1節 マッチサマリー(リコー 36-26 福岡サニックス)

リコーブラックラムズ 36-26 福岡サニックスブルース
【week1/2011年10月29日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

リコー 36-26 福岡サニックス   リコー 36-26 福岡サニックス   リコー 36-26 福岡サニックス
今年のトップリーグ初戦。リコーがサニックスに走り勝ち、いいスタートを切る

ニュージーランドでのワールドカップ決勝での激しい試合の興奮から、まだ1週間しか経っていない10月最終週、2011年度のトップリーグが始まった。今年のトップリーグの各チームにはワールドカップの決勝トーナメントで活躍した国の選手が何人も移籍してくるので、多くの世界トップレベルのプレーヤーを日本で見られるのが楽しみだ。
秩父宮ラグビー場での初戦は、リコー対サニックス。両チームとも80分間、走り切るラグビーを目指している同じようなタイプのチーム同士となった。

キックオフ直後から、サニックスが大きくバックスにボールを展開して、ゴール前に迫るが、リコーは堅いディフェンスで、これを防ぐ。今度は、リコーバックスが敵陣深くまで攻める。予想通りの試合展開となった。
9分にサニックスFB田代がPGを失敗したが、そのすぐ後の22mライン上のスクラムからサニックスバックスが左右に広く展開し、最後はよくフォローしてCTBイオアネからボールをもらったPR杉浦がトライ(ゴール成功、0-7)、サニックスが最初の得点を取った。しかし、リコーも全く、走り負けていない。15分にはリコーがラインアウトから10次にも亘る攻撃でゴール前まで攻め込み、サニックスのペナルティを誘ったところで、LOカウヘンガがPKからクイックアタックでインゴールに持ち込み(ゴール成功)、7-7と同点にした。

その後、サニックスがPGを決められず、勝ち越せないのに対し、リコーは23分に、SOエリソンがラックサイドを抜け、そのままトライ(ゴール成功、14-7)、さらに、28分にはWTBキニキニラウのライン際の快走から、これにフォローしたFB河野が連続トライ(ゴール成功、21-7)と、リコーが、前半で、勝敗を決めそうな勢いとなった。リコーは、さらに38分にも、FW・バックスとボールをよく連続してつなぎ、最後はWTB小松の外側についていたLOカウヘンガがこの日2つ目のトライをとり(ゴール成功)、28-7とリードを広げ、ハーフタイムとなった。

21点差のビハインドを負ったサニックスだが、決して試合をあきらめず、後半にはディフェンスを修正し、チームの持ち味であるフィフティーンが走り回るラグビーが戻ってきた。
後半11分には、FBアヒオのグラバーキックからSO田代がトライ(ゴール成功、28-14)。
後半3分から切り札として投入したWTBヘスケスの走りはトライにこそつながらなかったが、サニックスは良くボールを回すようになり、ゴール前に攻め込むシーンが多くなった。16分にはFBアヒオがチェンジ・オブ・ペースで3人をかわしてトライ(ゴール成功、28-21)、24分にはCTB小野がうまいステップで抜けて、PR杉浦がトライと、リコーの得点に迫ったが、そのコンバージョンがゴールポストに当たり、あと2点が追い付かない(28-26)。

2点差で残り15分と、勝負がどちらに転がるかわからない展開となったが、リコーが28分にPGを決め(31-26)、31分にはLOカウヘンガがPKのクイックアタックから抜けて、ゴール前に攻め込み、最後はSOエリソンがトライ(ゴール不成功、36-26)を決め、リコーが逃げ切り、初戦での勝利のシーズンスタートとした。

両チームとも、積極的にボールを動かし、反則も少なく、この日の天気のように気持ちのいい試合だった。この日、勝利したリコーは、11月にはオールブラックスのCTBノヌーも合流し、この日のプレーは後半の14分間ほどしかなかったイングランドのNo.8ハスケルもチームに馴染んでくると、今年は、トップリーグの上位4チームをも脅かす面白い存在になりそうで楽しみだ。(正野雄一郎)

会見ダイジェスト
福岡サニックスブルース
藤井部長兼監督(右)、永下キャプテン
藤井部長兼監督(右)、永下キャプテン


◎福岡サニックスブルース
○藤井雄一郎監督
「前半、ちょっと獲られ過ぎました。相手の外国人選手が良いプレーをして止められませんでした。まだ、始まったばかりですので、これから頑張っていきたいと思います」

──後半、よく上回ったが?
「前半に簡単にゲインできたので、選手も行けると思ったのではないでしょうか。陣地を取れるところも無理に回して、相手のディフェンスにつかまっていたところもありました。後半はフィットネスで上回って、相手の足が止まっていたので、前半と後半が逆であればとも思います」

──プレースキックがもう一つだが?
「去年もキックには泣かされたところですが、田代は練習でも飛距離が出ていましたし、蹴ったポイントも今日は少し難しい位置でした。来週も田代で行きます」

──後半、ペナルティから攻めてターンオーバーされたところは?
「たらればの話になりますが、トライを獲りたかったのだと思います。できれば狙ってほしかったですが」

──スクラムの出来は?
「リコーさんはスクラムがかなり強いチームですが、ボールは真っ直ぐ出ていましたし、モールからトライもされなかったので、その部分は良しとしたいと思います」

──ディフェンスの修正点は?
「結構、相手の外国人選手にパンチのある選手が多く、ゲインされたのが大きかったので、選手も踏ん張ったのですが、その部分になります」

○永下安武キャプテン
「良いところもありましたが、悪いところもあった試合でした。間が1週間しかないので、悪かったところを修正して、来週頑張りたいと思います」

──後半、よく上回ったが?
「前半はミスで相手にトライを獲られたところがありました。後半はいつものペースでプレーできて上回れたと思います」

──スクラムの出来は?
「スクラムを組んだ感じは良かったです。やってきたことを出せました。モールも良かったと思います」

──ディフェンスの修正点は?
「コミュニケーションの点でズレがありましたが、試合中に修正できなかったので、そこを直していきたいと思います」

リコー 36-26 福岡サニックス   リコー 36-26 福岡サニックス   リコー 36-26 福岡サニックス   リコー 36-26 福岡サニックス   リコー 36-26 福岡サニックス
リコーブラックラムズ
山品監督(右)、高橋バイスキャプテン
山品監督(右)、高橋バイスキャプテン


◎リコーブラックラムズ
○山品博嗣監督
「まず初めに、大勢のファンの皆様とリコーの社員に応援ありがとうとお伝えしたいと思います。オープニングゲームということで、それに相応しい試合をしたいと、勝ち負けもありますが、内容も良い試合にしたいと臨みました。おそらく、両チームともペナルティは10を切っていると思いますが、良い戦いができたと思います」

──サニックスのペースになった場面は?
「キックの使い方で、前半はゲームを切りたかったところで実行できませんでした。ブレイクダウンでも、もう少しプレッシャーをかけなければならないところをかけられず、ワイドへのディフェンスももう少しできたのではと思います。
しかし、慌てず、しっかり自分たちのディフェンスをすることはできました」

──ヘスケス選手への対応は?
「特別に深い意味はありません。ラグビーは22人で戦うものですから。ヘスケス選手対応ではなく、こちらの選手の疲労を見ながら選手を入れ替えました」

──ノヌー選手は?
「まだ来日していませんが、あれだけの選手なら2、3日合わせればできると思います。すぐに練習に参加させます。大きな目標を達成したメンタルの面、そのあとの過ごし方も見ながら決めます。彼以外にもうちには良い選手がいますので、相手も見ながら決めていきます」

──エリソン選手への評価は?
「今日の試合では良いラグビーをしてくれましたが、相手のプレーによっても違います。今季やろうとしているアタックとは違いましたが、良くやってくれました」

──監督として初勝利だが?
「それはやっぱり、試合前からいろいろな思いがありましたが、私個人ではなく、3週間続くホームのチームとして良いスタートが切れたことが良かったと思います」

○高橋英明バイスキャプテン
「震災もあった中で、試合ができることをありがたく感じて臨みました。試合はサニックスさんのプレースタイルに、リコーがどうゲインしていくかを練習してきました。良いテンポにされて、タックルミスも出てしまい、もう少しで逆転されるところまでいきましたが、リコーは一丸となって対抗してディフェンスできたのが勝ちにつながったと思います」

──サニックスのペースになった場面は?
「前半は相手に振られることなくディフェンスできましたが、後半はタックルミスがあり、ペナルティも増え、うちのディフェンスがガタガタになり、サニックスさんのテンポにさせてしまいました」

リコー 36-26 福岡サニックス
SHAKE HANDSの様子
リコー 36-26 福岡サニックス
SHAKE HANDSは今年も大盛況
リコー 36-26 福岡サニックス
ラガールブース登場!

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