シーズン開幕特別インタビュー<前編> 薫田強化委員長に聞く「トップリーグと日本代表強化の連動性」
最大限の努力をしていただき、素晴らしいスケジュールになった
8月31日に開幕したジャパンラグビー トップリーグ2018-2019。
今季は1年後に控えるラグビーワールドカップ2019に向けた日本代表強化を最優先に考え、変則的なスケジュールでの開催となるが、実際のところ日本代表強化サイドとしてはトップリーグの現状をどう見ているのか。
トップリーグと運命共同体とも言える日本代表強化の最高責任者である薫田真広・男子15人制日本代表強化委員長を迎えた。
(聞き手・構成 出村謙知)
──地元開催のラグビーワールドカップ(RWC)前のラストシーズンとなるトップリーグが開幕しました。今シーズンは1年後に控えるRWC2019をにらみ、変則的なスケジュールでの開催となります。レギュラーシーズンが短くなるのは、当然、日本代表の強化スケジュールと関係しているようにも思います。
薫田「特に選手のウェルフェアという観点から、スケジュールを検討していただきました。トップリーグ各チームとの協力という意味では、最大限の努力をしていただき、大変素晴らしいスケジュールになったと感じています。
RWC2019で日本代表が結果を残すことに主眼が置かれたストラクチャーの変更であり、日本人選手の育成にもつながるものだと考えています」
──RWC2019を強く意識したかたちでの開催となる今季のトップリーグ。各チームにはどんなパフォーマンスを期待しますか。
薫田「日本代表強化を考えた時、直接的な日本代表スケジュール以外の部分ではトップリーグとサンウルブズが2本の柱です。代表選手たちはサンウルブズを通してスーパーラグビーを経験していることもあり、トップリーグでも世界基準のゲーム展開を期待したいですね」
──今季のレギュラーシーズンはリーグ戦が7節と順位決定トーナメントが3節の短期決戦となります。
薫田「1試合の価値、1勝、1敗の重みがいままでとは違ってきます。各チームともにピーキングを開幕に合わせてきている。当然ですが、最初の3節の入り方がものすごく大事になるはずです」
──新たにカップ戦(仮称)も設けられることになりました。※以下カップ戦
薫田「トップリーグサイドからの意向は最低でも年間15試合は行いたいというものでした。我々も各チームを回りましたし、日本ラグビーフットボール協会幹部、トップリーグ委員会が各チームとの連携をはかる中で、チームサイドは最低でも15試合はトップリーグで戦いたいという意向が強かった。その結果、カップ戦の創設につながったわけです」
トレーニングスコッド外の選手にはカップ戦がアピールの場に
──11月にプール戦、来年1月に順位決定トーナメントが行われるカップ戦は、代表選手抜きで行われることになります。
薫田「8月29日に第二次ラグビーワールドカップトレーニングスコッドを発表しましたが、今後トップリーグでのパフォーマンスを見ながら入れ替えということも当然考えられる。トレーニングスコッドに入っていない選手に関しても、カップ戦でのパフォーマンス次第では、当然チャンスは出てくる。
さらに、レギュラーシーズンとは違って、外国人選手の出場枠制限がない。例えばフランスのトップ14のように、外国人のマーキープレーヤー(他国代表歴があるなど知名度、人気のある選手)が多く出場することにより、ゲームの質が上がることも想定されます。そういう世界基準のプレーが行われる中で日本人選手たちがどういうプレーをしていくのか、そこを見ていくことになる。
レギュラーシーズン同様に質の高いプレーを見ることができるのではないでしょうか」
──レギュラーシーズン最終節(10月20日)はウィンドウマンスに向けたプロテクト節になる。
薫田「そうですね」
──プロテクトがかかる日本代表候補選手たちにとっては、今季のトップリーグは最大でレギュラーシーズンのリーグ戦が6節+順位決定トーナメント3節の計9節プレーできる。この9試合という数字に関しては、どう考えていらっしゃいますか?
薫田「スーパーラグビーはフルに出て16試合。日本代表の試合は11月、そして6月のテストマッチが計7試合ほどになる予定です。ということは、日本代表戦、スーパーラグビー、トップリーグ、マックスで出たとして32試合。それは限界の数字かなと考えています。ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチがサンウルブズのヘッドコーチも兼任するようになっていますので、代表選手たちの試合数は主にサンウルブズで調整していくことになると思います。
その一方で、スーパーラグビーのシーズンが終わった後、トップリーグ各チームのみなさんが、選手のレストという面でとても素晴らしい協力態勢をとってくれたこともあって、選手の方からは開幕前にとてもいいリカバリーができたという声が聞こえてきています。
RWC2019前の最後のシーズン。開幕時点では、いいアライメントができているなという感触でいます」
※以下、後編に続く。