トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第9節編

ヤマハ発動機、サントリーの9連勝なるか
神戸製鋼、宗像サニックスは秩父宮に登場

text by Kenji Demura

ウィンドウマンス。
ラグビーでは、11月と6月は代表のテストマッチを優先する期間として位置付けられている。

そのため、トップリーグも11月は休止期間となり、その間に日本代表は11月5日に東京・秩父宮ラグビー場でアルゼンチン代表と戦った後、欧州遠征を敢行する(ジョージア、ウェールズ、フランス=フィジー戦)。

ということで、10月29、30日に予定されている第9節は、1ヶ月の休止期間前最後の1節。当然、各チームにとっては、積み上げてきたチーム力の全てを出し切る一戦となり、全国各地で熱い戦いが期待できそうだ。

関東圏初お目見えの宗像サニックス。シャープな走りでゲインを稼ぐFBタウランギなど魅力的なランナーが揃う photo by Kenji Demura

関東圏初お目見えの宗像サニックス。シャープな走りでゲインを稼ぐFBタウランギなど魅力的なランナーが揃う
photo by Kenji Demura

現在、8戦8勝のヤマハ発動機ジュビロとサントリーサンゴリアス。
前節の試合内容では、やや明暗を分けた。

NTTコミュニケーションズシャイニングアークスと対戦したヤマハ発動機は後半のスコアでは下回るなど苦戦。強固なDF力で前半のリードを守り切ったものの、最後は4点差にまで迫られ、開幕戦以来となるボーナスポイントなしでの勝利となった(最終スコアは21—17)。

一方のサントリーは豊田自動織機シャトルズに対して、前半を4点リードで折り返す接戦に持ち込まれたものの、後半は一方的に攻めて5トライを重ね、52—15で圧勝。
こちらは3試合連続となるボーナスポイントを伴う勝利でヤマハ発動機との勝ち点差を「1」に縮めた。

そんな両雄は今節、ヤマハ発動機が福岡・レベルファイブスタジアムでコカ・コーラレッドスパークス(29日13:00)、サントリーは東京・駒沢陸上競技場でクボタスピアーズ(30日13:00)と、それぞれ対戦する。

地元福岡に首位のヤマハ発動機を迎えるコカ・コーラ。ミスをなくして、チャンスを確実にものにしたい photo by Kenji Demura

地元福岡に首位のヤマハ発動機を迎えるコカ・コーラ。ミスをなくして、チャンスを確実にものにしたい
photo by Kenji Demura

ヤマハ発動機としては、NTTコム戦では圧倒しきれない印象もあったスクラムからのアタックをどう再構築していくかが、コカ・コーラ戦のみならず、ウィンドウマンス明けの後半戦でも快進撃を続けていくためのポイントか。

前節のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦で3—57という大敗を喫したコカ・コーラは「単純なミスが多発すると自分たちのペースがつかめない」(臼井章広監督)と、ベーシックスキルのスタンダードを引き上げて金星を狙う。

好調サントリーと対戦するクボタは、第7節では宗像サニックスブルースに28—27で競り勝ち、前節はNECグリーンロケッツと引き分け(15—15)。
「ブレイクダウンのターンオーバーで相手のアタックをつぶしたり、DFは良くなっている」(SO立川理道主将)と、クボタらしいプレーが随所に見られるようになっているのは確か。
まずは守りで粘って、サントリーのアタックを分断し、課題の「組織だったアタック」(同主将)を機能させて、ひと泡吹かせたい。

地元で100トライ達成? パナソニックWTB北川

全勝の2チームを1敗で追う神戸製鋼コベルコスティーラーズは今季初となる関東圏での試合でNECと対戦する(東京・秩父宮ラグビー場=29日14:00)。
後半戦も関西、九州圏以外では神戸製鋼の試合は予定されておらず、東日本のファンにとつては、今季ニュースタイルと言ってもいいアタッキングラグビーで全勝組を追走するスティーラーズをこの目で確認する絶好のチャンス。
10月20日に“ミスターラグビー”こと、平尾誠二ゼネラルマネージャーが逝去したこともあり、神戸製鋼にとっては負けられない試合が続く。

チームを支え続けた平尾GMの熱意に応えるため負けられない神戸製鋼は今季唯一の東京での試合を迎える photo by Kenji Demura

チームを支え続けた平尾GMの熱意に応えるため負けられない神戸製鋼は今季唯一の東京での試合を迎える
photo by Kenji Demura

前節でクボタと15—15というタイトな試合を経験したNECも「DFがよかった」(ピーター・ラッセルHC)と、持ち前の堅守を取り戻しているだけに、何とかロースコアの戦いに持ち込んで、10年ぶりとなる神戸製鋼戦勝利を狙いたい。

また、同日の東京・秩父宮での第1試合(11:30)でキヤノンイーグルスと対戦する宗像サニックスブルースも、今季の東京での試合は今回と年明けの第14節のみ。
第6、7節とサントリー、クボタに対して連敗したが、前節ではBK陣のカウンター攻撃が光って、近鉄に競り勝ち5勝目を挙げるなど、独特のアタッキングラグビーでトップリーグを盛り上げている宗像サニックスがいま旬なチームであることは間違いないだろう。

対するキヤノンも前節のパナソニック戦では、前半リードして折り返すなど、調子は上がっていると見ていい。
前々節の神戸製鋼戦から復帰しているFBウィリー・ルルーも鋭い走りを見せている。

前節、ヤマハ発動機を追い詰めたNTTコムは横浜で東芝と対戦。まずはFW戦を制したい photo by Kenji Demura

前節、ヤマハ発動機を追い詰めたNTTコムは横浜で東芝と対戦。まずはFW戦を制したい
photo by Kenji Demura

王者パナソニックは今季初の太田での試合。WTB北川(右端)は地元で通算100トライ達成なるか photo by Kenji Demura

王者パナソニックは今季初の太田での試合。WTB北川(右端)は地元で通算100トライ達成なるか
photo by Kenji Demura

ヤマハ発動機を追い詰めたNTTコムは神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場で東芝ブレイブルーパス戦(29日13:00)。
第4節のヤマハ発動機戦以降、1勝4敗と不調が続く東芝が、上り調子と言っていいNTTコムに対してどんな戦いを見せるのか。東芝としては原点に帰って、まずはFW戦で優位に立ちたいところだろう。
SOエルトン・ヤンチースが復帰し、SO/CTB小倉順平とのダブル司令塔で幅が広がったNTTコムのアタック力も当然注目される。

王者パナソニックは今季初の地元・太田での試合となる豊田自動織機戦(30日13:00、群馬・太田市運動公園陸上競技場)。
前節、99トライのままで足踏みしたWTB北川智規が地元で100トライ達成となれば、大盛り上がり間違いなしだ。

また、29日には今季、東北地方で最後のトップリーグの試合となるリコーブラックラムズ – トヨタ自動車戦が岩手・いわぎんスタジアム(盛岡=13:00)、翌30日には ならでんフィールド(奈良市鴻ノ池陸上競技場)で近鉄ライナーズ – Honda HEAT戦が予定されている。

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