東芝ブレイブルーパス 19-24 NECグリーンロケッツ
【week6/2011年12月10日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】
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3連勝で勢いに乗るNECグリーンロケッツを、トップを走る東芝ブレイブルーパスが迎え撃つ一戦。両チームの大応援団が見守る中、白熱した試合展開が始まった。
序盤から、東芝が王者の貫禄を見せ、NEC自陣で連続攻撃。前半3分、攻め続けた東芝は、No.8豊田真人がゴール左中央にトライ。ゴールも決まり7-0とリード。ミスの目立つNECは、なかなかリズムがつかめずに東芝に攻め込まれる時間帯が続く。自陣ゴール前、なんとか東芝の攻撃を耐え忍んでチャンスを伺うが、どうしてもボールが手につかない様子。一方、東芝は安定した力を見せ、前半15分、FLマイケル・リーチが抜け出しゴール前までボールを持ち込むと、連続攻撃を仕掛け、最後はCTB吉田良平がゴール左隅にトライ。ゴールは外れて12-0とする。
前半22分、勢いに乗れないNECを東芝FWがモールで攻め、そこからSOデイビッド・ヒルからWTB宇薄岳央とボールをつなげ、ゴール右中央にトライ。ヒルのゴールも決まり19-0。前半27分、NECのSOキャメロン・マッキンタイアーのナイスキックにより東芝ゴールライン5メートル前でラインアウト。そこからモールで押し込み、東芝のペナルティを誘う。ラインアウトを選択し、ゴールラインまであと1メートルに迫るが東芝の固いディフェンスの前にボールを取られてゴールラインを割ることができない。しかし、前半35分NECにもチャンスが訪れる。硬さがとれて動きのよくなったNECのBKは左右に大きくボールを動かし展開。マッキタイアーのキックにFB大東功一が素早く反応し、東芝ゴール前に転がったキックをキャッチし、そのままゴール左隅にトライ。ゴールは失敗したが、19-5と1トライを返す。
勢いに乗ったNECは、前半終了間際の39分にもCTB田村優が東芝ディフェンスをかわしてゲイン、マークの外れたWTBネマニ・ナドロへパスし、そのままゴール左隅にトライ。そこで前半終了。19-12と東芝リードで前半を折り返す。
後半、NECはキックオフから果敢に攻め続け、東芝ゴール前のスクラムから9番→10番→12番→11番ときれいにパスをつなぎ、トライかと思われたがスローフォワードでトライならず。しかし、勢いはとまることなく、攻撃の手を緩めないNECは、前半6分、東芝陣22メートル付近から出たボールを10番→11番→9番→2番とFW、BKが一体となりボールをつなぎ、最後はHO臼井陽亮がゴール左隅にトライ。ゴールは決まらなかったが19-17と東芝を追い詰める。
その後も、後半すっかり足が止まった東芝とは裏腹に、NECの勢いは止まらない。前半18分、NECは果敢なディフェンスから東芝のパスミスを誘い、そのパスミスをナドロがインターセプト、ハーフウェイライン近くからそのまま走りきり、ゴール左中央にトライ。キックが冴えわたる田村のゴールも決まり19-24とNECが遂に逆転する。
しかし、リーグトップを走る東芝もここで引き下がるわけにはいかない。後半27分、強力FWがモールで押し込み、NECゴール前に迫ると、NECは耐え切れずペナルティを犯してしまう。東芝はゴール前ラインアウトから再度モールで押し込み、再三ペナルティを誘うも、逆にラックでペナルティを犯してしまい、トライならず。逆転のチャンスを逃してしまう。しかし、東芝の強力FWはあきらめず再三ラックで攻め込み、NECをゴールラインに釘付けにさせる。NECゴール前でどれだけの攻撃が続いたのだろうか? ただ、今日のNECは攻め込まれても簡単にはゴールラインを割らせない。一進一退の攻防が続くが、最後はNECが耐えしのぎ、24-19で逃げ切り、王者東芝から勝利を手にした。
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和田監督(右)、豊田キャプテン
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◎東芝ブレイブルーパス
○和田賢一監督 「本日は、多くのファンの方々や会社関係を含めて来場していただき、感謝申し上げます。お互いの意地の張り合いやこだわっているところが個々に出た試合でした。今まで、過去5戦全勝のチーム、もしくは3勝2敗のチームということは関係なしに東芝対NECというのはフィジカルの部分にお互いこだわりをもっているチームです。スコア的にもあまり入らない、もっとクロスゲームになると予想はしていましたが、今一歩力が及ばなかったというのが今日の結果だと思います」
──怪我をした二人のSHの状況は? 吉田大樹選手をSHに起用した理由は?
「藤井選手は捻挫、三井選手は若干腫れが出てボールが見にくいということ。吉田大樹選手は七人制でもSHをやっています。吉田大樹選手でボールを出させ、ヒル、吉田良平、オトの各選手で、よりシンプルにいくゲームプランに変更したためです」
──ハーフタイムでの指示は?
「東芝が前半22分に三本目のトライをとった後からアタックするのもセーフティに、相手に先に仕掛けられ自分達から動いていなかったため、前半の最後、相手に二本トライを取られてしまいました。前半のスコアを忘れて0-0の気持ちで最初の10分でワントライを取りに行こうという話をしました」
──最後の局面でNECのディフェンスが激しかったが?
「FWにこだわってほしいと思っていました。SHがクリアになったボールをまずは裁こうという気持ちでボールを出していましたが、FWは立っていたので、モールや連続ピックなど他に違った方法を選択することもできたと思います。バラバラなケースがあったので意思統一する力もつけていきます」
──これで連勝が終わり、今季初黒星となったが?
「勝つプランを立てて選手を送り出していますが、勝負事なので負けはあることを再認識させられました。まだまだトップリーグは始まったばかりなので、良いところは積み上げ、悪いところは修正し、気持ちを切り替えて次のヤマハ戦に臨みます」
○豊田真人キャプテン 「本日は2011年の最後のホームゲームということで、たくさんのファンの皆様にお越し頂き本当にありがとうございました。試合内容は、ケガ人等のアクシデントに対して東芝が最後まで我慢できなかったことで最後5点差をつけられたと思っています。NECさんは激しく、いいラグビーをされていましたので、またチャンスがあればチャレンジしたいです」
──終盤、東芝の強味である密集戦で攻めていたときの感触は?
「SHが二人と、ヒルも怪我したので、そのときの東芝の武器はFWしかない、ここでトライを取れなかったらとの思いで最後戦っていました。多少あせりもあったと思いますが、最後の一本が取れなかったことを反省し、まだまだ力が足りないことを実感しています」
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岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン
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◎NECグリーンロケッツ
○岡村 要ヘッドコーチ 「素晴らしい環境とサポーター、素晴らしい対戦相手の東芝さん、素晴らしいNECのプレイヤーによっていいゲームができました。今日の頑張りは、選手・リザーブを含めて22名とノンメンバー全員がこの一週間、バトルだというキーワードで、コンタクトエリアとハートの準備をしっかりやってきたことによるものだと思います。最後の15分はペナルティもほぼなく、ハートでしっかり相手の攻撃を止めて、これぞNECのラグビーを見せてくれました。選手に感謝し、チームと選手達を誇りに思っています」
──久し振りの東芝戦勝利についての感想は? ハーフタイムの指示は?
「何年ぶりの勝利かということは意識していませんでした。今シーズン全ての試合に5ポイントを取っている王者東芝と言われているチームと、その強味であるコンタクトエリアに対し、NECのプレイヤーが真っ向から戦ってくれたことを嬉しく思います。ハーフタイムの指示は、最初の20分は相当気合が相当入っていた分、ストラクチャーが少しずれて19点取られてしまいました。心臓部のコンタクトエリアで頑張って、NECのラグビーであるボールをキープして繋ぎ通そうと指示しました」
──コンタクトへのこだわりとその準備についてもう少し詳しく。
「東芝さんは、真っ向勝負で対戦相手にかかわらず自分達のラグビーを変えません。順目や近場を攻めてくる東芝さんのアッタク対策用として、FWコーチ陣がコンタクトのスペシャルな練習を今週行いました。それをラスト15分やり続けてくれた選手達は素晴らしく、コーチ・スタッフ陣にも感謝しています」
──決勝トライになった、ナドロ選手のパスカットによるトライについては?
「良い具合にころがってくれました。彼のハンドリングスキルは素晴らしい。一歩間違えば逆に東芝のスコアになる可能性もありましたが、そこをしっかり考えてのプレイであったと思います」
──ナドロ選手は交替せず、80分間プレイを続けたが?
「東芝さんは、前半からナドロ側のラインにディフェンスが集まる傾向があったのでナドロの逆側を攻めるよう指示していました。彼がグランドに立ち続けることでいろいろなスペースができると思い、グランドに立たせ続けました。彼の存在は大きいです」
──ナドロ選手のキャラクターは?
「今日のウォーミングアップでも力強いコメントを発したり、プレイばかりではなくメンタル面でも良い影響を与えています。最後には彼がいるということで頑張りがいがあり、そこまで頑張ってボールをキープしようという目標があります」
──強いですね、チームは。
「若い選手も多いので勝利がチームに勢いと成長を与えてくれています。それを引っ張っているのがニリや浅野などのベテラン選手で、今は若手とベテランがいいバランスで来ていると思います」
──後半早い時間にSOキャメロン・マッキンタイアー選手を下げたのはゲームプランとしてあったのでしょうか?
「東芝さんのブリュー選手が出てくるのはわかっていました。NECもアタックに自信を持っていましたので、自分達がボールをキープして東芝さんの強味のアッタクをさせないため攻撃的なアンソニー・ツイタヴァキ選手を入れて、もっと突き放そうというイメージでした」
○ニリ・ラトゥ キャプテン
「今日はラグビーには寒い日でしたが、勝つためには80分間かかるということはわかっていましたが、選手全員の頑張りに感心しました。今シーズンのスローガンのビッグハートを80分間通して選手皆が見せてくれました。一時19点差と開いてしまったがそこから盛り返していったことは素晴らしいことです。今までのハードワークでNECはこれからトップリーグを優勝に向けて駆け上がっていきます。最後の試合終了までディフェンスでの勇気をしっかり見せました。今日の試合で得た自信をしっかり積み上げて、課題を修正して進んでいきたいと思います」
──前半失点が重なった時、キャプテンとしての選手達への思いは?
「選手達はメンタル的にタフになっています。トップチームの東芝さんに最初の20分で3本素早いトライをとられましたが、パニックにならないよう選手達に伝えていました。自分達のシステムとディフェンスに自信を持ち、東芝さんをしっかり止めることができれば勝利できると信じていました」
──相手に攻められていた後半30分頃、ペナルティを取られた時のレフリーから指示されたことと、選手達に伝えたことは?
「レフリーからはペナルティの繰り返しについて選手達に注意をするよう指示されました。選手達には、規律の必要性だけでなく、今までのアグレシブさをなくさないことも伝えました」
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