場内の時計は後半46分、6点差でサントリーがリード。東芝はゴール前中央で得たPKからモール、LOバツベイが持ち出しトライ!WTB吉田大が慎重にゴールを決め逆転してノーサイド。1月に続き東芝ブレイブルーパスがサントリーサンゴリアスに連勝、リーグ戦の上位4チームによる勝ち抜き戦を制し、マイクロソフトカップを獲得、トップリーグ優勝を果たした。
マイクロソフトカップ決勝に先立ち行われたMicrosoft CUP ミニ・ラグビー交流大会の優勝チーム、筑紫丘Jr.にエスコートされ両チームが入場してきた時、秩父宮は満員御礼。雲一つない快晴だが強風。前半風上の東芝は大きなキックで敵陣に攻め入ったが、ラインアウトはサントリー優位のため、攻撃が思うように組み立てられない展開。サントリーはディフェンスでも踏ん張り、24分にはWTB栗原がインターセプトからのトライで先制した。対する東芝はやっと31分、サントリーのノータッチをカウンター、その後のラックからCTBマクラウドが一瞬の隙を突いてトライを返すが、風上ながら同点とはやや不安の前半だった。
後半。セットではやや劣勢だった東芝だが、ブレイクダウンで激しく対抗。18分にはバツベイがシンビンとなるが、強風のおさまりとともに東芝が敵陣でボールを支配する時間が多くなり、サントリーが苦し紛れの反則を繰り返すようになった。そのサントリーに2PGを追加され、場内に「ロスタイム4分」が流れた時は東芝7-13サントリーだったが、東芝は最後のモールに集中して12人で押し込み、バツベイのトライへと繋げた。
サントリーはPR長谷川が復帰したスクラムやLOメイリングとFL篠塚らが飛ぶラインアウトで圧力をかけ、BKも菅藤の好タックルや突破が光ったが、FB有賀やWTB小野澤主将に好球が回る場面はほとんどなく、前半の1トライだけに抑えられてしまった。またNo.8佐々木、CTB平といったリーグ戦快進撃の立役者が負傷退場したのも痛かった。日本選手権での再起を期待したい。(米田太郎)
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清宮監督(右)、小野澤キャプテン |
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東芝ブレイブルーパス 14-13 サントリーサンゴリアス(2月4日)
◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督
「準備してきたことをお互いに出し尽くせなかったのではないかと思います。ハイプレッシャーで相手のミスを誘うプランで、ラインアウト自体はできましたが、実際、あの内容で勝っても僕は嬉しくない。『こんな勝ちならいらない』という言葉がありますが、そういう試合でした。『サントリーは優勝するなら、足りないところがありすぎるよ』と感じながら観ていました。ストーリーがつまらない本は売れません。こんなストーリーじゃ、その本は面白くない、売れないよ。
東芝さんは、土壇場で底力を見せ、冨岡のキャプテンシーといい、素晴らしいチームです。(この本の)クライマックスを語るに必ず必要な相手だと思いました。準備したゲームプランはアタックが機能していませんでした。5mスクラムがこれだけある試合はないでしょう。我々は5mスクラムで圧倒してトライを獲るというプランでした。東芝さんのFWが意地を見せたと思います。
(バツベイ選手の退場時にもスクラムで獲れなかったが)あれは、(サントリーの)意地ですね。意地でスクラムを選択したんでしょう。相手7人のスクラムを結果的に押せなかったわけです。『押さずして勝利はいらない』というのが昨日選手に出したゲームプランですので。そういうことです。あそこで押し切れなかったので負けたといっていいでしょう。
(3週間後にストーリーは完成するのか)気の効いた答えを用意しなければいけませんか(笑)。まだ、切り替えられない。もうちょっと負けた悔しさが沸々と吹き上がってくるまで、落ち込みます。また次、宜しくお願いします」
○小野澤宏時キャプテン
「えーと、‥‥。はい、‥‥。あの‥‥。(と絶句。清宮監督が、『私は厳しいことを言いましたが、選手が持てる力を出し切ったことは間違いない。恐らくチームも小野澤もこれだけ勝ちたいと思ったことはないんじゃないでしょうか。そういう熱を感じる素晴らしいチームです。僕らが一番大切にしている熱、また熱くなれる、本心からそう思います。次にベストセラーになる本を書きましょう。な。』と助け舟)
(残り時間が少なくなってペナルティゴールを狙ったが)残り10分ありましたし、あそこで6点差にしておけば真ん中にトライされない限り逆転されないと考えました。近場でトライが獲れなかったので、タッチでモール選択という手もありましたが、迷いがありました」
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薫田監督(右)、冨岡キャプテン
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MVP、侍バツベイ選手
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◎東芝ブレイブルーパス
○薫田真広監督
「まず、今日、多くの方にグラウンドに足を運んでいただいて、注目されたカードで非常に嬉しく思っています。前から真っ向勝負といっていたとおり、東芝の強いところを前面に出していこうと選手にはいっていました。アタックの時間が多くなると思っていましたが、あれだけ前半風上の優位を生かせないと厳しい試合になります。ルア(侍バツベイ)がシンビンの10分間、0点で抑えられたのが勝因です。最終的に1点差でしたが、今日の選手の疲労度、1トライ獲られたのはインターセプトからということからも満足しています。選手には自信を持って残り2試合に臨むよういいます。
僕が監督をさせていただいた5年の根の深さがあります。清宮サントリーさんが浅いとはいいませんが、その差が表れたと思います。選手たちには、『僕は君たちを雑草だとは思っていない』といいましたが、5年間やってきたことを出せたのは嬉しく思います。
(清宮監督のシナリオを崩したが?)まあ、そのシナリオがどうかということはありますが(笑)。結果、嬉しいです。
(日本選手権は?)たぶん、うちはヤマハさんと当たると思いますが、正直、サントリー-トヨタ戦もどうなるか分かりません。ヤマハさんに勝ってリベンジすることができたらと思います」
○冨岡鉄平キャプテン
「前半の風上、思った以上にピッチ上は凄くて、サントリーさんのキックも向かい風でまずいだろうなと思っていましたが、ラインアウトが大誤算で焦りが生まれました。インターセプトトライをされて、嫌な雰囲気になりましたが、マクラウドがすぐ取り返してくれました。あれが大きかった。すぐ取り返したところが東芝の底力だと思います。
13対7になったとき、変な感覚が生まれました。昔だったら、キツイなというときなのに、身体が動くんです。気持ちがどんどん入ってサントリー陣に入っていくと、ターンオーバーされてタッチに蹴り出されても、これはいけると感じました。最後は、『FW信じてる、とことん行ってくれ』といいました。最後はバツベイが獲ってくれてスコアは競った試合でしたが、勝つべくして勝った試合でした。トライを獲られる雰囲気は、後半まったくありませんでした。
(サントリーは倒れている選手が多かったが?)接点では、絶対差があったと思います。先週の試合が糧になりました。(トヨタという)強いチームに勝ってきて、また頑張らなきゃ、と思って。ジャブの打ち合いでボディーブローが効いてきた結果です。試合内容には非常に満足しています。
(焦りはなかった?)経験の差が絶対にあると思います。僕らはNECに完全に勝てたのに勝てなかった試合や、何でだ、という試合を経験してきました。最後は変な自信がありました。おそらく東芝の選手皆があったと思います。それは反復練習であったり、薫田監督の下で5年やってきたことであったり、それが出たのだと思います。焦りがなかったといえばうそになりますが。
(日本選手権は?)もう一回、ヤマハさんとできるのであれば、負けていますし、モチベーションは上がると思います」
○MVPを獲得したルアタンギ・侍バツベイ選手
「MVPを獲れたのは嬉しいと思いますけれど、僕が10分シンビンで居ないときに皆が守ってくれてたおかげです。僕は名前を貸すだけで、皆のMVPだと思います」
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