前半の20分間は攻守の膠着状態。両チームともすばらしい攻撃とディフェンスで譲らない展開、スタンドを埋めた観客はどちらが先に点を取るのか固唾を呑み、トヨタのスピード感ある早い動きと、東芝のディフェンスやターンオバープレーに釘付けとなり、大きな声援がため息に変わる。中断は激しいプレーで選手が倒れたときくらいで、気がつけば前半は終わっていた。攻めるトヨタは結局トライが奪えず、前半13分糸口をつかもうとDGを狙うも失敗。東芝は攻撃権を得ながらも決定的な前進ならず、28分にPGを成功させたのみ。0-3で前半を終わった。
後半の得点シーンは印象に残るものとなった。3分トヨタは、東芝のラインアウトのミスから大きく前進、ゴール前10m付近のラックからでたボールを9番麻田がパスのタイミングをずらし15番遠藤に好パスしFWの戻り切れなかったスキマを突いて中央に初トライ。10番廣瀬(佳)は、風上を利用して11分にセンターラインと10mラインの間からPKを狙った。13分にも同じような位置でPKを狙い、スタンドからどよめきが起こり、一瞬の沈黙、ボールが東芝のゴールポスト下でダイレクトにキャッチされたときため息に変わったが、東芝は即攻撃に転じ、また歓声に包まれた。このような東芝の積極的姿勢からチャンスが生まれ、17分センターライン付近のラックから4-10-14-21と縦につなぎ逆転。20分には廣瀬(俊)がディフェンスのうまい15番遠藤を振り切って追加点。この時点で流れは東芝に変わっていた。なおも攻める東芝は、27分頃トヨタ陣ゴール前でモールを組んだが、一瞬モールの前からトヨタの選手が消えた。(トヨタがゴールまで引いたように見えた)すぐに出せば良かったが反応が遅くオブストラクションを犯してしまった。このPKから形成が逆転、トヨタ廣瀬(佳)に変わった20番黒宮が31分に得点し、3点差まで追いついた。ドラマは、10mライン付近のラック、9番麻田はラックから出たボールを2mもないライン際をすり抜け東芝FWの裏に回り直進、すかさずパントキックで東芝BKのタックルを回避、東芝BKも反転ボールを追うが麻田はワンバウンドで取ってなお前進、ゴール前で19番阿部に好パス。東芝にトップリーグ初勝利のトライとなった。4強を賭けた3位と4位の攻防は見ごたえのあるゲームであった。
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C:2008, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)
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瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
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トヨタ自動車ヴェルブリッツ 19-17 東芝ブレイブルーパス(1月26日)
◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督
「応援に駆けつけてくれたファンにまずありがとうと申し上げたい。5ポイントを取って4強入りにはずみをつけたかったが、残念な結果となった」
○廣瀬俊朗キャプテン 「アウェイにもかかわらず、多くのファンに応援していただいた、感謝している。東芝のやりたかったプレイが十分できなかったと感じている、先週の敗戦から修正すべき点というのは分かっていたのだが、それが修正しきれなかった、その点が大変残念だ」
──トヨタに対してはTL初めての敗戦、何が変わったのか。
○瀬川監督
「特に大きな違いはないと思う。結果としてスコアがこのようになっただけだ」
──次のヤマハ戦に向けて?
○廣瀬キャプテン
「東芝がTLで連敗をしたのは初めてだ。今までは修正ができていた。今回の連敗を機にもう一度東芝の強みを出すようにしたい」
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石井監督(右)、麻田キャプテン
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◎トヨタ自動車ヴェルブリッツ
○石井龍司監督 「リーグ戦で東芝に勝てたのはとにかくうれしい。もともと潜在能力の高いチーム、ここへ来て本来の力が発揮できるようになったが、次の試合もう一度チーム作りの原点に戻って全力で立ち向かって行きたい」
○麻田一平キャプテン
「東芝には、一回も勝てていない。今日の試合はとにかく勝利が第一、勝つことを目的に戦った。マイクロソフトカップに向けてプレッシャーはあったが、勝ててうれしい」
──ここに来て連勝が続く、好調の理由は。
○石井監督
「もう勝たないと後がないという状態の中で、本来の力が出てきた。そのような状況に追い込まないと勝てないというのは、コーチングスタッフの責任かもしれないが、能力的には高いものを持っているチーム、それを発揮していきたい」
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