ファーストステージ第5節 マッチサマリー(サントリー 22-29 神戸製鋼)
サントリーサンゴリアス 22-29 神戸製鋼コベルコスティーラーズ ファーストステージ・第5節 プールB 第5節プールBでは、これまで全勝のサントリーサンゴリアスと神戸製鋼コベルコスティーラーズがついに激突。金曜日のナイターにも関わらず、秩父宮ラグビー場には9000人近いファンが詰めかけ、微風の中、注目のキックオフ。 今季のトップリーグ屈指のカードは、開始直後から互いが高速アタックを繰り返し、期待にたがわぬ展開を見せた。サントリーがSH日和佐、SOピシを核としたアタックシェイプでボールを素早く、グラウンド広く動かすが、神戸DFは前で激しく身体をぶつけ、15人の広がりとバランスで相手に隙を与えない。 先に流れを掴んだのは神戸。SO正面のゲームコントロールに加え、CTB山中の左足からのロングキックがエリアを支配する。シンプルにサントリーゴールに一気に迫ると神戸FWの縦へのドライブが繰り返される。崩れかけたサントリーDFが中央へ寄ってきたタイミングでタッチ際へのキックパス、大外へのランプレー。必死で戻り身体を寄せるサントリーDFの執念が簡単にはゴールを割らせない。この試合のただならぬ雰囲気をスタンド全体が共有する。 再三ゴールに迫りながらトライの奪えなかった神戸は、山中のPGで初得点。しかし、これで吹っ切れたサントリーにリズムが戻る。FWのショートサイド、SOからのシェイプ、時に外へ。相手DFが後手を踏んで伸び切ったギャップをSH日和佐が切り裂く。素早く展開されたボールをCTBニコラスがショートキック。誰もいないスペースでWTB中づる(雨冠に隹・鳥の順)がボールを抑え、前半を締めた。(7-3) このゲームでの神戸DFには、後半も迷いはなかった。開始1分、サントリーのアタックを神戸FL安井が分断する。ショートステップで身体をずらし、早い球出しから順目へと展開するサントリーの高速アタックパターンを、狙いすました安井がインターセプトし約60mを走り切ってトライ。DFの早いセットと前への飛び出し。このゲームに対する準備の徹底が神戸を勝利に近づけた。 今年にかける神戸の執念を感じさせたのは後半37分の勝利を決めたプレー。佐々木のトライで5点差に迫ったサントリーに、神戸は最後までトライで勝つことにこだわった。サントリー陣で得たペナルティに、伊藤キャプテンはPGでの逃げ切りを無視。タッチキックからのラインアウトに今年の意気込みを見せる。スタンドまで伝わる激しい気迫は、神戸をさらに固い塊に育て、力強いトライで勝利を手にした。(22-29) ● 記者会見ダイジェスト ●
サントリーサンゴリアス 大久保監督(右)、真壁キャプテン 大久保直弥監督 「勝たなければいけない試合と思って臨みましたが、今日は完敗です。神戸がよく前に出るディフェンスをしていました。これに対して受けてしまいました」 ──対神戸製鋼としての今日のゲームプランは? 「神戸とはフィジカルなゲームになるとは思っていました。ボールをどこに運ぶかというシーンで、ボールを下げてしまったり、弱いショートラインを突いたりと、本来するべきことができませんでした。ラインアウトでも、スローイングなどでもう少し安定したかったと思います」 ──HOに鈴木亮大郎を起用、また、ニコラスライアンをCTBに起用した理由は? 「HOでは小澤は仕事量の多さ、鈴木亮はセットプレーでの安定さを評価しています。青木がHOに戻ってくるまではこの2人をうまく使っていきたい。今シーズンはFLにしたニコラスライアンを今日はCTBで起用しました。フィジカルなところに期待して、ボールをもう少し持ってキャリアーとしてゲインラインの突破に期待しましたが、あまりうまくはいかなかった」 真壁伸弥キャプテン 「今日の試合では、受け身になってしまったことがすべてだと思います。ラインアウトなどのセットプレーで遅くセットして、後手後手になってしまいました」 ──今日の神戸のFWについては? 「今日はセットプレーでサントリーのプレーをさせてもらえなかったと思います」 ──開幕戦から5週連続での試合と、厳しい試合日程になったが? 「これまで、チームスタッフが良くコンディション作りをしてくれているので、暑い中の試合が続きましたが問題ありませんでした」 ──前半20分のサントリーが得たPKの場面、また、神戸製鋼が後半37分、PKからPGを狙わずトライをとった場面については? 「前半20分のPKでは、ショットを狙おうかどうか悩みました。ラインアウトからのアタックで行けるかと思ったのですが‥‥。後半の神戸のトライシーンは、最初に崩すことができなくて、トライを取られ、『やってしまった』と思いました」 神戸製鋼コベルコスティーラーズ ゴールド ヘッドコーチ(右)、伊藤ゲームキャプテン ギャリー・ゴールド ヘッドコーチ 「今日の試合は難しい試合になるということは予想通りでした。サントリーは良くボールを動かすチームですが、今日は神戸が良くディフェンスできました。サントリーは効率的にいいアタックをするチームなので、最後の笛までよくディフェンスができて闘えたことは良かったと思います」 ──前半、サントリーにリードされていたが、点差は広がらず、後半に自信はあったか。 「自信はありました。前半、崩されて取られたトライはなかったので、そのまま行けると思いました。自信をもって後半を迎えました」 ──ディフェンスシーンで良かったところは? 「選手のディフェンスでのワークレートが良かったと思います。サントリーはボールをもってアタックをしてくるチームなので、ワークレートを上げてディフェンスでハードワークしなければならない相手でした」 ──今日の試合でマン・オブ・ザ・マッチを獲得した山中亮平選手についての評価は? これまで山中選手はディフェンスが課題だと言われていたが? 「山中選手はとてもソリッドなプレーをする、ファンタスティックなフットボーラーです。今日もラインブレイクも2回くらいできたし、ディフェンスでも強いプレーがありました。過去にプレーから遠ざかった年があったとは聞いていますが、今年、私が見た山中選手はディフェンスもいい選手です」 ──今日はFL前川選手が不出場となり、試合直前でのメンバーの変更があったが、問題はなかったか? 「とても難しいデシジョンでした。後半のフーリーやエリスの起用について、外国人枠との問題でいい教訓を得ました」 ──今年の新戦力で今シーズン2回目の先発起用としたWTB山下楽平選手についての評価は? 「山下選手に限らず、井口、中濱などアウトサイドバックスには若い才能ある選手が多くいます。山下選手は夏合宿でハードワークしていいところを見せていたので、今日起用してみました。アジア競技大会をはじめセブンズワールドシリーズのメンバーとしてチームを離れる時期があるかもしれませんが、セブンズでの遠征を通じてスペースの使い方やフィットネスなどで更に良くなることを期待しています」 伊藤鐘史ゲームキャプテン 「しんどい試合でした。これまでサントリーのほうが余裕や自信があるプレーが多かったが、これを打ち破れたことが楽しかったです。前に出ていくディフェンスを80分間続けられてよかったと思います」 ──今日のマン・オブ・ザ・マッチの山中亮平選手について? 「山中選手は今年3月から5月に行ったチーフスでの武者修行から帰ってきてから、雰囲気が内面から変わってきた感じがします。のびのびやっていて、いいところを出せていると思います」 ──これでファーストステージ5連勝ですが‥‥? 「チームの強みはディフェンスとエリアを止めているところだと思います。チームのこういった個性的なところで勝ててきたと思います」 マン・オブ・ザ・マッチは神戸製鋼コベルコスティーラーズ12番 山中亮平選手
神戸製鋼PRの平島久照選手はこの日、トップリーグ「リーグ戦100試合出場」を達成
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