トップリーグ 2018-2019 weekly preview:開幕節<前編>
秩父宮はキヤノン-東芝、町田では日野が宗像サニックス相手に初陣
大阪ではパナソニック-クボタ、神戸製鋼は地元で因縁NTTコム戦
Text by Kenji Demura
地元開催ラグビーワールドカップ(RWC)前、最後のトップリーグのキックオフが迫ってきた。
ジャパンラグビー トップリーグ 2018 – 2019は8月31日、9月1日の両日それぞれ4試合ずつで新シーズンをスタートさせる。
「過去15年と比べても、これ以上重要なシーズンはない」
開幕前の恒例イベントであるプレスカンファレンスにおいて髙島正之チェアマンがそう語ったとおり、1年後にビッグイベントを控える日本ラグビー界にとっては、まさに命運を握ると言っていい戦いの火ぶたが切って落とされることになる。
今季はRWC2019に向けて日本代表強化に全面的に協力するため、レギュラーシーズンのリーグ戦が7節(+順位決定戦3節、さらにカップ戦のプール3節と同順位決定戦2節も)という短期決戦。
それだけに、「各チームが開幕をターゲットにしてくる。第1節でどういう内容の試合ができるかがものすごく大切になってくる」(太田治・日本ラグビーフットボール協会トップリーグ部 部長)のも確かだろう。
まずは、東京で2試合、関西で2試合が予定されているフライデーナイター4試合(いずれも19:30キックオフ)の見どころから紹介していこう。
8月31日に組まれているのは、キヤノンイーグルス対東芝ブレイブルーパス(東京・秩父宮ラグビー場)、日野レッドドルフィンズ対宗像サニックスブルース(東京・町田市立野津田公園陸上競技場)、パナソニック ワイルドナイツ対クボタスピアーズ(大阪・キンチョウスタジアム)、神戸製鋼コベルコスティーラーズ対NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場)。
秩父宮で行われるキヤノン-東芝はともに昨季は不本意な前半戦を過ごした同士の対戦(キヤノンは開幕から5連敗。東芝は開幕戦勝利の後4連敗)。
当然ながら今年こそスタートダッシュに成功して、そのまま勢いに乗りたいところだ。
日本代表の司令塔でもあるキヤノンSO田村優と、東芝に新加入したニュージーランド出身で元豪州代表でもあるマイク・ハリスがどんなゲームメイクを見せるか、キヤノンWTB三島藍伴、東芝WTBジョネ・ナイカブラという新鋭スピードスター対決も注目される。
もちろん、瀬川智広監督の下、「スタンディングラグビー」にこだわり続ける東芝、そして、前・南アフリカ代表監督であるアリスター・クッツェーを新ヘッドコーチに迎え、ふたりの共同主将のいずれをもFWプレーヤー(FL嶋田直人、HO庭井祐輔)にしたキヤノンのどちらがFW戦で優位に立てるかも勝敗を分ける鍵となりそうだ。
多摩地区・町田には“地元”日野が登場。記念すべきトップリーグ初戦で宗像サニックスを迎える。
「最初から自信を持って戦う。ベスト8入りを狙う」と堂々宣言するLO村田毅主将をはじめ、初昇格とはいえメンバーには元トップリーガーたちがズラりと並び、経験値ではひけをとらない。
「春からアタックにフォーカスしてきた。速いラグビーを目指す」(藤井雄一郎監督)
原点回帰ともいえる超アタッキングラグビーで浮上を狙う宗像サニックスがどんな洗礼を浴びせるのか。
激しい試合になりそうだ。
限りなくジャパンに等しいパナソニック純和製BK陣
カーター欠場もエリス-パーカーのハーフ団は必見
3シーズンぶりのトップリーグ制覇を目指すパナソニックは大阪でのクボタ戦で開幕。
「もう一度、チームメイトとコネクトする。毎試合、気持ちをつくって、挑んでいく」
FL布巻峻介主将は王者奪還のポイントをそう語るが、これまでシーズン終盤にチーム力が上がっていく傾向も見られたチームが短期決戦シーズンの開幕戦でどんな戦いぶりを見せるのか。
先のウェスタンフォース戦でSOベリック・バーンズが負傷したこともあって日本人を並べたBK陣(FB森谷圭介以外は代表キャップホルダー)となるが、ファンとしては1年後のRWCに思いを馳せらせるであろう試合ともなる。
「クボタがパナに勝てば、リーグが盛り上がる。常にプレッシャーを与えて、いい試合をして勝ちたい」(SO立川理道主将)
もちろん、クボタとしても、いきなりのジャイアントキリングを成し遂げて、勢いに乗りたいところ。サンウルブズでの活躍ぶりでもお馴染みのピーター・ラピース・ラブスカフニ、大黒柱の立川主将がキーマンに挙げる2年目の末永健雄、新加入の南アフリカ代表(40キャップ!)ドウェイン・フェルミューレンと並ぶ強力FW第3列のハードワークもアップセットのためには欠かせない。
神戸では、注目の神戸製鋼SOダン・カーターはメンバー外だが、SHアンドリュー・エリス共同主将と新加入SOヘイデン・パーカーというNZハーフ団コンビのプレーぶりは当然見逃せない。
さらに、HO有田隆平、WTB児玉健太郎の実績十分の移籍組もいきなり先発メンバー入り。
ウェイン・スミス総監督の下、新生スティーラーズを印象づけるパフォーマンスを地元ファンの前で見せる事ができるか、注目度は高い。
「日本一」(FL金正奎主将)を目指すNTTコムとしても、神戸製鋼戦は絶対に落とせない試合となる。
こちらも、RWC2019に向けた日本代表トレーニングスコッドに名を連ねてもいる、移籍組のWTB石井魁がいきなり先発メンバー入り。
昨季は28-28で引き分けている両者。開幕戦をものにした方が一気に波に乗っていきそうだ。