トップリーグ 2017-2018 weekly preview:開幕節編<前編>

text by Kenji Demura

豊田ではFB五郎丸のTL復帰が見られるか?
開幕金曜ナイトは東京、大阪、愛知で5試合

18日、ジャパンラグビー トップリーグ2017−2018が開幕する。

16チームを「レッド」、「ホワイト」の2つのカンファレンスに分け、カンファレンス内での総当たり戦(各チーム7試合)に加えて、異なるカンファレンスのチームともそれぞれ6試合の交流戦を行い計13節のレギュラーシーズを消化した後、2節の順位決定トーナメントが行われる予定の今季のトップリーグ。

最終的には、総合順位決定トーナメント(1〜4位)を経て優勝チームが決まることになるが、日本選手権も兼ねる同トーナメントに進出できる各カンファレンス2位以内に入ることを目指して、暑さに負けない熱い戦いの火蓋が切って落とされる。

開幕プレビューとして、前編、後編の2回にわたって、第1節の見どころを対戦カードごとに紹介。まずは開幕日に金曜ナイターで行われる5試合を──。

▲昨季はサントリーがトップリーグと日本選手権の2冠達成。今季はどんなドラマが待ち受けているのか photo by Kenji Demura

▲昨季はサントリーがトップリーグと日本選手権の2冠達成。今季はどんなドラマが待ち受けているのか
photo by Kenji Demura

<リコーブラックラムズ(ホワイト)−NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(レッド)=18日17:00、東京・秩父宮ラグビー場>

東京・秩父宮ラグビー場の開幕ゲームでは、共に過去最高位となるなど、昨シーズン大きなインパクトを残したチーム同士が対戦する。
前年の入替戦回り(リーグ戦13位)から昨季の6位へ大きく飛躍したリコーは、元々BK陣には決定力のある選手が多く定評のあった攻撃力に加えて、チームDFとディシプリンの意識が根付いたことで粘り強く戦える集団となった。夏合宿期間中に網走で行われたサントリーとの練習試合でも、残り5分まで26—26で同点(最終スコアは26—33 )という互角の戦いぶりを見せるなど、チーム力の上乗せはできている印象だ。

▲日本代表、サンウルブズでの経験を積んだNTTコムSO小倉はゲームメイカーとして成長をした姿を見せられるか photo by Kenji Demura

▲日本代表、サンウルブズでの経験を積んだNTTコムSO小倉はゲームメイカーとして成長をした姿を見せられるか
photo by Kenji Demura

昨季5位のNTTコムは金正奎主将、ヴィリー・ブリッツ、アマナキ・レレィ・マフィ、ラーボニ・ウォーレンボスアヤコのFW第3列陣、そして小倉順平、エルトン・ヤンチースのSO勢と、今季のスーパーラグビーで活躍したメンバーも多く、こちらもチーム力はアップしている。
リコーのFL/NO8松橋周平、SOタマティ・エリソンが、彼らとどうマッチアップするかにも注目だ。

<キヤノンイーグルス(ホワイト)−サントリーサンゴリアス(レッド)=18日19:30、東京・秩父宮ラグビー場>

連覇を目指すサントリーには豪州代表103キャップを誇るCTBマット・ギタウ、大学ラグビー界のスピードスターWTB松井千士、同・成田秀平と、BK陣にビッグネームが新加入。
単純にBKの結定力という意味では、昨季を上回るポテンシャルを持つようになっているのは間違いないだろう。

▲サントリーに新加入した豪州代表103キャップを誇るSO/CTBギタウとWTB松井(左) photo by Kenji Demura

▲サントリーに新加入した豪州代表103キャップを誇るSO/CTBギタウとWTB松井(左)
photo by Kenji Demura

ギタウに関しては沢木敬介監督が「コミュニケーション能力が高く、トレーニング、ラグビーに対する態度も素晴らしいし、チームにプラス」と語るアティテュードの部分でもチャンピオンチームにいい刺激を与えてくれる存在になっている。
一方、キヤノンにも日本代表SO田村優がNECから移籍。世界最高峰を知る男たちがBK陣をどうリードしていくのか、興味深い対戦となる。

共に、就任2年目となるサントリーSH流大、HO庭井祐輔の両主将はサンウルブズ、日本代表の活動を通して大きな成長を見せていたが、キヤノンにとっては庭井主将がスーパーラグビー最終節で負傷した影響がどう出るのか気になるところ。
NO8アダム・トムソン、LO宇佐美和彦など、FWの核となっていたプレーヤーがチームを去ったキヤノンだけに、パナソニックから移籍のHO設楽哲也、サンウルブズで主将を務めたFLエドワード・カークといった新加入FW陣の仕事ぶりも鍵を握る。
開幕直前にグラント・バシュフォードHC が辞任した混乱をチーム一丸となって乗り切るメンタルタフネスも試されるシーズンとなる。

<トヨタ自動車ヴェルブリッツ(レッド)−ヤマハ発動機ジュビロ(ホワイト)=18日18:00愛知・豊田スタジアム>

昨季8位に沈んだトヨタ自動車がホームに同・準優勝のヤマハ発動機を迎える。
2012-13シーズン以降5、6位が続き、4強へあと一歩だったポジションから後退したこともあって、今季のトヨタ自動車は大胆なチーム改革を断行。2007年ラグビーワールドカップで南アフリカを優勝に導いたジェイク・ホワイトHCを迎え、主将には新人のNo.8姫野和樹を指名した。
「トヨタの一番の良さは攻守に前に出る部分」と語る新指揮官に導かれる新生・トヨタ自動車にとって、セットプレー、ブレイクダウンなどコンタクトエリアでの強さを誇るヤマハ発動機との初戦は今季の浮沈を占うと言ってもいい重要な意味を持つ。
対するヤマハ発動機は、PR山本幸輝、同・伊藤平一郎、HO日野剛志、LO/FLヘル ウヴェ、LO大戸裕矢といったFWの核となる選手が日本代表やサンウルブズでプレーの幅を広げたことに加えて、大黒柱FB五郎丸歩の復帰も、悲願のTL制覇にたどり着くための大きなプラス材料であることは確か。
ラグビーの醍醐味でもある極上のフィジカルバトルが堪能できる一戦となりそうだ。

▲トヨタ自動車の新戦力、元南アフリカ代表WTB/FBアプロン。瞬間的なスピードでトライを重ねそうだ photo by Kenji Demura

▲トヨタ自動車の新戦力、元南アフリカ代表WTB/FBアプロン。瞬間的なスピードでトライを重ねそうだ
photo by Kenji Demura

長居にはいきなり関西3チームが集結

<神戸製鋼コベルコスティーラーズ(レッド)−NTTドコモレッドハリケーンズ(レッド)=18日17:00、大阪・ヤンマースタジアム長居>

関西での開幕ゲームは昨季4位の神戸製鋼と2年ぶりのトップリーグ復帰を果たしたNTTドコモの阪神ダービー。
長年、屋台骨を支えてきたPR山内雅延、FL鈴木敬弘、WTB濱島悠輔、同・中濱寛造、FB田邊秀樹、CTBジャック・フーリーなど多くの退部選手が出た神戸製鋼だが、その一方で、日本代表キャップホルダーPR渡邉隆之、キヤノンからLO芦谷勇帆、CTB重一生、WTB森田慎也、そして豪州代表116キャップを誇るWTBアダム・アシュリークーパーと、楽しみな新戦力も加入。夏合宿では結果が伴わない面もあったが、昨季を上回る成績を残してもおかしくないだけの戦力を抱えているのは確か。
「去年から取り組んできたアタッキングラグビーをもう一段上にしていきたい」とFL前川鐘平新主将は抱負を語る。

就任1年目の昨季、重圧をはね除けてNTTドコモのTL復帰に成功したダヴィー・セロンHCは南アフリカ出身。お馴染みのFLハインリッヒ・ブルソー、FBリアン・フィルヨーンなど計6人に上る南アフリカ出身選手たちの実力の引き出し方という意味でもその手腕が注目される。2011-12、2015-16と、過去の対戦で神戸製鋼を破っているだけに、相性の良さを生かして復帰初戦を勝利で飾り、勢いに乗りたいところだ。

▲今季からFL前川主将がチームを引っ張る神戸製鋼。NTTドコモとの阪神ダービーを制して勢いに乗れるか photo by Kenji Demura

▲今季からFL前川主将がチームを引っ張る神戸製鋼。NTTドコモとの阪神ダービーを制して勢いに乗れるか
photo by Kenji Demura

<近鉄ライナーズ(レッド)−豊田自動織機シャトルズ(ホワイト)=18日19:30、大阪・ヤンマースタジアム長居>

昨季は第6節のトヨタ自動車戦から14節のヤマハ発動機戦まで9連敗するなど過去最低の13位に沈み、入替戦を経て残留を決めた近鉄。一方の豊田自動織機もリーグ戦15位→入替戦勝利で何とか踏みとどまった。

両チームともに不振脱却を目指すシーズンとなるだけに、メンバーの入れ替えも積極的に行っている。近鉄はPR田邊篤、FL大隈隆明、NO8ラトゥイラ レプハ、FB高忠伸などがチームを去る一方、ハリケーンズや7人制NZ代表の経験を持つFLイオブ・イオブアソ、昨季はサントリーでプレーしたNO8ソロモン・ティーポレのFW第3列や、WTBセミシ・マシレワ(フォース)、FBルアン・コンブリンク(ライオンズ)というスーパーラグビー組のバックスリーなど、いずれも伸び盛りの外国人選手が新加入。
一方の豊田自動織機には川俣直樹(パナソニック)、平原大敬(コカ・コーラ)という実績十分のベテランPRが加わり、セットプレーの強化が図られている他、LOケイデン・ネヴィル(レベルズ、レッズ)、SOフランソワ・ブランマー(ブルズ)など、要所にベテラン外国人選手を補強して安定した試合運びを目指す。

後編では、土日に開催予定の3試合にスポットを当てる。

▲昨季は入替戦を経て残留を決めた豊田自動織機。プレーイングコーチFBジェラードも当然キーマンのひとり photo by Kenji Demura

▲昨季は入替戦を経て残留を決めた豊田自動織機。プレーイングコーチFBジェラードも当然キーマンのひとり
photo by Kenji Demura

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