トップリーグ2015-2016 第5節 マッチサマリー(ヤマハ発動機 41-20 NTTドコモ)
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ヤマハ発動機ジュビロ 41-20 NTTドコモレッドハリケーンズ トップリーグ2015-2016 第5節 グループB ヤマハ開幕5連勝でLIXIL CUP2016出場を決める 開幕からの連勝を3季ぶりに4と伸ばしてグループBの首位を走るヤマハ発動機ジュビロと、LIXIL CUP出場に望みを繋ぐためには負けられないNTTドコモレッドハリケーンズとの対決が、ヤマハスタジアムで行われた。今にも雨が降り出しそうな肌寒さが感じられるなか、スタジアムには9,710人の観衆が集まった。 前半は、ドコモが激しい当りで攻め込み、3分FB才口が左中間22mL付近のPGを決め先制する。その直後ヤマハは、マイボールスクラムを5m以上押し、連続攻撃を仕掛ける。ドコモ陣22mL付近で左右に攻撃のフェーズを重ねてトライを狙うも、ドコモのSO佐藤が一瞬のすきを突いてインターセプト。追いすがる右WTB田中を振り切り中央にトライ。ゴールも決まり10-0とリードを広げた。 ヤマハも10分にFB五郎丸がやさしい位置からのPGを成功させ反撃を開始。BKラインの飛ばしパスなどで両WTBが何回か大きくゲインするも、ドコモのしぶといディフェンスを崩せず一進一退の戦いが続く。 前半終了間際、ドコモはヤマハのHL付近のスクラムでのPKから相手陣深く攻め込み、最後はホーンが鳴った41分にドコモ左CTBパエアがDGを決め、13-10とドコモが3点リードして前半が終了した。 薄暗くなった曇り空で照明が灯された後半、先制したのはヤマハ。SO大田尾の絶妙のタッチキックからゴール前5mで得たスクラムから左に展開、今シーズン初先発の左CTBマレ・サウが右中間にトライ。ゴールも決まり17-13とヤマハが逆転する。 さらに、後半25分左FLポトヒエッターのグランディングをドコモLOエツベツが体を入れトライを封じるも、ヤマハはその直後の5mスクラムを、ヤマハFWが一体となって押しまくり、堪え切れないドコモの反則により認定トライを奪う。 29分には交替したHO日野が、右WTB伊東からボールをもらいBK並みの快足を飛ばして、一度はタックルを受けて倒されながらも立ち上がって右隅にトライ。HO日野は今シーズン5本目のトライで、チームのトライ王だ。 ドコモも終了間際に意地を見せ、フルタイムのホーンが鳴った後の41分、相手ゴール前のラックから右FL辻井がブラインドを攻めてトライする。右CTBポラードのゴールも決まり、41-20としたところで試合が終了した。 ヤマハは、前節の後半をふがいないと感じていた三村主将が修正できたと言うとおり、スクラムの強さとセットプレーの安定感が十分に発揮された試合だった。その上、交替した選手が活躍するという理想的な試合運びは、さすが首位を走るチームという印象。一方ドコモは前半非常に動きが良く善戦するも、悔やまれるのは前半終了間際にトライが奪えていれば、もう少し余裕を持って後半を戦えたのではないか。また、PKがヤマハの倍の14個と多く、シンビンが3つあったことも苦戦した原因となった。 この日のマン・オブ・ザ・マッチは、前半からスクラムをリードし、ドコモを押しまくったヤマハHO加藤圭太選手が受賞した。加藤選手は今日が通算100試合目のメモリアルゲームだった。昨シーズンは活躍出来ず引退も考えたそうだが、頑張って活躍できるチームであることが今のヤマハの強みになっているのは間違いないだろう。ベテランが頑張ることで若手も成長し、チーム内での切磋琢磨が生まれる。 ● 記者会見ダイジェスト ●
NTTドコモレッドハリケーンズ 下沖監督(右)、渡辺ゲームキャプテン 下沖正博監督 「約1万人の多くのお客様の前でプレーでき、うれしく思っている。関西からも多くのファンの方が応援に来てくれたので、勝って恩返ししたかった。 渡辺義己ゲームキャプテン 「大勢のお客様の前でプレーできうれしく思っている。先週の試合からの修正として、前半20分間に自分達のプレーをするという点ではうまくゲームを運ぶことができた。 ヤマハ発動機ジュビロ 清宮監督(右)、三村キャプテン 清宮克幸監督 「前半はスコアで負けていたが、厳しい時間帯をしのぐことができた。チームの成長を感じた。5連勝は実力を伴っている。いい勝利だった」 三村勇飛丸キャプテン 「先週のふがいない試合の修正ができた。加藤選手の100試合で勝てたのでうれしく思っている。Bグループの首位を狙っている。来週は神戸製鋼で、今シーズン最後のヤマハスタジアムでの試合となるので、応援してくれる皆様へ勝利を届けるよう頑張りたい」 ──5連勝の要因は? 清宮監督 「セットプレーが良かった。ディフェンスでは規律を守り、反則を出さなかった。ワールドクラスの選手に対し、2人、3人でしっかり止めていた」 ──前半苦しんだが、後半は差がついた要因は? 清宮監督 「相手人数が少なくなったこともあるが、相手は前半のダメージを後半辛抱できなくなった。前半はモールでのトライチャンスが数回あったが、エツベス選手に阻止された。後半はエツベス選手がプレーできない場所で試合を運んだ。チームが成長している」 ──スクラムを押していたが、加藤選手の100試合で気持ちが乗っていたのか? 三村キャプテン 「強い気持ちで前にいくというヤマハスタイルを貫いた」 ──ワールドクラスの相手の手ごたえは? 三村キャプテン 「相手1人だけで、どうこうできることではないので‥‥」 清宮監督 「スクラムは前半・後半のメンバーで個性が出る。前半はボディーブロー、後半でとどめを刺す形ができた。今日100キャップの加藤は、昨年リザーブで、レギュラーは日野だった。(今日は本人の)100試合目だから試合に出した訳ではない。32歳でチャレンジし、昨年より伸びている。本人は引退を考えていたようであるが、(FWコーチの)長谷川が口説いてくれた。ベテランが変わるということは、チームにおいても良い価値がある。 ──前節に続いての五郎丸選手の途中交代は? 清宮監督 「五郎丸は2月28日の優勝後、すぐに代表に召集され練習を始めた。ずっとプレーしていることに対しリスペクトしている。出場時間が多くなっているので、プレー時間をコントロールし、リスクヘッジ(回避)する必要がある。マレ・サウは予定通り休んでおり、しっかり働いている」 ──リザーブの選手も活躍している。チーム全体の手ごたえは? 清宮監督 「ちょっと(気を)緩むとすぐ悪いところが出てしまう。1つ1つヤマハらしくしていきたい」 (記事:静岡県ラグビー協会 田代俊彦) マン・オブ・ザ・マッチはヤマハ発動機ジュビロ2番、加藤圭太選手。この日は「リーグ戦100試合出場」を達成した日でもあった
(写真:谷本結利=クレジットのないもの) |