セカンドステージ第4節 マッチサマリー(NTTコミュニケーションズ 14-45 パナソニック)
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 14-45 パナソニック ワイルドナイツ セカンドステージ・第4節 グループA 前節、神戸製鋼に前半3-27と大きくリードされながら、後半に逆転勝ちしてグループA首位に復帰した王者パナソニック ワイルドナイツ。 前半はパナソニックのキックオフでスタート。 その後は、相手陣へ攻め込むも、ペナルティーやハンドリングミス等により、お互いにリズムにのれない時間帯が続くが、NTTコムの反則からパナソニックが追加点のチャンスをつかむ。 しかし、直後の33分にパナソニックは相手陣ゴール前左ラインアウトからモールで攻め込むと、ここでNTTコムがたまらずオフサイドの反則。ペナルティートライを奪い(ゴール成功)7-21とする。更に直後のキックオフでNTTコムのシンビン(危険なプレー)により数的に優位に立つと40分、フォーンの鳴り終えたラストプレーで、相手陣ゴール前のラックからSOバーンズのキックパスをHO設樂がキャッチ。内側でサポートしていた途中出場のPR川俣直樹につなぎ右中間にトライ(ゴール成功)、7-28で前半が終了。 後半は冷たい小雨が降り始めるなかで試合再開。 その後は、両チーム共に戦術的メンバー入れ替えで攻撃を仕掛けるも、双方の堅いディフェンスでなかなか得点を奪えない。 意地を見せたいNTTコムも試合終了間際、相手陣15m中央付近のスクラムから連続攻撃を仕掛けて40分に相手陣ゴール前のラックから、後半から途中出場したPR須藤拓輝が右中間にトライ。SOエルトン・ヤンチースのゴールが決まったところでノーサイドとなった。 この結果、パナソニックは勝点5(総勝点:19)とし、首位をガッチリとキープ。試合後の会見でロビー・ディーンズ監督は「選手1人1人が自分の仕事をしっかりしてくれた」と評価。また、トップリーグのデビュー間も無い、三上、谷の両選手の成長を称えた。 なおマン・オブ・ザ・マッチは、トップリーグデビュー2戦目ながら、ブレイクダウンでのプレーが光ったパナソニック ワイルドナイツ LO三上 匠選手が選ばれた。 ● 記者会見ダイジェスト ●
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス ペニー ヘッドコーチ(右)、栗原バイスキャプテン ロブ・ペニー ヘッドコーチ 「パナソニックさんにおめでとうと申し上げます。良いレッスンになりました。今日は、何回かチャンスがありましたが、生かせませんでした。同時に、質の高い対戦相手にチャレンジングすることができて、とてもわくわくしています。このレベルの相手ですと、前半にミスをしてしまうと、うまく戦うことができません。ただ、後半、戦う姿勢が見られたことは良かったと思います。この経験を生かしていけば、チームにとって、より良い未来が開けると思います」 ──セカンドステージで苦しんでいる理由は? 「やはり強いプレッシャーの中で、スクラムタイムでボールを保持できないなど、ボールキープができないために、戦略が遂行できていません。今日も、65分までペナルティが14-2でした。アタックチャンスでペナライズされ、ボールを失ってしまったのが敗因です。しかし、トップ8チームは、シリアスですが、とてもよいものです。今後、一貫性を持って戦っていくために、若いグループが良い経験をしてくれています」 ──アイザック・ロス選手のゴールキックについて? 「彼はロック以外でもできるスキルフルなプレーヤーです。15,6歳から、ゴールキックも上手い選手です。自分もキャッチングを手伝っていますが、トレーニングも素晴らしい、偉大な選手です」 栗原大介 バイスキャプテン 「シャイニングアークスとして、結構いろいろなシチュエーションでチャレンジしていこうと臨みましたが、パナソニックさんのプレッシャーでそれができませんでした。相手のプレッシャーを大きく受け、結果を急いで大きくミスをしました。上位リーグで結果を求めると、それこそ勝てないことが分かりました。僕たちにとってかけがえのない経験になっています。この反省点を基に、シャイニングアークスとして少しでも成長することが、今日も応援してくださった人への恩返しになると思います」 ──パナソニックのディフェンスを突破できなかったが? 「我慢すべきところを、一発で獲ろうとしてしまいます。トップリーグの他のチームは、自分たちのフィジカルをぶつけて、相手の意識を内側に向けて、外へ散らして獲ります。横への圧力がないのに縦へ持って行ったりするので、バックスとフォワードのコンビネーションを高めていく必要があります」 ──三上選手らパナソニックの若手選手について? 「全体的にハードワークする印象があります。一人ひとりにコミットしてきます。チームとしてフィットし、外に行けるし、仕事の正確性が印象的です。アタックについても、ブレイクダウンも。例えばディフェンスでラックに入る時のコミットが上手く、こちらのアタックが殺されます。ディフェンスでは、こちらのコミットにも耐えて、起き上がりの速さがあるし、ダミーで入る選手も一つひとつの仕事を意識して、こちらのディフェンスを殺しに来ます」 パナソニック ワイルドナイツ ディーンズ監督(右)、田中ゲームキャプテン ロビー・ディーンズ監督 「前半の良いパフォーマンスで勝つことができた試合でした。皆、良く走りました。後半は、前半ほど良いパフォーマンスではなかったですが。今日は、フミ(田中選手)がトスで勝ってくれたので、一生の仕事にしてほしいですね(笑)」 ──コムとは前回、苦しい試合をしたが? 「ファーストステージでは、前半、タイトな試合をやってしまいました。後半、縦に行くことができたので、今日は前半からそれをやろうとしました。しっかりボールを持ってプレーする時間を長くし、相手にボールを渡さないことを目指しました。NTTコムさんはアタックの良いチームですので、僅差になることを防いでいこうと。残り20分で出てくるヤンチース選手は危険な選手ですから。前半は、翔太が復活していない中で、あれだけのスクラムを組むことができたのは良かったです」 ──谷、三上選手ら若手については? 「良いプレーでした。彼ら二人の成長を喜んでいます。デビュー戦なら気持ちは高ぶっているので良いのですが、2戦目は難しい。だが、2戦目の方が成長しています。谷は下のボールに強いし、ボールキャリアーとしても強い。毎週、同じ選手でやることはできません。どうしてもパフォーマンスが落ちてしまいますから。ただ、毎週、80分プレーしたい選手はいますが(笑)(と、田中選手に振る)」 ──山田選手がフォースと契約したが? 「間違いなく、スーパーラグビーで素晴らしいパフォーマンスをしてくれると思います。2カ月ほど前、トッド・ブラッカダーが山田のパフォーマンスを見て、向こうで見たいと言っていましたが、残念がることでしょう。アキ(山田選手)には良いチャンスです。彼が、今回フォースと契約したのは決して偶然ではありません。努力して、チャンスを手に入れたのです。いろいろなスキルを持ち帰って、選手として成長してもらいたいと思います。特にハイランダース(田中選手の所属するSRチーム)戦では活躍を期待しています(笑)」 田中史朗ゲームキャプテン 「前回の太田での試合で、競ったことを考えて、前半から自分たちの戦術を信じてやろうと臨みました。トライを2本、獲られたのは反省点ですが、アタックに関しては良いラグビーができたと思います」 ──毎週80分出たい選手とのことだが? 「若手のスクラムハーフも、これからのパナソニックを引っ張るために必要です。僕も中堅となり、個人としては80分出たいが、チームのことを考えれば、自分が引く部分もあるかと。我慢して、お酒を飲んでストレス発散しています(苦笑)」 ──山田選手がフォースと契約したが、経験者として? 「今日の試合を見ても分かる通り、スーパーラグビーだけでなく、今シーズン、すごい勢いをチームに与えてくれた選手です。成長したいという思いも持っていて、ジャパンにも欠かせない選手です。フォースの他の選手は知りませんが、チャンスだと思います」 山田選手 山田章仁選手 (SRウェスタン・フォースとの契約締結を受けて) 「フォースの一員として、レベルの高いスーパーラグビーでできることを非常に嬉しく思っています。お世話になったパナソニックのためにも、パース(ウェスタンフォースの本拠地)で頑張ってやっていきたいと思います」 ──契約について詳しく? 「漠然と海外挑戦を考えていましたが、チームメイトが何人も海外へ行くのを見て、レベルを上げたいと思うようになりました。今回、この話が来て嬉しいですが、まだ、ジャージーに袖を通すまでは分かりません」 ──どんなモチベーションで? 「ワールドカップまでに自分のレベルを上げて、良い経験をプラスしたかったので。ずっと海外でプレーしたいという思いがあるので、ようやく叶ったと」 ──どんなプレーを? 「チームの中で、良いところも悪いところもあると思うが、かゆいところに手が届く、チームの特色を生かせる選手になりたいと思います。特にウィングは周りに生かしてもらうポジションなので、チームの中の立ち位置を確かめてやっていきたいと思います」 ──オーストラリアのラグビーの印象は? 「天候が良いので、走りやすい環境だと思います。プレーには比較的良いイメージしかありません」 ──エディーさん(ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ)からは? 「しっかり試合に出て、立ち向かうようにと。頑張ってくださいと」 ──ゲームに出られなくなるリスクもあるが? 「日本代表としてもチーム力が上がっています。もっとチームとして前進するためには、個人としてもやらなくてはと感じました。せっかく頂いたチャンスですから、ワールドカップに生かしていきたいと思います」 マン・オブ・ザ・マッチはパナソニック ワイルドナイツ4番、三上匠選手
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