プレーオフ セミファイナル マッチサマリー(サントリー 38-19 神戸製鋼)

プレーオフトーナメント

サントリーサンゴリアス 38-19 神戸製鋼コベルコスティーラーズ
【プレーオフトーナメント セミファイナル/2013年1月19日(土)/東京・秩父宮ラグビー場】

     

サントリー、選手入替が功を奏し、後半逆転勝利で「全勝優勝」に王手

2週間前のリーグ戦最終節での同じチーム同士の対戦では、サントリーが43-29で完勝しているが、神戸製鋼は「切り札」CTBジャック・フーリーが怪我から復帰、先発メンバーでは計7人を入れ替えてセミファイナルに臨んできたので、2週間前の試合から神戸製鋼がどのくらい変わってくるのかが見どころになった。

前半は、神戸製鋼が攻めては数少ないチャンスをトライにつなげ、守っては出足のいいタックルの連続でサントリーにトライを与えず、神戸製鋼にとってはこれ以上ない最高のスタートだった。
前半12分、サントリーがPGで3-0とリードするが、18分には神戸製鋼が中央付近のラインアウトからの攻撃で、FLブラッキーが密集から抜け、CTBフーリーからのオフロードパスを、走り込んできたLO安井が受け、そのまま30m突進し、トライ(ゴール成功、3-7)。

サントリーもSHデュプレア、FLスミスを軸にアタックするが、神戸製鋼はNo.8前川をはじめとした全員の好タックルでよく防いでいた。24分、神戸製鋼PR安江が反則の繰り返しでシンビンとなり、それで得たPKでサントリーが着実に3点をとり6-7と点差を詰めたが、逆に神戸はそこからの人数的に少ない10分間に、好ディフェンスから得たチャンスでのトライで得点を加えた。27分、サントリーSO小野のキックを神戸製鋼No.8前川が出足よくチャージ。ワンバウンドしたボールがそのまま前川の胸に収まり、ゴールポスト下に走り込みトライ(ゴール成功)、6-14とし、さらに32分には、神戸製鋼がターンオーバーから得たボールをCTB南橋がオープンパントし、これをキャッチしたサントリーCTBニコラスにCTBフーリーがナイスタックル。そのこぼれたボールをWTB大橋が拾い、左隅に飛び込んだ(ゴール不成功、6-19)。

ボールを持つ機会は多いものの、神戸製鋼の好ディフェンスでなかなか攻撃のリズムに乗れなかったサントリーは、前半33分に、早くもハーフ団をデュプレア-小野から日和佐-トゥシ・ピシに入れ替えてきた。39分にサントリーがPGを加え9-19でハーフタイムとなった
が、前半終了時点ではサントリーのプレーに落ち着きが戻っておらず、神戸製鋼が好プレーを後半も続けることができれば、このまま神戸製鋼がファイナルへの切符を得るのではないかと思われた。

後半、サントリーはハーフ団の入替が功を奏したのか、アタックにリズムが出てきた。9分、サントリーは敵陣ゴール前でPKを得ると、PGを狙わずスクラムを選択。そのスクラムからNo.8西川が右サイドを突き、そのラックから出たボールをSH日和佐が素早く左に振り、ボールをもらったPR畠山がトライ(ゴール成功)、16-19に追い上げた。さらに、17分にはラインアウトからのSH日和佐とSOトゥシ・ピシとのクロスプレーがきれいに決まり、トライ(ゴール成功)、とうとうサントリーが23-19と逆転した。前半、好タックルの連続でよくサントリーのアタックを止めていた神戸製鋼のディフェンスも少し、足が止まってきたようだ。

こうなると、トゥシ・ピシが止まらない。21分にはトゥシ・ピシが神戸製鋼ディフェンスを2-3人かわし、CTB平からWTB村田につなぎ、村田がトライ(ゴール不成功、28-19)。
30分にはトゥシ・ピシ自らがDGを決め、3点加点。38分には敵陣でのラックから出たボールをトゥシ・ピシ-FLジョージ・スミス-トゥシ・ピシと見事なリバースパスが決まり、コーナーフラッグ脇に飛び込みトライ(ゴール成功)、最終スコアは38-19とサントリー完勝のスコアとなった。サントリーはこれでリーグ戦から14戦全勝。来週のファイナルはトップリーグ初の全勝での完全優勝を賭けた「千秋楽」となる。(正野雄一郎)

会見ダイジェスト
神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田ヘッドコーチ(右)、橋本キャプテン

■神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田右二ヘッドコーチ

「帝京大学、東海大学さんをはじめ、多くの皆様によるグラウンド、観客席の雪かきに感謝しています。2週間、サントリーさんに勝つことを目指して良い練習をしてきました。それだけに残念です」

──フーリー選手を早く交代させたのは?

「もともと怪我をしたところが前半から良くなく、後半早々に代えました」

──どういう部分で上回ろうとしたのか?

「ディフェンスに関しては最終節のディフェンスシステムが良くなかったので、そこを変えて、2週間練習して臨みました。グラウンドコンディションが良くないので、キックチェイスして前で倒してターンオーバーしようと話し合いました」

──フーリー選手の交代は痛かったのでは?

「選手を比較するのは難しいですが、50mターンオーバーで攻めて、ゴール前5mまで迫った時に、相手にボールを取られたり、自分たちが戻る場面が多くなったりして、サントリーさんのペースにされました。こういう舞台では、どれだけ自分たちのラグビーができるかです。タフにやらねばならないことを選手は理解したと思うので、日本選手権に向けて良い準備をしたいと思います」

──ハーフタイムには?

「サントリーさんはクイックタップでどんどん攻めて来るだろうし、ピシ選手もボールキャリーしてくると分かっていながら、タックルミスがあってトライを獲られました。彼らが入っても、前半は我慢できましたが、ターンオーバーで足を使わされて、最終的には足を止められたと感じます」

──前半は10次以上攻められても、良く守ったが?

「ディフェンスに関しては、トライを獲られたシーンでは約束事が守られず、足を使って判断力が鈍っていました。こちらもトライチャンスがありましたが、前半は相手のミスで獲り、後半はこちらのミスで獲られ、前後半が逆になってしまった印象があります」

── 一歩踏み込むディフェンスが効いていたが?

「ディフェンスは1週間、時間を割いて練習してきて、非常に機能したと思います。ノンメンバーが仮想サントリー役をしてくれて、身体が動く間は良いディフェンスをしてくれました」

橋本大輝キャプテン

「素晴らしいグラウンドコンディションを作って下さった、多くの皆様に感謝申し上げます。得点差どおりの力の差だと思います。日本選手権に向けて切り替えていきたいと思います」

──味方がシンビンの時に2本トライを獲り、よい流れだったが?

「特にFWは10分我慢して、いつも以上に動こうと言っていました。最後は、僕たちのペナルティが多くなり、どんどんディフェンスで差し込まれ、サントリーさんの形になってしまったと思います」

──後半はタックルミスもあり、流れが良くなかったが?

「サントリーさん相手に戦うには、サントリーさんのペースでやると、こういう流れになります。テリトリーやボールキープする僕たちのラグビーをしないといけません。あれだけ、僕たちの足が落ちると、こうした結果になります」

     
サントリーサンゴリアス
大久保監督(右)、真壁キャプテン

■サントリーサンゴリアス
大久保直弥監督

「今日はありがとうございました。本当に、これがファイナルステージという試合でした。内容は、こちらも必死で、あまり覚えていませんが、最後はこの2年間の経験が生きたかなと思います。ぜひ、神戸製鋼さんの分もファイナルで勝ちたいと思います」

──どのあたりの経験が生きたのか?

「神戸製鋼さんがラッシュディフェンスをしてくるのは、予想していましたが、多少、前半はパニックが見られました。その中で、どこにスペースがあるか、自分たちがどう攻めるのかという判断が鈍りました。後半に関しては経験を生かせて、(判断は)良かったと思います」

──6-19とリードされ、ハーフ団を代えたが?

「特に、サントリーのゲームテンポではないし、このままだと相手を走らせることができないと判断し、得点よりテンポを考え、日和佐とピシに代えました」

──ファイナルでは今日の後のハーフ団なのか?

「ファイナルは、内容より、1点でも多く取った方が勝ちですので、そのためにできるだけの手を打ちます。東芝、パナソニック、どちらが相手か分かりませんが、サントリーのラグビーをやるしかないと思います」

──ここまで無敗で、史上初の全勝優勝がかかるが?

「リーグ戦も7点差以内の勝ちが4試合あり、どうなったか分かりません。目の前のスクラム、ブレイクダウンに100%ファイトする、その積み重ねが14勝です。来週も変わらず、あらゆるコンテストにファイトすることが大事です」

真壁伸弥キャプテン

「お疲れ様です。前半、相手が元気な時に、自分たちのペースを作れませんでした。反省点です。しかし、劣勢になっても勝てたのは収穫でした」

──リードされた時の意識は?

「獲り切れなくても我慢しようと。相手のシンビンの時のトライもラッキーな面があったので、とにかく焦らないということを意識していました」

──パニックになった時は?

「キャプテンになって、日も浅く、僕がパニックに一番なりそうなので(笑)、(有賀)剛さんと話して、僕たちには帰るところがあるので、そこに帰ろうと言いました。グラウンド状態が悪かったので、いつもどおりのパスより、一人一人のゴーフォワードを念頭にプレーしました。後半に関しては前にも出られましたが、ブレイクダウンは劣勢でしたので、ここは変えていかねばなりません」

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