トップリーグ2015-2016 第4節 マッチサマリー(NTTコミュニケーションズ 28-35 パナソニック)
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 28-35 パナソニック ワイルドナイツ トップリーグ2015-2016 第4節 グループA 埼玉県・熊谷で行われたパナソニック ワイルドナイツとNTTコミュニケーションズシャイニングアークスの全勝対決は、総合力で勝るパナソニックが勝利し4連勝を飾った。 NTTコムのキックオフで始まった試合は、NTTコムがマイボールを確保しパナソニック陣内に攻め入る。ワールドカップで注目されたNo.8マフィを中心にFWでラックサイドを攻め、パナソニックからノットロールアウェイのペナルティを得る。この中央寄りのペナルティゴールをSOヤンチースが難なく決め、前半2分3-0と先制する。 対するパナソニックは、8分、15分にNTTコムから得たペナルティを、SOバーンズの正確なキックで確実に得点につなげ逆転に成功するが、「NTTコムのディフェンスが良かった。ミスで自分たちの首を絞めてしまった」(堀江キャプテン)というように、なかなかトライまで結びつかない。 この試合最初のトライが生まれたのは23分。パナソニックが自陣深くでボールを展開したところを、NTTコムが激しいタックルとラックでターンオーバー。素早く球出しされたボールをヤンチースが中央に走り込みグラウンディング。ゴールも成功し10-6と逆転する。 追いつきたいパナソニックは、ペナルティゴールで1点差とした後、タレント揃いのBK陣が本領を発揮する。34分、敵陣22m付近での左スクラムから出たボールをバーンズがCTB JP・ピーターセンへ素早いパス。これをカットアウトしながら受け、一瞬で3対2と優位な状況を作りだす。その後FB笹倉、WTB北川とパスが回り右隅へトライ。難しい角度からのゴールも成功し、10-16と再度逆転、前半を終える。 風が収まってきた後半も先に点をとったのは、NTTコム。敵陣で得たペナルティゴールをヤンチースが落ち着いて決め、3点差と迫る。 試合のターニングポイントとなったのは、後半9分。NTTコム陣内深くに攻め入ったパナソニックに対して、NTTコムFL栗原がイエローカードとなるペナルティを犯し、10分間の退場となってしまう。このペナルティからのラインアウトをモールで押し切り、最後はNo.8ホラニがトライ。埼玉で育ったラガーマンに対してこの試合一番の歓声が上がった。続く18分にも笹倉が鋭く切り込み左隅へトライ。一人多い優位性を活かして13-28と点差を広げる。 局面を打開したいNTTコムは交替したメンバーが躍動する。22分、スタンドオフに入った21番小倉が試合のテンポを変えると、CTB石橋、FB羽野とダイナミックにボールをつなぐ。そこに23番カラウリアヘンリーがパスを受け、最後はWTB菊池がファイブポインターとなる。「後半の後半に自分たちの形にすることができた」(金ゲームキャプテン)と振り返るように鮮やかなトライだった。小倉のキックも決まり20-28と詰め寄る。 しかしながらパナソニックキャプテン堀江がここ一番の集中力を見せる。25分、ラックサイドからボールを運ぶと、鋭いステップと激しい当たりで4、5人のディフェンスを蹴散らし、そのまま右中間へトライ、すぐさま突き放した(バーンズのキック成功、20-35)。「FWで攻めることで、BKにスペースを与えて楽にさせたかった。それが結果的にトライにつながった」(堀江キャプテン) 試合終盤、NTTコムも1トライ、1ペナルティゴールを返すが、あと一歩及ばなかった。「細かいことが影響してしまう。キックで14点失点し、イエローカードも出てしまったが、パナソニック相手にここまでできたのは自信になる」(ロブ・ペニーHC)、「少しの差で負けてしまう。(堀江のトライのように)個人のミスが、タイトな試合だと致命的になってしまうがいい勉強になった。次の機会は借りを返したい」(金ゲームキャプテン)とリベンジに燃えていた。 この日ケガの影響で欠場した山田に代わりパナソニックの11番をつけた児玉はこれがトップリーグ初出場。キックリターンなど、随所で鋭い走りを見せた。ロビー・ディーンズ監督も「非常にいいパフォーマンスをしてくれた。彼にとって今日の試合は一生の思い出になるはずだ。この経験を元にもっと良い選手になっていくだろう」と期待を寄せていた。 試合後、グラウンドでは選手たちが日没直前まで、ファンとのグリーティングに参加していた。試合だけでなく、試合前の様々なイベント、試合後の選手たちとの触れ合いなどで埼玉のラグビーファンにとってはより充実した一日だったに違いない。 ● 記者会見ダイジェスト ●
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス ペニー ヘッドコーチ(右)、金ゲームキャプテン ロブ・ペニー ヘッドコーチ 「日本のラグビーが、このような形で行われたのは、両チームにとってとても良いことだと思います。 金 正奎ゲームキャプテン 「勝つという目標が達成できなかったのが悔しいです。 ──カウンターアタックの強いパナソニックに対して、ブレイクダウンで渡り合えたことは収穫だった? ペニー ヘッドコーチ 「チームの成長が素晴らしいものだと感じてます。 ──少しの差とは具体的には? 金ゲームキャプテン 「ゴール前で堀江選手に取られたトライ。 ──最後の場面、PGを狙いましたが、トライを取りにいって勝点2を取ることを考えなかった? 金ゲームキャプテン 「(後半37分に)トライを取り、10点差になった時点で、ショットというのはチームの決め事だった。勝点2を得られる可能性もあったが、PGで勝点1を挙げる考えでした」 ペニー ヘッドコーチ 「私も同じ考えでした」 ──次に対戦した場合、どの部分を良くしたら勝てると思うか? ペニー ヘッドコーチ 「チームのスピリッツを固めて、超えなければならないハードルはあるが、今季勝ちのチャンスが廻ってくるか? 来季になるかもしれない‥‥現時点では、パナソニックさんという強豪に対して戦っていけるだけのレベルがあるということは、チームにとって良い状況です。 パナソニック ワイルドナイツ ディーンズ監督(右)、堀江キャプテン ロビー・ディーンズ監督 「非常に良い試合をしたと思います。 堀江翔太キャプテン 「前半、ボールを回して自分たちのリズムでやりたかったが、自分たちのミスでテンポを作れなかったこと、アタックに関してはそこだけでした。 ──NTTコムのディフェンスに対し上手く対処できなかったところは? 堀江キャプテン 「練習の前に、NTTコムさんのディフェンスを分析して気をつけたが、自分達のミスで自分の首を絞めてしまった。 ──攻められた後の、堀江選手のトライについて。 >堀江キャプテン 「外にスペースはありましたが、FWはしっかりと相手の足を下げさせることも大事なので、FWにはああいう近場でプレーをしていくこと、変に外に外にと行くのでなく、もっともっと相手を寄せていって、BKを楽にさせてあげようと話していて、それが上手くいった。 ──チーム全体の熟成度は? 堀江キャプテン 「上がっていると思います。 ──山田選手の状態と復帰、代わって出場した児玉選手について。 ディーンズ監督 「山田は先週足を痛め、完全に回復するまでに時間が掛かると思うので、回復に必要な時間はしっかりと彼に与えるつもりです。 ──NTTコムとのブレイクダウンに勝ちきったことについて。 堀江キャプテン 「ブレイクダウンは、そこそこ渡り合えました。 マン・オブ・ザ・マッチはパナソニック ワイルドナイツ2番、堀江翔太キャプテン
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