは挑戦者ですので、80分、ひたむきにやりたいと思います」
──バツベイ選手の加入は?
「ルアが入ったことによって練習の雰囲気が変わりました。試合と同じようにやる東芝の練習のことを教えてくれて。今日の試合でも要所でモールディフェンスや突破をしてくれて良かったと思います。コミュニケーションの大事さやオールディフェンス・オールアタックを教えてくれました」
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