10節 マッチサマリー(サントリー 43-26 近鉄)

サントリーサンゴリアス 43-26 近鉄ライナーズ
【week10/2012年1月15日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

正月明け寒空の秩父宮での第2試合、開幕全勝中のサントリーサンゴリアスと3敗の近鉄ライナーズの一戦が行われた。

近鉄のキックオフで始まり、近鉄がいきなり敵陣22mに攻め込み、あわやトライという場面にも、サントリーがしぶとくインゴールでのグラウンディングを拒む。
前半4分、サントリーが相手キックから左オープンへのカウンター攻撃から、13-5-11と繋ぎ、WTB11番の長友泰憲がインゴール左にトライ。12番ニコラスライアンがG成功、7-0。
16分に近鉄がSOファアトヌ・フィリのPGチャンスを得るが、ゴールポストに当り不成功。

両者の激しいブレイクダウンの攻防、近鉄もサントリーのチャンスをターンオーバーからの逆襲とテンポの速い展開が続き、ファンの眼を釘づけにする緊迫したゲームとなった。
24分にサントリーが敵陣ゴール前ラックから速攻で9-10-13-11と繋ぎ、WTB長友の2本目のトライを取ると、これを皮切りに、29分CTBニコラスのグラバーキックをこの日復帰したFB15番小野澤宏時が左インゴールで押さえトライ。
32分敵陣ゴール前ラックからFW5番ダニー・ロッソウが飛び込みトライ。
39分にもCTB13番平浩二のトライとサントリーは前半で5トライ、3Gを獲得し31-0でハーフタイム、後半更に差が開くものと思われた。

後半3分、近鉄のSOフィリのオフロードパスを受けたSH9番金哲元が逆襲のトライ、CTB21番重光泰昌がG成功。
10分、近鉄CTB22番リコ・ギアが自陣22m付近にてサントリーのパスミスのこぼれ球を得て独走しそのままトライ。重光のG成功で31-14と追い上げる。
この後、近鉄が優勢となりサントリーを攻め続けるが、14分FL6番ジョージ・スミスがインターセプトからのトライ。12番ニコラスG成功。
ここからサントリーが息を吹き返し、連続攻撃から25分PR3番畠山健介がトライ、43-14。

しかし近鉄も諦めず、32分に自陣10mからSO19番レプハ・ラトゥイラが持ち味のスピードとキレのあるステップでサントリーのディフェンスをかわし60m独走トライ。
また終了間際40分にも敵陣ゴール前スクラムからFB15番高忠伸がトライ、21番重光G成功し43-26でノーサイド。後半に近鉄は4Tと、ワイドを使った展開攻撃で追い上げ、近鉄の持ち味も出せた見応えのある好試合となった。
サントリーは10連勝、次節は東芝ブレイブルーパス戦、タフな好ゲームが期待される。(高野敬一郎)

サントリー 43-26 近鉄   サントリー 43-26 近鉄   サントリー 43-26 近鉄   サントリー 43-26 近鉄
会見ダイジェスト
近鉄ライナーズ
前田監督(右)、高キャプテン
前田監督(右)、高キャプテン

◎近鉄ライナーズ
○前田隆介監督

「今日もファンの皆様の応援に感謝いたします。前半のキックオフから、ハンドリングエラーが多く、攻撃する試合にならなかったのは反省点です。後半はカムバックして、ボールキープしてアタックする時間ができました」

──展開ラグビーはうまくいっているのか?

「今日は、フェイズを重ねずにハンドリングエラーをターンオーバーされていました。あと、3,4フェイズ動かしたかったと思います。外側のブレイクダウンで激しくプレッシャーを掛けられて、テンポを崩していました。もちろん、そこを練習してきたのですが、サントリーさんが上回ったところだと思います。また、足回りが悪くて、スリッピーなため、走りづらかったということもあります。相手も同じ条件ですが、こういうタイトなゲームのボールリテンション、ボールの再確保をうまくやっていかなくてはなりません」

──先発をかなり替えたのは?

「今シーズン、重光選手がずっとスタンドオフで組み立ててきましたが、フィリ選手も攻撃力、能力の高い選手です。また、サントリーさんは10番周辺を何度も走って攻撃してきますので、12番のところにイエロメ選手も立たせて、少しディフェンスでのプレッシャーを掛けたいと考えました。ある意味、サントリーさん向けに勝負を掛けたメンバー構成でした。スクラムハーフのリザーブを入れなかったのも、後半もフレッシュなメンバーで仕掛けたいと考えたからです」

○高 忠伸キャプテン

「後半のラグビーを最初からすることを監督にも期待され、スクラムハーフのリザーブも入れないというリスクも踏まえて臨みながら、前半はボールを持つ時間が少なく申し訳なく思います。後半40分はボールを持てば、サントリーさん相手にもスコアできることを示せたのは収穫でした。しっかり、トップ4を目指して戦っていきたいと思います」

──なぜ、前半からできなかったのか?

「ホームでは自分たちのリズムでプレーできています。遠征ですと、メンタルな弱さなのかリズムなのか、崩れています。キャプテンとしてもう少ししっかりチームをオーガナイズすればクリアになる課題だと思い、反省しています」

サントリー 43-26 近鉄   サントリー 43-26 近鉄   サントリー 43-26 近鉄   サントリー 43-26 近鉄
サントリーサンゴリアス
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン

◎サントリーサンゴリアス
○エディー・ジョーンズGM兼監督

「今シーズンの一番タフなゲームでした。トンガのチームと戦ったみたいです(笑)。とてもフィジカルでしたが、ブレイクダウンでもファイトしてくれて、ボールキャリアもボールをなくさず攻め続けてくれて、選手のパフォーマンスは嬉しく思います。トライを最後に獲られましたが、それだけ近鉄は良いチームだということです。来週は、府中ダービーです。楽しみにしています。東芝さんとはブレイクダウンのコンテストになると思います」

──バック3の配置の意図は?

「今週、この3人がベストの3人だったからです。先週、長友選手が、大きな選手に良いディフェンスをしていましたし、15回もタックルに行っていました。選手をいろいろとミックスできるチームは有利だと思います。有賀選手の靱帯の怪我の間は、今のところ、小野澤選手がFBです。34歳で強く、速く、驚くべき選手です。ラグビーを楽しんでいるのが良いですね。両ウィングも良いプレーをしました。成田選手もすごく強くなり、今日もとても良いプレーをしました」

──近鉄のブレイクダウンは予想どおりか?

「小さい6番を持ってきたので、必ず、ブレイクダウンでコンテストしてくると思っていましたし、7番も良い選手なので、チャレンジしてくると思っていました。負けたところもありましたが、前半のプレッシャーは掛けられたと思います。近鉄さんはディフェンスラインに14人、ブレイクダウンに3,4人かけていたので、そういうディフェンスのチームにはキックが有効と選手には伝えてあり、それができたと思います」

──近鉄の11番の選手(李陽選手・中国代表)の評価は?

「良い選手です。速いし、筋肉もある。日本人だったらと思ったが残念です(笑・ジョーンズ氏は4月から日本代表の次期ヘッドコーチゆえのジョーク)。現在、一番良い中国人選手だと思います」

──後半は、あれだけアタックされたが?

「近鉄さんは、後半、すごく良いアタックをしました。前半は横に流れていましたが、後半に入って、もっとゲインラインを越えるプレーを意図して、オフロードパスをつながれました。サントリーのディフェンスも修正しないといけません。近鉄さんはとても大きな選手がそろっているチームです。後半のメンバーで、トップリーグの経験の少ない小川選手、長谷川選手には良い経験となったでしょう」

○竹本隼太郎キャプテン

「前半の最初からフィジカルで、結構、激しい試合でした。アタックでは7トライ獲れましたし、ディフェンスでは最後に立て続けに2トライ獲られたのは反省点ですが、全体としては良かったと思います。試合中、近鉄さんの応援団が気持ちの良いヤジを飛ばして下さって、関西のチームは応援が温かいなあと感じました」

──どんなヤジか?

「成田、お前、ルール知ってるのか? とか、こちらは集中しているのでニヤリとはしませんけれど(笑)」

──後半は、あれだけアタックされたが?

「近鉄さんは良いアタックをしました。こちらもコミュニケーションをとり、気を抜いたつもりはありません」

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