昨日の開幕戦に引き続き、ここ秩父宮ラグビー場ではダブルヘッダーの第1試合に昨年のリーグ戦7位で上位進出をうかがうリコーブラックラムズと、昨年のリーグ戦3位で優勝の奪還に燃えるパナソニック ワイルドナイツとの一戦がおこなわれた。
試合前から、昨年のラグビーワールドカップ2011ニュージーランド大会で優勝したオールブラックスのメンバーで、パナソニック ワイルドナイツに加わったCTBソニー ビル・ウィリアムズ選手がメンバーには名を連ねていないが、練習のサポートをしてスタジアムを盛り上げていた。
試合前のセレモニーが終わり、両チームの選手は静かにレフリーのキックオフの笛を待つ。
そして、ワイルドナイツのキックオフで試合が始まった。
試合開始直後にブラックラムズが勢いよくワイルドナイツ陣地深く攻め込み、たまらずワイルドナイツがオフサイドの反則。3分SO河野選手がペナルティゴールを決めて試合が動き出した。3-0
8分ブラックラムズが22m内側でノックオンをしてワイルドナイツのスクラムをSHがスクラムから右サイドに離れてダミーとなり、No8ホラニ選手が左サイドへパスするサインプレーで、左へ早い球出しの展開にブラックラムズの選手が対応できず、WTB14番三宅選手が左隅にワイルドナイツの今シーズン初トライを決めた。
FB15番田邉選手が、左隅からの難しい位置からのゴールキックを決めて3-7ですぐに逆転。
14分ハーフライン中央付近でブラックラムズがノットリリースザボールの反則でワイルドナイツFB15番田邉選手がペナルティゴールを狙い、見事に成功。3-10
ここから20分間あまり、両チームは反則やミスの繰り返しで長い膠着状態が続いた。
35分この膠着状態を破ったのは、ブラックラムズのペナルティからFB田邉選手が、左40mのペナルティゴールを決めてやっと得点が動き始めた。3-13
37分先程とほぼ同じ位置でのブラックラムズのオーバーザトップの反則に田邉選手がペナルティゴールを再び決めて3-16と少しずつブラックラムズを突き放しにかかる。
ハーフタイムのホーンが鳴ってから、ワイルドナイツNo8ホラニ選手が故意の反則によりシンビンで10分間の退場になった。
41分その反則でワイルドナイツゴール前でのペナルティゴールをSO河野選手が決めて6-16で前半が終了。
前半は両チームとも反則が多く、試合の継続性が無く、後半どう立て直すかがカギになりそうだ。
後半はブラックラムズのキックオフで始まった。
1分ワイルドナイツのCTB12番林選手が縦に抜けてブラックラムズNo8ボーク選手が必死にタックルで止めるもハイタックルによりシンビンで退場となった。
2分このペナルティで中央35mのペナルティゴールを田邉選手が決めて6-19
11分ブラックラムズのレイトチャージからまたも田邉選手が中央のペナルティゴールを決めて6-22
24分、中央付近でずっとボールをキープし続けるワイルドナイツが右へ展開し、WTB11番三宅選手が右サイドを抜けてその内側をフォローしていた逆サイドのWTB14番山田選手へパスして中央へトライをした。ゴールも決めて6-29
29分フルスピードでラインに参加したワイルドナイツWTB山田選手へのパスが渡って内へ外へ軽やかなステップを切って左側へまたもトライを決めた。田邉選手がゴールを決めて6-36
31分ブラックラムズのパスミスからHO2番設楽選手がこぼれたボールをキックで反応し、転がったボールをキャッチしてそのままトライをした。6-41
34分ブラックラムズはワイルドナイツのラックのボールを奪ってパスを受けたFL7番覺來選手がタックルを受けながらも、サッカーのフランス代表のジダン選手が得意とするマルセイユターンのごとく、ブラックラムズ意地の今シーズン初トライで一矢を報いた。ゴールを後半から入ったSO21番津田選手が決めて13-41
39分ブラックラムズのペナルティからFB田邉選手がPGを決めて13-44で試合が終了した。
この試合のマン・オブ・ザ・マッチはディフェンスでタックルやモール、ラックで常に体を張ったプレーが光ったパナソニック ワイルドナイツLO4番北川勇次選手が選ばれた。
両チームとも今シーズンのファーストゲームだっただけに硬さからか反則やミスが目立ち、シンビン1枚ずつが出る荒れた試合の中でも6本のペナルティゴールを決めるなど、ワイルドナイツの44点の半分以上の24得点を上げたFB15番田邉淳選手の好調な右足が目を引いた。
そして昨年のワールドカップ第1戦フランス戦で右膝を負傷して、その後のシーズンを棒に振ったワイルドナイツのFWの柱、No8ホラニ龍コリニアシ選手が戻ってきた。今日の試合ではシンビンで10分間の退場になったものの、アタックでは確実にゲインラインを突破して、ディフェンスではタックルで相手の攻撃を分断させる。HO堀江選手、SH田中選手がニュージーランド留学でいない中、この男が戻ってきたのは戦力アップ以上に大きく心強い。(奥山 禎晴)
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